2017/09/09 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にクライブさんが現れました。
クライブ > あるミレー族の里を囲む防壁から森を眺め見下ろす。
結界がない里だけに常日頃から何時現れるかわからない奴隷商人を警戒するために。

今までも何グループかの商人は狩り、時には追い返しもしたが懲りない者や話を聞きつけた奴隷商人や奴隷を売り一儲けを考える冒険者はやはりいるもの。

昼間もそう言った冒険者に遭遇し残念なことに行方不明者の仲間入りをしてもらったりとして。
日が暮れた時間でも警戒は解かずに防壁から注意深く森を見る。

「ったく……もう少し真面目に稼ごうって気はねぇのかよ」

手元の装填済みクロスボウに軽く肘を乗せ防壁の内を見れば灯りのともる何軒かの家。
今は大事な血の繋がらない家族達が一日の疲れを癒しているはず。
そんな平和な時間に野暮な来客が来ないことを祈って見張りを続ける。

ご案内:「ミレーの隠れ里」にチルユキさんが現れました。
チルユキ > 血の匂い、が。流れ漂って来たような気がする。
すんと鼻を鳴らすが、場を特定出来ない程には薄まり、幻かと思う程。

其れでも感覚がざわめき、人の――或いは奴隷商人のものかもしれないが――残したと思われる獣道の痕跡を辿る。
ざわりと木々が 風とも違うように騒ぎ、獣か、或は人の到来を 其処にを守る男に伝えるか、否か。

気配を隠すでも無く進む足取りは無造作で。―――白い腕が掻き分けた先の葉が、終わる。
木々の切れ間から抜け出して、防壁を取り巻く一角に姿を現す。武器を携えるでも、仲間がいるようでも無い 紅い眼をした者が、人の姿を探して視線を巡らせる

クライブ > 「……ん…?」

時折に場所を変え森を警戒していれば僅かに空気が変わった感じに眉を顰める。
日が暮れれば夜行性の獣が動きだし梟などが鳴くがその声が一瞬途絶える。

「まさかこんな時間に来やがったのか?」

もしそうなら始末するかと僅かな苛立ちと共に獲物のメイスとクロスボウを持ちその違和感、恐らくは誰かが来たという方向へ。

防壁の上を歩き向かえば木々の切れ目から現れる人影が丁度見え。
見える人影以外に影はなく、どうやら後続や隠れているという気配も感じない。
ならば奴隷商人ではなく迷子の類の可能性も否定できず防壁から飛び降り。

「おい、ここに何の用だ?」

その人影の前に着地をすればメイスを肩に担ぎ見下ろすように言葉をかける。

チルユキ > 姿を見つけるのは男の方が先で、重厚そうな見目と裏腹に軽い所作で降り立つ、男を見上げる。
血のように赤く染まった両眼が薄明かりを受けてぬらりと光り

「――――ここ、は。何、…人里?」

茫洋と応じる声は低く掠れ、すん、と鼻を鳴らす。男から、血の匂いを僅かに。けれど、もう大分薄いような気もする。
肩に担がれたメイスの鋭い光に視線を転じる、

「とても腹が、減っている。血を。お前がくれるか、 お前から奪うか。―――その奥の誰か、から奪うか。どれかだ」

―――男を突破できたとしても、対多数に襲撃を掛けるような余力には欠ける、けれど。
眼の前の男に其れを看破されて振り切られる、方が困る。
縫い止めるような言葉を最後に放ち、右手がナイフの柄を抜き

クライブ > 「ここは人里じゃねぇよ。人里に行きてぇなら逆に向かえ、多分着くはずだぜ?」

低く掠れた声が聞こえれば逆だと肩をすくめ、顎で相手が来た方を示し。
こちらを見上げる相手と視線が合えばその赤い両眼に人じゃないと警戒を強める。

鼻を鳴らすしぐさに何をしていると警戒を強めるままに観察すれば視線がメイス、昼間に数人を始末した獲物へと向き。

「血だと…?てめぇは吸血姫か。悪いがこの奥には行かせられねぇな」

防壁の奥にいるのは戦うことが出来ない、不得意とする者たちが多い。
そんな中に吸血姫が入り込めば大惨事になってしまう。
血をやれば帰るという保証がないだけにやるとも言えず、
ナイフを相手は抜くのに合わせメイスを構えこの奥には行かせないと態度で示す。

チルユキ > ちらと肩越しに来た方を見遣る。
ここまで来るにも大分木々を掻き分けて来た。――真っ直ぐとは言い難いから蛇行し過ぎたかもしれないが。

「………見知らぬ人里なら、わたしが行っても、構わないの」

ふと零れた疑問は塵芥のように薄い。問いを発した本人こそが、分別等持ち合わせていない故。
男を、この場に縫い止めるには、十分な挑発だったらしい。赤い眼が男の感情を探るように見遣り

「…何が、悪いの、」

無表情続きだったものが、小さく笑った。如何考えても不条理な襲撃者は此方だ。
でも、血を吸ったであろうメイスよりもずっと、美味しそうな匂いがする。生きてるひとの、いのちのみなもと。

眼の前に立つ男は無防備に見えるが、時間が経っているだろうに消えない血の匂いが其れを裏切らせる。
左手に淡い風を纏いながら、とんと地面を蹴り。男の内懐にするりと潜り込もうとする。―――左腕が掻き抱くように背へ、回ろうと動く。

クライブ > 「この場所は知られると困るんでな。ただでさえ馬鹿が来るようになってんだ。忘れるなら今なら帰らせてやるぞ」

相手が来た方を見遣っても警戒は解けず、奴隷商人に見つかっただけでも面倒ごと。
その上に吸血姫にまで目をつけられたとなれば中にいるミレー達はどれほど恐れおびえるだろうと。
そんな事はさせられないと引くという選択はなく。

「お前が血を求めてるってんなら飢えてんだろ?この奥のやつらの血はやれねぇからな」

小さく笑う姿に自分など障害にも見られていない、そう感じて怒りそうになるのを耐え。
魔王とやり合うよりはマシだと気持ちを切り替え。

「…っ!てめぇ!」

地面を蹴り向かってくる相手、その速さに息を飲むが傭兵として長く生きた経験が身体を動かし。
潜り込もうとする動きを邪魔し殴りつけようとメイスを横一線に振りぬいていく。

チルユキ > 「―――……」

挑発が効果的、どころか。効き過ぎたような気がしなくも、無い。
訂正するべきか、少しばかり考えるけれど。元よりそう、回転が速い方では無い。

「其れなら、お前のを、頂戴。―――そうしたら他はイラナイ、」

受け答えは非常にシンプルなものになる。

背に伸ばそうとした手を横向きに変えて、風刃を至近からメイスの柄にぶつけ、へし折ろうとする。
足は止めず、只、僅かに縺れて。風刃の反動を受けた右肩が男の左に其れに体当たりのように倒れ込み、

クライブ > この場は大事な女が守護する村、だからこそ危害を加えるかもしれないものなど通せるはずなどなく。
こいつは危険な奴だとそういう認識になってしまう。

「俺の血で満足するって保証があるならな。あと吸い殺されても困るんだよな」

それで満足するならくれてはやれる。
だがどれだけで満足するか判らず吸い殺されては困るとそれは選べずに。

叩きつけるはずだったメイスに相手の手がぶつかり、乱暴な扱い方をしていたメイスが軋みを立てれば重い音とともにへし折れ柄から先が飛んでいき。

ならばと捕まえるべく折れた獲物を捨て捕まえようとするがその前に体当たりを受け倒れこみそうになるのを踏ん張り捕まえようとする。

チルユキ > よろけた右脚を地面に踏み締める。
捕まえようと伸ばされる手は避けずにされるに任せ、右手に持っていたナイフの柄を。男の腹部に――――打ち付けずに、寸前で止める。くるりと刃を返して、刃の方を其処に向けるが打ち進めようとはせず。

威嚇のように其れは引かず、互いが互いの体躯の一部に触れた形に

「――――吸い殺したり、も、しない。保証―………………如何、やって」

言葉で、良いのだろうか。
暫く刃を向けていたが、何と、なし。毒気を抜かれた体躯が脱力する。
向けていたナイフを、鞘に納めてしまい。

クライブ > 倒れそうになるのは耐えたが完全に体勢は崩れてしまう。
相手を先に進ませないように肩を思い切り掴みはするが視線の隅には振るわれるナイフの柄。
打ち込まれるのに備えるように力を籠めるが衝撃は来ずに刃が向けられて。
刃が突き刺さればこのまま肩を砕いてやるという考えて、触れ合った形で見合い。

「確かに保証はできねぇよな……ったく。それに吸い殺すつもりならそいつは刺してるってか?」

このままやり合えばこちらが負ける確率は高いはず。
相手の身体から力が抜ければ押すようにして身体を離し、ナイフをしまうのを見る。

「この場所を誰にも言わねぇ教えねぇなら血ぐらいくれてやる。
あのままやってりゃ俺の負けだ」

チルユキ > 「――……ううん。お前の方に、殺すつもりがなさそうだった、から。引いた、」

勝算については、――――男が力ずくで殺しに来ていたら、如何とでも転ぶようなものだっただろう、が。
問われないことには気が回らずに、身体は離れて。草臥れたように地面に腰を下ろす

「……言わない、し。血の薄い匂いにつられてでたらめに来ただけだから、教えようにも多分二度とは、来れない」

其れこそ男が危惧したように、迷い込まない限りには。
頂戴、とばかりに。手を差し出す。男の右手首に向けて、

ああでもずいぶん、ここは。血の匂いがした……。魔を寄せる意味では、そういうの、危ないんじゃないの…」

クライブ > 「この近くじゃできるだけ殺しはしねぇことに決めてんだよ。
中にはガキもいるからな、そういう奴ほど敏感に気は付くんだよ」

本気で殺しにかかるのならもっと離れた場所、それこそ血の匂いが残らない場所にすると告げ、地面に座った相手を見下ろす。

「言わねぇならいいか。本当に迷い込んだ口かよ、しかも血の匂いでかよ。で、血はどこから吸うんだ?」

それなら本当に教えられないか、というか来れそうになさそうだと知り安堵の息を吐き。
差し出される手にここでいいのかと右手を差し出して。

「そりゃ獲物の解体はするからな。どうしても血の匂いはするもんだ。
魔を寄せるか……その辺は少し相談してみるか。そう言うのは俺はさっぱりだから助かるぜ」

血の匂いが魔を寄せるのか、それを聞けばなるほどと納得をしてしまう。

チルユキ > 「…―――ころす時って、何を思うの」

ふと視線を持ち上げ、魔の者が、ヒトに問う。


「迷ったのとは、少し違う………」

多少抗議した。右手を受け取って親指で探る様肌に触れ、

「首からが、一番多い。手は、少し筋張って、かたい。どこだって、足でも良いけど、それはイヤ……」

がじ、と。手首の際の、一筋浮き上がる血管の青が見える場所に歯を立てる。
ずぷりと細い牙を沈ませて、痛みが走るのは其れが沈み切る、迄。
麻痺毒に似たものが滲み、アルコールを摂取した際の酩酊に似た感覚が痛みに入れ替わる。
熱も、眠気も、不感症も。男の体質次第。――――其れこそ酒と同様に。
こくりと何度か咽喉が動き――――血のような双眸の赤がふと薄れて黒にすり替わる、


「……解体? 獣……じゃなく、ひとを…?」

びく、と肩が跳ねた。

クライブ > 「殺す時か?俺は何も思わねぇな。それぐらいには殺し慣れててな」

問われ答えたのはその一言、傭兵として長く生きた結果殺すと決めればそれは思考の不要な作業のようなものでしかないと。

「俺からすりゃ匂いに引かれて迷ったとしか思えねぇぞ?」

抗議を半分聞き流し親指で触れられるくすぐったさに僅かに腕が震え。

「そういうもんなのか。首からは話に聞くのと変わらねぇんだな」

硬いや胃やな場所もあるのかと、吸えればどこからでもと思っていただけに知らないことが意外と多いもんだと実感して。
浮いた血管に歯が立てられれば一瞬の痛みに眉を顰め。
しかしそれが別の感覚、酔いに近いものに変われば感じるのは体の火照りであり、まるで酒を口にしたような感じに戸惑いを見せて。

「おい…人なんか解体するか。獲物ってのは食えるもんの事だよ。
イノシシとかシカとかな。人間はこのへんじゃ殺さねぇって」

瞳が赤から黒に変わり、肩が跳ねた相手にあっちだと別な方向を指さして

チルユキ > 「………ヒト、の方が。躊躇いを持たない気がする」

吸血鬼が危険と認識する人間の方が、思い切りがあるし、連綿と蓄えた力を持つ気が、する。
ヒトだった頃の名残か、殺しに殆ど手を染めない者が、茫洋と感想を零した。実感が、伴わない。

「………違う。すごく食い意地が張ってる、ような、感想を………」

断固否定した、珍事。流れ込む血に飢えすぎて、少し夢中になりすぎる。吸い過ぎた、かもしれない。酩酊に似た感覚を強めに齎して、ふと。我に返るように牙を引き抜き。唇を離す。
僅かに滲んだ血を、名残惜しむように舐める、と。
窪んだ傷跡から溢れるような血は、無く

「あ………びっくり……した……。想像以上のことが、ここでされてたのかと……。」

跳ねた肩が、下がる。腹が満たされると眠気が滲み、立てた膝の上に顎先を乗せる

クライブ > 「それは否定できねぇな。同族にでも躊躇いがない奴が他を殺すのに躊躇うと思うか?」

王都に行けば冤罪でそういう目に合わされる人も多くいる。
戦場に立てばむしろ人間よりも魔族の方が紳士に見えるときがあるとついつぶやき。
殺しを生業にして長いためにもはや殺すと決めれば戸惑いはないと。

「血の匂いできたらなそうとしか取れねぇっての」

その拒否は無理があるだろうと肩をすくめ、酔いに似た感覚の中に血を流しすぎたときのふらつきに近い感覚を覚えて思わずに座り込み。
手首から唇が離され、にじんだ血を舐めとられれば傷もそこにはなく。

「ここは王都でひでぇ目にあったミレー族の村だよ。
そんな場所で馬鹿どもをバラすかよ……ったく」

どんなことを想像していたんだと呆れた目で見て。

「おい、寝るならこんな場所じゃなくてだな……
中には連れてけねぇしどうしたもんか……」

チルユキ > 「それは思わない……か。確かに……。
…………それだけ殺しに馴染んでるのに、どうして排除の手が、殺す方向じゃなくて追い返す方向だったの」

場に近すぎるから、だろうか。男が守っていた防壁をふと仰ぎ見て

「………却下」

思い込み良くない、と頭を振る。
座り込めば幾らか視線の高さが近くなる。
ふふん、とばかり。何故か笑った

「ミレー……。躊躇いなく殺す、の流れで、獲物を解体するって………。」

うとうとと眠り込もうとし始めた、が。
男の声で少しばかり億劫そうに瞼を押し上げる。そういえば、此処を守ると言っていた、のだっけ。ふらり、と立ち上がり、

クライブ > 「それに殺すのが俺の商売だったからな。
流石にこんな近くで殺せば匂いが残るだろ?中の奴らに不要な心配はさせたくないんだよ」

近すぎるからだと相手が見ている防壁に目を向けて。

「ったく……今回だけはそうしといてやる」

認めない様子に今回は俺が折れるとそれでいいと。
なぜか笑う座ってしまった原因を見つめ。

「ここのミレー達は俺の家族でもあるからな。そいつらの前で例え奴隷商人どもでもバラすつもりはないぞ」

こんな場所で眠られれば流石に困る。
なのでどうにか起こそうと声をかければ瞼を押し上げ立ち上がる姿に帰れるのかと不安が残るがこちらも立ち上がって

チルユキ > 「……それならここで見張るのは、手遅れなんじゃ…?

ご馳走さま、……―」

小さな疑問を零すものの、扱いが荷物のようで半眼になった襲撃者。ふてふてと腰を下ろしてしまうと地面に横たわる。
ミレー族と彼の関係は薄らと想像するものだった、が。
もう目を瞑ってしまって、完全に寝る姿勢を取る。

―――但し、風の流れがふわりと変わり、吸血鬼の体躯を包む。少し視線を逸らせば見失いそうになる程存在が希薄に変わり。

クライブ > 「離れてる間にここを攻められたら困るからな。で、殺さねぇ獲物も用意してたんだが……」

折れてしまったメイスに視線を向け溜息を吐き。
ご馳走様の言葉にか気にするなというように手を振る。

「頼むからこんな場所で寝るなよな……って」

完全に寝る姿勢になった相手にどうしたものかと一瞬視線を外し戻せば希薄になって見失いそうになった姿で。

「そんな事ができるなら先に言ってくれ…」

吸血姫は遭遇がほとんどなかっただけに判らねぇと珍しそうに見てしまい。

チルユキ > 「――――………。」


こわしたひとが微妙に視線を泳がせた。
今夜したことを、反芻、した

「い、一応、聞いた……。血を貰うか、奪うか、と」

ぽそぽそと告げながら、も。抗い難い眠気に攫われて意識がぷつりと途切れる。―――吸血鬼だから出来るのでは、無く。屹度、力の指向性だろうが。おやすみ、と声になるかならないかで告げて。動かなくなる、

ご案内:「ミレーの隠れ里」からチルユキさんが去りました。