2020/05/26 のログ
■エラ > 「―――――ひとたび奪われれば、取り戻せないものも有るでしょう」
取り戻せるものならば、足掻くのも悪くない。
或いは曇り無く信じて縋りつける程、希望が燦然と輝くものであるならば。
けれども、己の手の中に在るのは、真贋すら覚束無い書簡ばかり。
其れだけを縁にして希望を抱き続ける事に、―――――倦んでしまう夜も、有るという事だ。
呟いた声音は力無く、路地の暗がりに落ちて消える。
肩から頤へ、そして頬へと触れて離れた手指が、此度は己の腰へと回る。
引き寄せられて、脆く柔らかな女の肢体は容易く、男の腕の中へ抱き込まれてしまう。
有無を言わさぬ腕の力に、乳房を押し潰す胸板の硬さに、何処か、
安堵にも似た思いを抱きながら、――――己は携えた書簡を握り締め、静かに目を閉じた。
襲い来る浮遊感、何処かへ運ばれる気配。
辿り着いた其処で待つものは、勿論、己に科せられたもうひとつの役割、に違い無く――――――。
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