2021/05/11 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にジギィさんが現れました。
ジギィ > フクロウの声が遠く聞こえる。
細い月の明かりは乏しく、雲のない夜空には星々のほうが我が物顔に煌めいている。

城塞都市を取り巻く森は今宵、草木を揺らす風と夜の生き物の営みだけが騒がしい。

「良い夜ー……」

森の中、アスピダを望むやや小高い丘に佇む銅色の肌のエルフがひとり。
夜のピクニック…ではなく、初夏近い季節に生える薬草の採取だ。
そのついで、貼り出されていた冒険者ギルドの依頼、即ちたまに零れ落ちる旅団の残党狩りも挑戦してもいいかな、なんて思いつつ篝火の灯り溢れる砦を眺めている。

ざあ、と緑の香りとともに丘を風が渡って行くと女のくせ毛は吹き散らされて、それをうっとおしそうに掻き上げひとまず採取した薬草の袋を足元に降ろす。

「……残党狩りなら罠が楽そうだけど……」

味方が引っ掛からない場所に仕掛けなければいけない。
はてそれはどこら辺だろう?砦の配置と、王国軍側の取りそうな進路を考えて……

女エルフは気分的に、少しつま先立ちして砦の方を伺う。

ジギィ > 「…んん―――…」

星明りが眩しいわけでもないのに手びさしするのは気分の問題。
若草色の瞳を細めるとふんふんと独り頷いて、すとんと踵を降ろして今度は腕組みを。

(―――まあ、反対方向は仕掛けても意味ないだろうからなあ…)
「裏口を探してみよっかぁ」

後半だけ言葉にしたのは一種の気合。
森の中で他者に後れを取る気は微塵もないけれど、相手にとって拠点であるならばそれなりに護りも硬い筈だ。

女は一人、うんと頷きひとまず足元の袋を拾い上げ、麻紐で以て近場の木の枝に器用に干していく。
ここは乾いた風が吹く。砦の近くまで行って、一仕事終えるころに少しは乾燥が進んでいるだろう。

「――じゃ、いってきまーす」

なんとも能天気な声を風に揺れる薬草に向けて掛けて手を振って
女エルフは半ば弾むような足取りで、丘から森の中へと姿を消した―――

ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からジギィさんが去りました。