2023/05/18 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエヴィータさんが現れました。
エヴィータ >  
丈高い草が生い茂る中を歩くうち、露出した脹脛や踝に幾つかの切り傷が出来た。
獣道とも呼べない悪路を辿る素足も、そろそろ感覚が無くなってきている。
仰ぎ見た木々の枝間から覗く月は、もう随分と高くのぼっていて、
夕闇に紛れて始めた逃避行も、三時間、あるいは四時間ほど経過していると思われた。

夕陽の沈む方向を頼りに、街道を辿らずに山中を分け入り、
少しでも早く、少しでも遠く、と歩き続けてきたけれど、そろそろ。

「ひとやすみ、しても、いいかな、ぁ……」

呟いて、しかしすぐに頭を振る。
疲労困憊している今、足を止めてしまったなら、きっと、
二度と歩き出すことはおろか、立ち上がることだって出来ない気がした。
けれど、そう、もう随分逃げてきたから――――そろそろ、街道に出ることを考えても良いだろうか。
せめて多少なりとも、整備された道を辿りたい。
そう考えて、方向を微調整する。
半時ほど前、馬車の音が聞こえたので慌てて避けた方へ。
そちらへ行けば、馬車が通れる道がある筈だった。

エヴィータ >  
特に方向音痴だとは思わないが、やはり本調子でないせいか。
それから更に半時ほども彷徨い歩いて、やっと、街道らしきところへ辿り着く。

夜更けの街道に人影は無く、月は雲間に隠れて、先刻までより闇が濃い。
けれど少なくとも、あるかな鹿しかの獣道を辿るよりは楽だろう。
よし、と気合を入れるために両手でぱつんと頬を叩いてから、
夜更けの街道をひとり、人里を求めて歩き出し――――――。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からエヴィータさんが去りました。