2020/05/09 のログ
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「戦が一つ片付いたのだから、此方も一段落出来ると思っていたのだがな…」

ハテグでの戦は、此方の勝利に終わったとの報告を受けたのは現在進行形で王国軍がアスピダへの攻勢を行っている最中の事。後方の駐屯地ではなく、最前線に程近い陣地の中であった。
といっても、前線で敵兵と切り合う様な度量がある訳では無い。今回己が戦場まで出張っているのは、単なる視察—―の筈だったのだが。

「視察に訪れた王族を予備戦力に宛がうというのは、度胸があるというか何というか…」

己の召喚魔術を知る軍人の一人が、大地に埋まるのではないかと思う様な勢いで土下座してくるものだから此方もつい頷いてしまった。
後方の戦力を前線に集中すれば、数的有利を取りやすい分味方の損害が減るのだと熱弁されては、断る訳にもいかない。
まして、自分より二回りは年上の筋骨隆々な軍人に涙目で土下座された日には—―色んな意味で、精神衛生上宜しくない光景でもあったので。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > とはいえ、現状では後方まで敵が浸透してくるという事態には陥っていない。
激しい剣戟と合戦の雄叫びは此方迄響く程ではあるが、未だ兵士達は潰走する事もなく、此方も味方の退路は維持しているという現状だろうか。

「…まあ、勝つのも難しそうな戦ではあるが」

とはいえ、敵を突破しアスピダ市内に至る程優勢という訳でもなさそうだ。
ちらほらと後方へ下がっていく負傷兵を横目に、陣地とは名ばかりのテントの前で小さく溜息を吐き出した。
此の侭、己が戦場に立つ事態にならなければ良いのだが。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > そもそも、此処には王国軍がいない。
元より後方に割く軍勢を前線に置いたのだから止む無しといったところではあるのだが。

「……私の召喚獣では、どうみても王国軍が悪役なのだがな」

己が得意とする召喚魔術で顕現するのは大半が魔獣や魔族の紛い物。そんなモノと肩を並べて戦う王国軍というのは随分と見栄えが悪い様な気がしないでもない。
だからこそ、己の出番が来ない事を祈りながら懐から取り出した葉巻に火をつけ、紫煙を燻らせていた。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 結局、当初の趨勢のまま大負けも大勝もせず。
少年が控えていた陣地は撤退用の殿軍が後を引き継ぐ事になる。
次は前線に立つ事になるのだろうか、と溜息を吐き出しながら、少年は帰路につくのだった。

ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」2(イベント開催中)」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。