2022/04/01 のログ
ご案内:「城塞都市「アスピダ」 山道」にイファさんが現れました。
■イファ > 月夜
都市へと続く路はいくつもあるが、その内舗装もされていない細い路の一つ、路の真ん中にぽつねんと佇む影がひとつ。
城塞都市を取り囲む森は、春に浮かれる鳥獣の声と季節風によって揺れる木立の騒めきで意外と賑やかだ。それをひっそり聞いている様でもあるが、その出で立ちは全身鎧に両腰に刀を佩いていて、凡そ観察者のそれではなかった。
(――――退屈、というほどではなくてよかった)
内心、独り言ちると鎧姿の女は山道をゆっくりと歩き始める。
先から観察していれば、城塞へある程度近寄りはするが、城門から追っ手がかかれば直ぐに身をくらませられる(と女が思っている)距離あたりを往ったり来たりしている。時折山道脇に呑気に腰掛けたりして、まるで時間を潰しているだけのようだ。
そのとおり、依頼は城塞都市側に『補給路を見張っている者がいると知らしめる』だけであって、実際補給部隊を襲う必要が無かった。ただ物々しい恰好をした者が姿を晒しているだけで事足りる内容だった。
(……退屈ではないが、面白くもない)
―――日が昇るまでの時間、山道を何往復かしてみようか。
兜をかぶった面が、長く森の中へ続く路を向く。
「適度な魔物など見付かればいいな」
呟きを漏らすと、全身鎧姿は城塞都市を背にして、山道をゆっくりと進み始めた。
■イファ > 全身鎧ともあれば流石に無音といかない。金属音が届く繁みから、小動物やら鳥やらが飛び出し飛び立つ音がする。
聊か申し訳ない気もするが、逆にその『ヒトの気配』に向かって来るような魔物を期待しながら、女は山道を急ぐでもなく辿る。
果たして、夜明けまでの時間に面白い相手と巡り合えればよいのだが…
ご案内:「城塞都市「アスピダ」 山道」からイファさんが去りました。