2023/04/27 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にヴェルソートさんが現れました。
■ヴェルソート > 山賊街道からほど近い山中。小さな洞穴とテントを利用した別荘とも言えない所…時折、引き取った少年に野営の事を教えたりするのに使っているが、今日は一人…。
パチパチと火の粉を飛ばす焚火を眺めながら…時折、木の棒でかさかさと燃料の枝や焚火をつついて転がし、空気をかき混ぜる。
「Ah 一つ目の夜 何処から小石が世界に落ちる…♪」
それは、どこかで覚えた数え歌、しっとりとした甘いテノールが…夜の空気に乗ってゆったりと…口遊む音は決して大きくはないけれど、それこそ魔法めいて、良く通り、空気を震わせる。
人に聞かせる、という意味で磨き抜かれた歌唄いの数え歌は、僅かな癒しと、魅了の魔力を自然と帯びて…夜の山中へ、音が草葉の上を跳ねるように響いていく。
今は聞くものの居ない歌は、ただ木々の間を通り抜けるだけ。
半ば鼻歌に近いそれを誰に聞かせるでもなく口遊みながら、昼間釣って軽く捌いた魚に塩を振り、隻腕のせいで少し手間取りながらも、木の枝に刺して焚火の傍へ…少し遅い夕飯が焼けていくのを、見守るように火を眺めた。
■ヴェルソート > 「~♪…っと、焼けた焼けた。」
パチパチと火の粉が爆ぜ、魚の身に焦げ目がついたらさっそくとばかりに片方しかない手で棒を掴み、くぅ…となった腹に無精髭の生えた口元が笑みを浮かべ。
「おっといけねぇ…さっそくいただくとするかね……ふぅ。」
ふー、ふー、と何度か息を吹きかけてから…焦げ目の付いた魚の皮を破るようにパリ、と音を立ててかじりつけば、じゅわりと脂が口の中にしみだして。
「あっふ…!あふ、あふ……ふぅ、美味かった……~♪」
熱に少したじろぐが、慣れてしまえばハグハグと平らげていき…何本かあった魚はあっという間に胃の中に消える。
くちくなった腹を緩く撫でながら…ふは、と満足そうに吐息を漏らせば…また鼻歌を口ずさむ。
鼻歌、というには場違いな甘やかな戦慄が…再び森の草葉を揺らすように通り抜ける。