2021/03/13 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にジギィさんが現れました。
■ジギィ > ザァッと音立てて樹の根太を雨が打つ。
雨は真昼の筈の空から大粒で降り注ぎ、木々の枝は揺れて草は打ちひしがれ、森の其処ここで小さく流れまでできつつある。
「あー…」
城塞都市を取り巻く山道からやや外れた場所、ちょっとした崖の下にできた横穴でぼやっと声を上げる銅色の肌のエルフ女。地面に座り込んで膝を抱えて、ぽかんと口あけて灰色の空を見上げている。
ダイラスから王都への近道として踏み込んだ森は不幸な遭遇が無いまま順調に来ていたのに、半ばまで来たところでこの土砂降り。この場所から出ることも敵わずに、終に横穴の入口上からも滴り始めた水滴に顔を顰めるしかない。
精霊の動きを詳細に探知していれば、もう少しマシな場所で過ごせたかもしれないのに…
「―――良い陽気だったからなあ…」
そんな言い訳にもならないことを呟いて、ふたたびぼやっと灰色の空を眺める。
「―――ひま。」
濡れること自体はじつはそこまで嫌いではない。
ただ一度ここに避難してしまってから踏ん切りがつかないだけだ。
…誰ぞ不審な輩でも来てくれればいっそ、思い切りが着くかもしれないな、なんて物騒なことも考えて
取り敢えず、弓の手入れでもしようと胡坐をかいて座りなおして、膝の上に弓を乗せる。
手入れを始めたら始めたでそこそこ夢中になって、外の気配は音だけで拾っている様で、くせ毛からはみ出た長耳は時折ぴくっと動いていたりする。