2023/07/03 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアスリーンさんが現れました。
アスリーン > ────長い睫毛が伏せられている。

九頭龍山脈の山中。そこはもともと、山村だったのかもしれない。
しかしどこからかやってきた山賊の一派が根城にしてしまったようだ。
いくつかある木製の建屋はところどころ破損している。
その中でも、元は村長の建物であったのだろう家屋は一番大きく、損傷は少ない。
そこで奪ってきた戦利品、酒に女に金にを集め、楽しんでいたのだろう。
けれど今は、酷く静かだ。

村のあちこちに白い羽根で出来た繭がある。
人が丸くなっていれば入れそうな大きさの繭が点在し、明かりのない暗がりの山村の中で、仄かな光源となっている。
その羽根の眉をこじ開ければ、中からは男女問わず、全裸の人間が出てくるだろう。
皆幸せな夢でも見ているかのように、ぐっすりとよく眠っている。

そして一番奥、この村で一番大きな建物に、おびただしい数の繭が転がっていた。

その奥に、家の大きさの感覚がおかしくなりそうなほど、大きな少女がいた。
3メートルには届かないだろうが、近しいぐらいの巨躯。華憐な顔立ちに、美しく長い白銀の髪。
豪奢な意匠が施された神聖性を感じる純白のローブは、豊満な胸元の谷間が良く見える部分だけを露出している以外、清楚なもので。
今は座して、静かに瞼を閉ざしている。
長い睫毛は伏せられ、座ったまま眠っているようにも、何かに祈っているようにも見える。
ほんの数時間前まで煩いくらい賑やかだった山賊の根城を、このような状態にした張本人である天使は、誰が訪れるまでは、そのまま人形のように動かずにいた。

貴方が何の目的で訪れるかは分からない。
だが、この山村の異変に気付いたなら、繭を辿り、この天使の下へ到達するのも時間の問題だろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアスリーンさんが去りました。