2023/03/25 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 九頭龍山脈、麓付近の山の中。
うっすらと輝く、僅かな灯り、その付近。
ばたん、どすん、と鈍い音に、蛙を潰したような、鈍い声が山中に響く。
「あー…いやぁ、すまんのぅ?
その向かおうとした先は、ちとあってな?
お主等のような、何かしでかしそうな輩は、通せんのじゃ」
ひらひらと手を振りながら、そう言葉を紡ぐのは。
狐を模した耳と複数の尻尾を持ち、異国風の着物を着付けた少女だ。
それに対し、地面に転がる数人は、それなりの装備に身を包んだ戦士風の男達。
更に、その背後には、それなりの身形をした商人風の男だ。
強かに背を打ったのだろう、呻いたまま、倒れた男達は、なかなか起き上がれない。
倒れている者達から、視線を商人風の男に向け。
少女は、にっこりと笑顔を浮かべる。
「して、どうする?
ご自慢の連中は、ほれ、この通りじゃぞ?
それとも、切札か何かでも、更に出してくれるかのぅ?
無いのならば、お帰りは、あちらじゃな」
と、そう続けて伝え。
ちょいちょいと、少女は、来た道であろう方角を指差してみせる。
■タマモ > ここに来たのは偶然で、この連中を見付けたのも、また偶然だ。
この九頭龍山脈には、色んな場所が存在する。
心地良い温泉から、釣りを楽しめる小川、探索を楽しめる遺跡や洞窟。
そして、人を避けるように生きる者達が住まう場所。
後者を除いた場所ならば、別に気にする事もないのだが。
少女が絡んだ者達が向かう先は、その後者の場所であり。
普段は、ここに留まらせている、式の一人に適当に守らせているものの。
今回は、己が出会ってしまった為に、相手をしてやっていた訳だ。
「………ん?ほれ、待ってやっておる訳じゃが。
まだまだやれるなら、相手をするぞ?」
それでも、時間が経てば、痛みも引いて立ち上がってくる訳で。
ただ投げ飛ばしただけでは、ダメージ的には大した事もなく。
むしろ、その程度で対処されて、ご立腹そうな者達が、数名程。
そんな相手を挑発するように、ちょいちょいと手招きをしてみれば。
腰の引けた連中を除き、面白いように、突っ込んで来る。
■タマモ > 「まぁ、そもそもじゃな?
身軽な相手と対峙する時に、そんな重い格好をしてどうする。
ご立派な武器や防具も、用途を違えば、無用の長物じゃろうに」
と、少女は言うものの、それは実力差があってのもの。
そもそも、大した実力も無い連中なんぞ、普通に雇われる訳はない。
やれやれ、と肩を竦めながら、言葉を続ける少女へと。
右から左から、相手が手にした獲物が襲い掛かる訳なのだが…
「そっちは踏み込みが甘い、こっちは、もう少しちゃんと狙え。
その程度の攻撃が当たる程、妾は温くはないぞ?」
右からの刃は、半歩下がって紙一重で避け。
その振り下ろされた動きに合わせ、ぐんっ、と自らが踏み込み懐へ。
その勢いが残った状態のままの、相手の腕を掴めば、勢いを利用して、その体を地面へと叩き落す。
左からの突きは、とん、と刀身の腹に手を添え、点をずらし空振らせ。
するりと背後に回れば、その上体を抱え、背中から地面へと打ち付けて。
投げ慣れていなければ、受身なんてそうそう取れるものでもないだろう。
再び、投げられた男達は、地面を転がる事になるのだ。
■タマモ > 多分、今襲って来た二人が、この中で強い方だったのだろう。
転がる二人をよそに、残った連中は、と言えば。
完全に臆した様子で、じりじりと後退っている。
商人風の男は、もちろん論外だ。
「ふむ…そろそろ、腕や足の一本や二本、頂いても良い訳じゃが?
さて、どうする?」
そして、そんな台詞と共に、こう、ぽきぽきと、やる気を見せるように指を鳴らしてみせようか。
一歩、二歩と、ゆっくりと歩みを進めるのに合わせ。
相手は、更にじりじりと後ろへと下がって行く。
…うん、見ていて面白い。
ここで、わっ!とか驚かせてみると、更に面白そうではあるが…まぁ、止めておこう。
ともあれ、とか何とかやってると。
覚えてろよ!とか、そんなありきたりな捨て台詞と共に、回れ右をして、全員が逃げ去って行った。
そうは言ったが、本当にやるつもりは無かったものの。
思いの外、聞き訳が良くて、面倒なく助かった。
去って行く背中へと、ひらひら手を振って、お見送りをしておく少女だった。
■タマモ > 己の瞳にも、映らない程に距離が離れた。
それを確かめれば、よいせ、と手頃な岩に腰掛ける。
「しかし、あの手の輩は、絶えんものじゃのぅ。
そんなにも、良い商売、とも言えそうもないんじゃが…
いやはや、妾には理解出来ん」
腕を組みながら、思案する仕草と共に呟き。
とりあえず、どうするか…と、考える。
そもそも、ここに来たのは偶然だ。
目的も、特にあった訳でもない。
何かあれば、良いなー…程度の、そんな感覚なのだ。
となれば、まぁ、もう少しだけ散策するか。
と、そんな結論に到る訳で。
ぐーっと伸びをすれば、再び立ち上がり。
適当な方角を、ぐるっと見回してから、こっちだ、と決めて。
そちらへと向かい、歩き出すのだ。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からタマモさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 山賊街道、なんて呼ばれるからにはもちろん奴らが出没する。
し、当然遭遇もしてしまう。
昼日中、寒風吹きすさび弱弱しい日差しのもと図らずも猛ダッシュで街道から山賊に負われ逃げる女が一人。
「もぉおぉー!! だーかーらーイヤなのよここー!!」
元気に苦情を云いながら藪を突っ切り、大樹を避け、突き出た木の根を飛び越えながら追跡して来る刃毀れした剣を手にした髭面の、いかにも云った風体の男を振り切っていく。
『待てコラー!!』
「それで待つなら最初っから逃げないわー!」
飛んでくる怒声に向かって律儀に返しながらも足は緩めない。
地の利はどうしたって向こうにあるのだから、こっちは精々この脚力を限界まで発揮してスピードで物を云わせるしかない。
だからわき目も振らずに道なき山中を駆け抜ける。
相当走った所で背後から投げつけられていた罵声がいつの間にか途切れていることに気づいては、はあはあと呼吸を乱しながら脚を止めずに振り返った、直後―――
「えっ…?!」
ず、と踏み込んだ先の足には地面が存在せず――切り立った崖の向こうに浮いていたかと思えばそのまま、大きく前傾し、
「っきゃああぁぁぁあぁぁー!!?」
悲鳴の尾を引き連れて真っ逆さま。逃げるのに必死な余り、前方の茂みの先が崖になっていることに気づかずに悲劇は起こる――
■ティアフェル > あるべき足場、土が、地が、面が、地面が、ない――!
何もない中空へと思い切り踏み込んでしまい、咄嗟に重心を切り替えることもできずそのまま転がり落ちていく―――
「あぁぁあぁぁぁぁぁぁー!!」
悲鳴が下へ向かって一緒に落下していく、その叫び声の先が微かに崖の上に引っ掛かって、しかし刹那に掻き消えやがて崖下の地表に叩きつけられた。
騒がしい悲鳴交じりのどしん、と鈍く低い衝突音の後には、しんと静まり返る一帯。
崖下で意識を失い、所々に裂傷を負い、頭部から流れる血をべったりと重く土に吸わせながら倒れ伏す一人の女。
一応息はあるようだが、軽傷とはとても云えない有様。
一見すると生きているのかどうかすら怪しく映りそうなほどぴくりともしない。
「………………」
返答がない、ただの屍のようだ。
そんな雰囲気。近づいてよくよく見ればそれには当てはまらないことが辛うじて判るが。
■ティアフェル > 崖から転落して静かに横たわる血まみれの死体……一歩手前。
腐っても死にかけてもヒーラー。
意識を取り戻せれば自力で回復も……恐らくできよう。
その後目覚めて復活できたかどうかは、今はまだ不明であった――
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からティアフェルさんが去りました。