2020/05/01 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にナランさんが現れました。
ナラン > 漆黒の帳が下りた空に煌々と月が昇り、遮るもののない月光は城塞都市を闇の中に浮かび上がらせる。
時刻が時刻だからなのか、都市深くあちこちからは炊煙のようなものが昇り、遠目にも白くけぶって黒い空へと滲んでいく。

昼間派手に交戦があり、陽が沈むころになってお互い何となく引けていった。
勝敗は五分五分と言ったところで、両陣営士気が下がった様子も無く城塞都市の盗賊団側も山中の王国軍陣営側も妙な熱気を辺りに振り撒いている。

その王国軍陣地からは少し離れた森の中。
枝葉の多い一つ樹の上に、木肌に姿を寄せるようにして潜む女がひとり。
その鳶色の瞳が見守るのは、草原を挟んだ向こう。城塞都市を外と繋ぐ門の内、騎馬が一頭通れるか否かという小さいもの。
刺客か食料などの補給部隊か、兎に角通行するものは射よ、というのが指令だった。
もし事があれば同時に、近くに潜んでいる筈の伝令が本体へと奔る事になっている。

(――夜の仕事だったから引き受けてしまったけど)

冒険者ギルドから派遣されてきた女は、難なく木陰に身を溶かしながら思う。

(刺客ならともかく……補給部隊は忍びない)

城内には非のない者たちも囚われている筈だ。
補給が途絶えれば…彼らから先に犠牲が出るだろう。
内心早く、何事も無く時が過ぎればと願いつつ
門の周辺へ視線を注ぎながら、木々の間を渡っていく風が、枝葉を揺らす音を聴いている。

ナラン > 夜は更けていく。
恐らく城塞側も気づいている筈だ。相手が意気軒高な今は夜襲に良い日とは言えない…補給部隊をうろつかせるのもだ。

そう思うのは半分以上自分の願望であることも承知しているから、鳶色の瞳は油断なく門へと据えて、葉擦れの音を聴きながら意識を研ぎ澄ます。

果たして、明け方までの間に
門を取り巻く草原には血の匂いは漂ったか、否か―――

ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からナランさんが去りました。