2022/09/21 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」2(イベント開催中)」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ > アスピダでの主戦場は城門前 そして周囲を囲む 都市の名を冠するほどの 城壁 城壁 城壁 である。
王都の学問に通じていた騎士はおぞましい声でつぶやいた一例がある。
『山脈の中でもっとも土の色と匂いが違うのは 木々の枯れ具合がひどいのはアスピダ周辺だ。
血を吸いすぎて変色し、地面の音に異音が混じるのは凝固とした成分結晶のせい
木々が枯れているのは、躯ならば栄養になろうとも、大量の血のせいで“塩”が発生
それを吸いすぎた木々が枯渇してしまったのだ。』
と。
ここでマンドラグアを飢えれば畑同然になる。
死者降霊を行うだけで何が起こるかわからない。
血と精液が混じりあうことで生まれる “夢弄り” がどれだけ溢れているか
想像すると怖いと。
拮抗してなにもないほうがまだマシだっただろうここは
もはやかの恐れる山と同義になっているのだと。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあああアアアアアアアッッ!!」
吠える声 ぎらつく白歯 赤い瞳 黒い鎧
長い黒髪を三つ編みに師、付け根でぐるんと円を結んだ姿。
恐れる山に塗り替え続けている一人になってしまっているメイラ
戦争が終われば、山の浄化にどれだけかかるかもわからない中で、更に穢していく。
大笹穂の長槍を携え、最近冷えてきた季節に加え山の中
フシュウウウウウ、と臓腑で熱された白い息が零れている。
固く閉ざされた城門の前には別動隊がいる中で、その周囲で零れてしまった全てを刈り取る為
山狩りに駆り出されたメイラを含める一同はケダモノ同然に殺し続けている。
二足大蜥蜴に対し、弓矢を封じる為と熱を奪わせないために、氷封じの油を跨る鞍以外に塗りたくっている愛馬。
ギョオオオオオオオっっと弦を重く弾き鳴らしたような奇声を上げながら、主と共に獲物へ向かっていく姿。
前傾姿勢だからこそ、槍の動きを妨げない姿は頭上から、槍の一撃が左右以外 前の方までも振りかぶられていく。
槍で矢を弾き飛ばし、剣を叩き折りながら進むメイラに対し、別方向からの一撃と低い視野
鋭く太い一条爪と大きな顎で突き刺し、首を捻り折る愛馬は、殺戮の申し子だった。
周りは馬と徒歩で同じく、こぼれてしまった残党同然を刈り取っていく。
■メイラ・ダンタリオ > 這いつくばる土の味は敗者の味
力の抜けた唇に入る泥の味は死者の味
しかし飛び交う 飛散する砂利こそは 勝者の味。
恐れて逃げれば 足に力が入る
無駄にはいった力が爪先から土を掘り、後ろへ蹴り飛ばす
その土 砂利こそが、襲い掛かる勝者の口の中で噛み砕かれる。
―――“ギャリッ ギャリリッ”―――
メイラとその一同 最前線者の口の中に、砂利が入り込む。
投げつけてくる卑劣な砂ですらも、甘い。
先立つ者が語る石の味を、後迫る者が知れば、狂悦する。
知れば甘美な、勝者の味と共に、歯が砕けるような柔な者はおらず、飲み込まれる。
「盾ェエッ!!」
追い詰める最中、最前線の脚が緩み、メイラが前列者と同じハナになる。
最前線に盾が構えられる。
「お座りっ」
主の一声で、愛馬が足を畳み、盾と同じ背丈になる。
メイラが、二つに分かれた片翼のマントを引き寄せ、顔を隠しながら赤い瞳の片割れ
それが、向こう側を見やれば、城壁という片側とは別
向こう側とあちら側 十字に交差する場所から降り注ぐ、スリングと弓の一撃の群れ。
針の彫刻になったような姿が、群れで出来上がる。
群れが少数になり、少数がばらける一になり、一が零になるまで
それが済めば、礫を回収し、矢を引き抜き、手早く補給を済ませるだろうか。
中には消耗品の剣を代わりを見つけて手元に携える、手癖の悪い者もいる中で
限りなく勝者に飢えている者を、メイラは毛嫌いしない。
戦利品ではなく消耗品の補充である。
牙を常に研ぎ続ける姿勢を、メイラは笑みで出迎える。
「まるで、轢き殺したような場ですこと。」
後ろに目を向ければ、躯が倒れている。
これらを回収し、焼いてしまうことだって必要だ。
一城一夜では済まない戦場だからこそ、確実を求めて、少しでも暖かければ心臓を、頭蓋を砕いて持ち帰り
一定の場所で焼くしかない。 妖鳥が死体を放り続けることを訴えることは無い。
■メイラ・ダンタリオ > ―――わたくし達が踏み鳴らした痕を “あの御方” が歩く。
―――何度夢想しただろう いなくなった者を思うなど。
「それを邪魔する糞野郎が。」
行き成り感情を露わにするメイラに、周囲がビクリと肩を動かす。
何をそんなに怒っているのかと。
うまく包囲戦に追い込み、槍衾にした光景に、笑みを浮かべていたというのに。
この血の道を見て、一瞬想う顔をした後で、逆上した。
その感情を、周囲は探ることはできない。 怪物の脳みその中身なんて、誰も知りたがらない。
せいぜい好奇心が強い傾奇者くらいなものだろう。
「チッ」
適当に纏め、清めた灰をぶちまけ、焼き尽くす。
アンデット化を防ぎ、城門前へと戻る傍ら、ほかの残党の匂いを愛馬は感じ取ることができる
音にも敏い 狩人の本能を持つ二足大蜥蜴さながらだろう。
安全に城門前まで戻ってくるメイラの不機嫌さに、一人の既知が声を掛ける。
なにをそんなに、苛立っているのかと。
「わたくしの、最近最も夢中になっている異性は クシフォス・ガウルス だと
そう言われたことがありますわ。」
例え冗談であろうと、女ばかり侍らせ、子を産ませようと
夢中になっている異性がいる 英雄とか武人とか 尊敬とかではない
敵意と憎悪の中にある相手だ。
それに対し、顎を撫でながら 成程 と口にする既知を、ギロリと睨む。
「でもそれは、わたくしにとって あの御方 以外ありえない。
あれは供物 捧げもの あの御方に地獄でいつか褒めてもらうための一端でしかないでしょう?」
狂気の赤い瞳が、納得した既知に問いかけると、両手で制して落ち着かせようとする。
同意を求めたのではない 反対をしてほしかったのだと気づけば
確かにその通りだと、区切りをつけてでかい声で届かせてやっとメイラの殺気は鳴りを顰める。
「まったく、男のことを銘一杯考えるなど 今まで何度も敵 敵 敵 の誰彼だったというのに
意識してしまうだけで、ああ゛、どうにかなってしまいそうですわ。」
大蜥蜴が、背に乗せた主を コロロ と喉を鳴らして気遣うのを、顎を撫でて
アニマルセラピーにも似た落ち着きを見せる。
そう、武人が愛馬に八つ当たりするような真似なんて、合ってはならない。
「全く、二年前のあの日、王の利を減らす真似をさせた愚図共が。」
そして怒りは別に向けられる。
それは周囲も同意するところ。
戦う者らの憧れの一端は 恐れ 強さ カリスマ 狂気 などいろいろだ。
あのクシフォス・ガウルスだって、憧れの一つだったのだから。