2021/09/28 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 雲のない紺青に月がまぶしく輝く夜。
アスピダを囲む森はその政治的立地のために開発されることもなくほどほどに手を入れられるに留まって、それと意識はされないまま動植物たちの楽園の体を成している。
なので夜に草木を揺らす影があっても大概は夜行性の動物で、実りの季節ともなればいちいちその影を怪しむ者など居ない。

「―――…ンー…」

その森の、丁度城塞都市の入口の一つを眺めることのできる気の上に、今宵は夜行性動物とは別の影。木の幹に身体を寄せて影を溶け込ませながら、若草色の瞳で都市の門を見詰めている。
何のことは無いアスピダの動向監視だ。特に何があったら知らせろ、等の指示はなく、何時ごろ、どの程度の人数が出入りしたか記録して、提出して、それで終わり。
――――何事もなければ。

(……たぶん何も無いんだろけど…)

都市から女エルフが潜む樹までは、夜目の利くエルフだから辛うじて確認できる距離。急に打って出られても逃げ出せるだけの余裕はある。
大体引継ぎされて来ている記録も良い加減に書き込みがされていて、ほとんど時刻については記載はないし、挙句の果てに『異常なし』だけしか書かれていない日まである。

それについて依頼時に注意もなかったし、雇われの身で真面目に努めなくて良さそうな仕事の筆頭に挙がりそうな依頼ではあるのだが

「――――………」
女エルフは枝から垂らした脚をぶらぶらさせて、むすー、と鼻息を漏らす。
真面目というか、心配性というか。果たしてどっちなのか本人も解らない。只恐らく、真面目に勤め上げはするんだろう。

(……いっそのこと騒動が起こってくれればいいのにー…)

手にした短弓を竪琴よろしく爪弾き、物騒な事も多少は考えながら。