2020/07/18 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > ――傾いた日差しが赤く染まってゆく頃合い――
城塞都市より数キロ離れた森の奥を、
殺される―― 見つかったら殺される、殺される――!
焦燥感に塗れ、額に汗して駆け抜けるひとつの影があった。
それはアスピダ攻略の拠点のひとつとなっていたとある山村から。その山村はと云えば、今は煙がもうもうと立ち上がり容赦なく焼き討たれていた。目に付かぬように隠されていた小さな村だったが、一度察知されてしまえば落ちるのは早かった。
夜半ではなく、夕刻近い昼に急襲をかけて来た辺り、敵方は充分に多勢で拠点を守っていた冒険者や騎士は異例の速さで撤退を決定し、非戦闘員である治療班や補給班を庇い逃走するには人員が足りず――こうして一人迷走する羽目になったのは自分だけではなかった。
他の者が大丈夫かと気にならない訳ではないが――心配する余裕も暇も今はなく。ただただ必死に藪を突っ切り、巨木を避け、木の根を飛び越えて、髪や肌に木切れや土埃を張り付けながら逃げ惑っていた。
背中に遠ざかっていく、小さな村から登る黒煙と悲鳴を振り切りながら。
■ティアフェル > アスピダ攻めに加勢するのはやはり、やめておくべきだった――こうなる可能性はもちろん分かっていたことだし、高給だとは云っても内容を考えれば妥当。しかし、実家の方で少々支援しないと厳しい状況だったもので仕方なく請けてしまったのが運のツキ――
「やーめーとーけーばーよーかーたー!!」
そうです、金に釣られたのはわたしです。
悔やみまくり心の底から叫んで半泣きで、露出した腕や足に浅い創傷を赤く滲ませながらとにかく今は走った。
っはあ、はあ!と己の息遣いがくっきりと耳に響いて、どくどくと跳ねる心臓がビートを刻む。
どこまで走ればいいのだろう――とにかく、悲鳴の聞こえなくなる場所まで、煙が届かなくなるまで――
途中で脚ががくがくと震えて来て限界を訴える。もう走れない、と身体が先に音を上げるのを感じながら、
「でも、止まれ、ない………」
まだ安全とは云い切れない、残党狩りの追っ手が掛かっているかも知れない、まだ、まだ、もう少し……脚を止めるには早い……。
滝のように流れて目に入る汗を拭いながら、震える脚を前へ前へ先へと引きずるように進め。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にカーレルさんが現れました。
■カーレル > 戦場に行った肉親や知己に綴った手紙を何通か手にし、拠点の一つになっている山村へ向かう途中であった
武装した男が茂みから飛び出してきて、裂帛の気合の掛け声とともに斬りかかってきたので、
反射的に股間を蹴り上げてしまった…地面に転がりもんどりをうって倒れる男は
任務に忠実なんだか、生き汚いんだが、判らないが腰に添えていた角笛に手を伸ばしかけたのでもう一撃
…男はブクブクと泡を吹くとやがて動かなくなった
「突然、斬りかかってくるやつが悪い…
流石に前線傍まで来るとこんなんが湧くなあ…どちら方か知らんけど
…どうか、手紙の送り主では有りませんように」
倒れた男の被った鉄兜をぺちぺちと叩き、意識がないことを確認すると遠くに視線をくれる
木々の合間から遠く、目的の山村から黒煙が立ち上るのが見え、風にのって炎の匂いが漂ってくる
「…落ちたのか、意外と王国も根性ねえなあ…
たかが、反乱軍相手にこの体たらく…さて、どうすっかな…」
一先ず、気絶している男を茂みにそっと蹴り飛ばして隠すようにすれば、煙草を一本咥える
手紙の配達を頼んだ依頼者にどう言い訳したものか、と考えているうちに前から脚を引きずる人影がやってくる
怪我もしているようだし、この方向に向かってくるのであれば逃げ落ちてきた人間だろう
攻め手であれば、怪我を負えば村の方へ逃走するであろうし
「…なんだよ、運の悪いやつだな、負けた方に付いてたのかよ…」
人影が見知った人物と判ればふらり、と姿を表し、それこそ街角で偶然出会ったみたいなテンションで話しかけた
彼女が今まさに焼け落ちつつある山村から逃げてきているのは一目瞭然であった
■ティアフェル > 向こうから遠くから近くから――風に乗って血の匂いや威勢、叫び声が届いてくる――やはり、まだまだ脚を止めていい場所ではない、と認識。
その、交戦の気配のひとつ、比較的近い場所で感じたものが、まさか知り合いの子勢り合いがあったとは夢にも思わず。肩で息をしながらとにかく安全圏まで遠ざかろうとしていたが、
「――ッ!」
不意に現れた気配に一瞬びく!と大きく肩を跳ねさせて身体を強張らせたがそれもほんの刹那のことで。
「っは……?」
すぐに驚いたように瞠目しぽかんと口を開けて気楽に声を掛けて来る顔を唖然と眺め。
「何、なんで……? いや、ゆっくり話してる場合じゃ、ない……早くもっと離れなきゃ――拠点がやられたの、追っ手がくる。逃げなきゃ、とにかく、もっと遠く……」
のんびりとここで会話するには状況はまだまだ切迫していて、先ほど彼に昏倒させられたアスピダ勢を考慮してもこの辺は安全とは云えない。一度止めた足をまた進めながら。
「悪いんだけど、水持ってない?」
手回り品以外持ち出す暇もなかった。ふらつきそうになるのを堪えながら。
■カーレル > こんな状況であるから声をかければ当然、彼女も驚くであろうとは思う
だが、呆気にとられたような彼女の表情にはつい、笑い声が溢れた
久々に判りやすく驚いた人間の表情を見たように思う…
死んだと思っていた人間が生き返ったのを見た時の顔とか、そんなやつ
「今日はお手紙配達人…ってもまあ、届け先がどうやら燃え落ちちまってるみたいだけど
ん…?ああ、水?良いよ、ほら…ゆっくり飲め」
ベルトに止めてあった水筒を彼女に差し出す
彼女が受け取ったのを見れば、もう一度、村の方へ視線をやってから、周囲へ意識を向ける
森の中であるから組織だって追って来ることは出来ていないようだが、パラパラと気配は感じる
出来れば近くにいる気配は始末しておきたい所だが、まあ、何と言うか…超過勤務な気がしないでもない
「飲みながら良いから聞いてくれ、良い子だから
この周りに多分、何人か追手がいる気配だから、片付けてくるわ…
察するにどうもバラバラに追ってきてるみたいだし…だから、もう少し頑張って逃げろ」
ぴっ、と自分が来た方角を指差して安全そうな方角を指し示し
後から追いかけるけど待たなくて良いよ、と付け足せば。その辺りに
転がっていた丈夫そうな木の枝を一本、手に取り咥えていた煙草を消し吸い殻をポケットにしまい彼女の来た方へ向かう
■ティアフェル > こんな所で知り合いに会う確率ってどのくらいなのだろう。職業柄を鑑みればそれほど稀なことでもないのか――しかし、予想はまったくできていなかったので素で驚愕した後、無意識にどこか安堵していた。少なくとも敵ではないし、水も呉れる。
受け取った水を、ありがとう、と口にしながら、まさに今自分がいた拠点に仕事しに来てたらしいと聞けば、思わず小さく笑いながら肯き。
「まったく――神出鬼没だね……。
まあ、助かったけど……手紙は持ち帰るしかないね」
配達どころではない。宛先が無事かどうかも怪しい。肩を竦めて少しずつ水を嚥下して。
「子ども扱いはよして。
――分かった、怪我しても何とかしたげるから全面的によろしく。
後――すみませんが、そののちにはちゃんと追いついて下さい、お願いしますこの際カーレルだとしても地獄に仏よ………」
若干余計な表現を用いながら懇願気味に口にした。この敵軍が制圧した危険地帯と化した中で単身逃げるには心許ないことこの上ない。追いついてくれなかったらさすがに怖い。いてくれればいざとなれば盾にでもなっていただけるかも知れぬ。なっていただけなくても前線に突き出してしまうかもしれない。行ってらっしゃいと追っ手の殲滅を託しながら。得物はそれなの…?と木の枝一本拾い上げる所作に顔に不安、と書き出したが……ともかく脚を進めていき。
■カーレル > 水を飲めば少し安堵したらしい、表情が僅かに緩んだように見える
何にしろ、自分の中では割合、脳天気に思える彼女がこれ程、切迫しているのだから、
大分事態は切迫しているのだろう…茂みに隠した泡を吹いて倒れた男に気が付き卒倒しないと良いが
「何でもやるのが仕事だからな…神出鬼没も致し方なし
…故郷の幼馴染が愛する兵士に綴った手紙を持ち帰らなくちゃならんのか…気が重い話だ」
手紙は何通か預かっているが、そんな手紙が本当にあるかどうかは知らない
しかし、ある種の念みたいなものが篭った手紙を送り相手に届けること無く持ち帰る、というのは気が重い
何なら失くした事にして捨てていってしまいたいくらいである
「森をバックにこっちに向かってくる姿が、昔、森で迷子ンなった妹と被って見えたわ
―――ま、個別に来られる分には平気だと思うがねえ…
とりあえず、力の限り逃げろ…追いつかなくても人生に絶望して修道女になったりしなくていいから」
木の枝を拾い上げた自分を、不安げな表情で見る彼女に、仕方ねえだろ、とでも言いたげな表情を1つ浮かべ
そいじゃあ、手はず通りに、と一声かければさっさか、何やら普段とあまり変わらぬ調子で山村の方へ向かう―――
―――しばらくの後
彼女の進む方向の茂みからひょっこり姿を表しとシュタッと手を上げて
幾分か、埃に塗れていたが傷はなく手にした木の枝も何処かで手放していたらしかった
「いやあ、参った…思いの外、人数がいて苦労した
けどまあ、半日かそこいらは追ってこれんでしょ…簡単だけど罠も設置してきたし
つか、まだこんな所にいたのか…ノロノロしてると、シラミ持ちの兵隊に処女散らされるぞ?」
軽口を飛ばしながら彼女の半歩から一歩程先を、先導するように歩き出した
■ティアフェル > こんな所で敵ではない相手に会えるのはありがたい……後でなんらかの請求がきても甘んじて飲もうと思うくらいには助かる。何でも屋のよろず具合に感心しつつ感謝して。
「まあ、拠点が潰れた訳だから…上手く撤退出来てれば故郷に戻ってすぐ会えることになるかもだし……」
撤退が早かったので自分が証人だが少なくとも全滅はしていない。兵士ならば腕前さえあれば逃走も可能だろうから、一人で放り出された非戦闘員よりは有利な状況だろう。分からない限りは今の所希望的に観測しておく。
「いもーと……似てるの? ご希望ならお兄様と呼んであげるのもやぶさかではないので、がんばってー。
……はあ? 脈絡が判らない表現だな……ここで一人で放り出されたら修道女になる前に命がデンジャラスなのよッ」
なんで修道女…と首を捻りながら、ともかく、まだ走れるほど回復してはいないが、どうにか脚を止めずにそのままさほど早くはない速度で森を分けて進んで行き、時折少々不安そうに背後を振り返り、進行方向や周囲の気配を探りながらいれば。
「っゎ……急に出てこないでよー…奇襲かと思うでしょ……。
無事で何よりだけど。………初期装備で乗り切りやがった……勇者の卵かこいつ」
急に現れた様子に一瞬びく、としつつ。安堵して。
武器、木の棒、装備、布の服…なんてビギナ―過ぎて雑魚をやるにも苦労する代物だというのに、それであしらってきたらしい。そんなものでやられた方がお気の毒な気がしながら、下手に逆らうのはよそう……と背筋に汗を伝わせ。
「なんだそのレンジャースキルの高さは……
そんなシラミ野郎乙女の必殺技で再起不能にしてやる……処女って決めんなセクハラ」
半眼で見やりながら、こっちはそんな人間離れしてない、とボヤきつつも先立って進むのについて歩き。悔しいので脚を速め。