2020/06/22 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にエラさんが現れました。
エラ > 日暮れ時に帰還した一団が地下に押し込め、一頻り狼藉を働いた後。
女達と、彼女等が転がされている簡素な寝床との後始末を済ませ、
洗濯物を山盛りにした籠を両腕で抱えて地上階に上がり、建物の裏口近く、
定められた洗濯場へと向かう途中―――――ふと足を止めたのは、裏口の木戸が薄く開いていた所為。

つい先日、逃亡を図ったと散々に責められたばかりの身で、流石に妙な気は起こさないが、
普段は閉ざされている筈の扉が、薄くとは言え開いているのは気に掛かる。
籠を抱えた儘、そっと歩み寄って扉を靴先で軽く突つき、
キィ、と外に向かい開口部を広げる戸口から、其の向こう側を覗き込もうと。

「……何方か、いらっしゃるのですか」

逃げようとしているのでは無い、という主張代わりに、誰何の声を投げて。

エラ > 「――――――あら」

しゅるり、暗がりで揺れる長く細い尾。
誰かがこっそり飼ってでも居るのか、其れとも野良が居座っているのか。
嫣然たる曲線も艶めかしい銀色の猫が一匹、じっと此方を見ていた。

「……今夜も雨が降りそうだわ、外ではびしょ濡れになってしまう。
 入って来たければ好きになさい」

此れが人間の少女ならば、迎え入れぬ方が却って親切かも知れない。
然し、猫に人間にするのと同じ無体を働く者が居る、とは聞いた事が無く、
塒に連れ帰る程の情は示さないが―――――、

足音も立てず、するりと入り込んで来る猫を振り返りもせず、
己は洗濯場へと向かう。
足許に纏わりつく銀色に邪魔されながら、本来の仕事を片付ける事に―――――。

ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からエラさんが去りました。