2020/05/14 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」2(イベント開催中)」にアマーリエさんが現れました。
■アマーリエ > 戦争とは、表だって兵力をぶつけ合うだけではない。
敵が侵入を許さない堅固な護りを誇るのであれば、その裏や隙を探るべく手勢を動かすというのは基本だろう。
麾下の兵団は速攻重視のであるが、他と追随をまだ許していないと自負すべき点が一つある。
空を自由に飛べる――、この一点だ。
兵の全てが飛べる訳ではないにしても、上からも下からも侵入が容易くない城塞都市を迂回し、その裏側に兵を遣れる。
そうすることで見込める点としては、何か。
色々ある。偵察兵の配備から始めとして、立て籠もった敵兵への威圧、採取や狩猟等に出るものの掃討、色々だ。
「お勤めご苦労様。……どう?何か変わった様子はあるかしら?」
そんな労いを声が響くのは、王国軍や傭兵等が相対する城塞都市アスピダの表側ではなく、裏側に位置する山中。
其処に数騎の竜とその乗り手達が屯する。
一応は隠密行動か、夜陰に紛れる黒衣を纏いながらも、竜が放つ気配を感じないものはいないだろう。
そんな集団の主と思しい金髪の女が、帯同させる騎士や兵たちに指示を出して、程良い高さの植木にしゃがみ込む。
其処に隠れて定点観測に勤しむ騎士に言葉をかけ、差し入れの葡萄酒が入った水袋と携行食糧を渡そう。
■アマーリエ > 「――そう、有難う。交代の要員を連れてきたから、残る報告などは改めて聞くわ。
今は後方の陣でゆっくり休みなさい。
交代の者は手筈通りよ。竜は必要がない限り呼ばない方が良いけど、必要と判断したら遠慮なく呼んでいいわ。
噂に聞く名将が采配しているとしたら、私たちの行動位はお見通しの筈よ。
出来る限りの情報を他所に頼らず持ち帰ること、並びに私たちが見張っていることによる圧力が全てよ」
現状特に目立った、違和感のある動向がない。
時折出てくる雑兵や騎士を引き付けて倒しているが、特に騎士の様子はおかしい――と、その報告を聞いて眉を顰める。
矢張りか、と思う感覚が先に出る。他の麾下の兵や手ずから討ったりはしていても、まともな亡骸に遭った試しがない。
嘆息と共に自身の竜に跨って、他の竜とその乗り手と共に空を上がってゆく騎士の姿を見送る。
その後には、定点観測のために身を隠す騎士と夜目にも分かる白い鱗の己の竜が残る。
「……どうなっているのかしらね、あそこは」
纏う黒いマントの襟元を掻き寄せつつ、樹の幹に寄り掛かって件の都市を眺め遣ろう。
王都も大概であるが、此処もある意味魔窟と化しているのではないだろうか?ふと、そんな感慨を覚える。