2020/05/24 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > しくじった。
まさかだ。こんなところにまで来てしまうとは露ほどにも思わなかった。
ただの採取依頼で森に入った、それだけだったはずだ。
依頼された物が見つからず、奥まで進み…気づけばこの地。
森の中、見上げれば数刻も歩かずともたどり着ける場所にそれが見える。
大きく、堅牢な城塞。
ここまで近ければ見回りもいる可能性は多い。
少なくとも謀反者の膝下。安全であるとはお世辞にもいえない。
舌打ち一つ。
奴らの生活圏のうちだというのならば、さっさと引き返すべきだ。
改めて周囲を警戒する。
「冗談じゃねぇ……」
あんな大きなものと戦うようには出来ていないのだ人一人というものは。
組織だった軍であったとしても突き崩すことは不可能に近いというのに…個でしかない冒険者の出る幕ではない。
そう考え、血の旅団には手を出さないと決めていたが…こんなことになるとは…。
■ブレイド > 王国軍や、他の冒険者がここまで来ているという可能性もあるが
できることならば見つかりたくはない。
人一人で攻略は不可能。そんなことは誰もが見ればわかる。
こんな規模の敵に一人で挑むやつは、よほど腕に自信がある化け物か、ただの馬鹿だ。
ここに来ている連中がそういうものばかりでなければどうなる。
人手として駆り出される。
そう考えるのが自然だ。
同業者であれば断っても構うことはないだろうが
問題は王国正規の兵団であった場合。
断ればどうなることか…面倒が増えるのは確実だ。
逃げるにしたって落ち着いて行動を起こす必要がある。
「(ひとまず夜まで身を隠すか……?)」
それまで気を張りっぱなしというのもあれだが。
とりあえずは森の奥まったところへと引き返す必要がある。
城塞をもう一度見上げる。できればもう二度と拝みたくはないが…警戒を強めながらゆっくりと後退を始める。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にエラさんが現れました。
■エラ > 右手に聳え立つ堅牢な壁、左手に迫る建物の影。
昼でも薄暗く人の寄り付かぬ其の物陰が、ある意味では、気に入りの場所だった。
細い道は積み上げられた木箱に塞がれ、袋小路で逃げ場も無いが、
此処へ入り込む者も多くない為、比較的寛げる場所である。
寛ぐ、と言っても首輪付きのこと、娯楽も嗜好品も覚束無い、のだが。
夜半過ぎ、其処へ身を忍ばせるように佇む己の手には、一通の書簡がある。
つい先刻、旅団の男から寄越された其れを胸に、封を切るのももどかしく。
開いて、たどたどしい文字で綴られた短い文章を月明かりで読み取り、
―――――ひと時、我が子の成長した姿を思い描く。
其れが、己にとっての唯一の娯楽、と言って良かった。
■エラ > 便箋や封筒に使われているのは、見るからにざらついた粗悪品の紙であり、
綴られた文字は所々スペルミスも目立つ、お粗末としか呼べぬ代物。
けれど、其れも人質たる我が子からのものだと言われれば、
何もかもが、いかにも其れらしく見えるのも事実であり―――――
結果として己は、今日もこうして、本当は誰が書いたのかも知れぬ手紙を読み耽り、
大切に懐へ忍ばせて、新しい朝を迎えることになる。
ほんの数歩、駆け出せば外に出られるかも知れない、そんな場所に在りながら、
決して、其の数歩を踏み出そうとはせずに。
―――――そんな風にして、己の夜は更けてゆくのだった。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からエラさんが去りました。