2022/09/24 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル > 「きぃゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 山中を四方八方に悲鳴を上げて逃げ回る女が森閑とした宵闇を引き裂いていた。
 その背後には吠えたてながら追ってくる野犬が数頭。
 その女は断末魔もかくやというような絶叫の尾を引いて。表情を恐怖に染め上げ滅法矢鱈に駆けまわり―――、最終的に。

「………降りれない……」

 犬の追って来れない場所――と、無我夢中で高い樹によじ登ったはいいが、その太い枝のひとつに登り上がって、落ちないように座り込み。まだ下でしつこく吠えまわっている犬をびくびくと見下ろしながら、さめざめと顔を覆った。

「いつまでいる気よぅ……いい加減にしてよぅ……怖いじゃないよぅ……」

 そして登ったはいいが、犬がいないにしても高過ぎて一人で降りれそうにないじゃないかという……。

「我ながらポンコツ過ぎる……」

 自覚はあるらしく、情けなさと犬怖さで涙目になりながら樹上のポンコツは悲嘆に暮れに暮れていた。

ティアフェル >  登る際より、降りる際の方が難易度は高い。犬が立ち去ってくれたところで、この高さ……どうしたら。
 地上から6メートルほどの高さの枝までどうやったか分からないが必死で登ってしまった自分。恐怖の余り火事場の馬鹿力的な潜在能力がフルに発揮されたのだろう。
 人間追いつめられれば、なんでもやってのけるもんだ――遠い目をしてそんなことを考えているところへ水を差すように、凶悪な咆哮が響く。びく!と大きく肩を跳ねさせて。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!! わたしが悪うございました! お犬様たちは何も悪くございませぬー! 頼むからお帰り下さいお願いしますー!!」

 ヒィィィ、と慄き震えながら、幹に組みつき半泣きで叫んだ。こんな無様な姿――せめて誰も見ていないことが救いかも知れないが。逆に誰もいない山中、どこからも助けが入らず――降りれない。
 このままここにいるか、落下覚悟で降りてみるか――、犬がまだ低く唸りながら周囲を回る下を見て、その高さに腹部がすぅっと冷えるような感覚にぞっとして蒼褪め。

「いぃやあぁぁぁぁー!! だーれーかー!! たーすーけーてぇー!!」
 ワンワンワンワンワン!!

 悲鳴と被る犬の吠え声。静まり返った山中でここだけやたらやかましかった。

 街中でもあるまいし誰かなんている可能性は限りなく低いが。そんなこと冷静に考える余裕もなく情けなく泣き叫ぶ声が山中、街道から外れた場所で響き渡った。無駄でも何もしないよりは……マシかも知れないがそれなりに愚かしかった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカザンさんが現れました。
カザン > 今日も今日とて、のんびりと山を練り歩いていた巨躯の鬼
今日はどんな獲物を捕まえようかと、ずっしずっしと音を立てて歩いていたところ

『いぃやあぁぁぁぁー!! だーれーかー!! たーすーけーてぇー!!』

正に夜闇を割くような声が聞こえてきた
盗賊にでも襲われたか、あるいは魔物か
結局のところこの鬼としては、生き物は死んだらそれまで…という考え方なので間に合わない場合は見捨てるのだが
声からして、まだ元気なようだし、聞こえてしまった以上むざむざ見捨てるのも寝心地が悪くなる

「あっちかぁ」

のんびりした口調で、けれど飛ぶように一歩一歩山を進み、悲鳴の元へ
見てみれば草原のような色の服を着た人間の女がぎゃーぎゃー叫んでいる
木の幹に捕まっており、その下には狂暴な野犬
大方盗賊辺りに飼われていたのが野生化したものだろう

「おーい。犬ども。そこ、ちょっと退け」

野生動物と言うのは素直だ
強いものには従い、勝てると思った相手にはつけあがる
だから軽く巨躯の鬼がドスの効いた声を出せば、警戒しながらもずりずりと野犬たちは下がっていくだろう

「よし。…お前さん、大丈夫か?」

人間、それも女にしてはずいぶん高く上ったなあ、などと呑気に思いながら女の方を見上げてみる

ティアフェル > 「うぅぅ……誰も来ない~当たり前か~…しかしこのまま一生を終えるのは嫌すぎる……」

 情けなく泣き濡れながら幹にしがみついて悲観に暮れて。下でいつまで吠えてんだ、元気だな!と逆に感心したくなるくらいしつこい野犬たちを見下ろして詰んだ、と遠い目をして。
 救助など望めるべくもない状況にバカな叫びを響かせてしまったものだと、少なからず後悔し始めた、その時。

「――……?」

 まさかの助けが入った。すっかり諦めていた頃だったが、不意に吠えたてていた野犬たちが鎮まった。
 何事だと見下ろすと、

「……!」

 なんかとんでもなくでっかい人……とも思えぬ威容が映り。
 驚いたように目を見開いては幹にしがみついたまま固唾を飲んで地上の光景を見つめ。

 彼が一声かけた途端にすごすごと引き下がっていく負け犬たち。
 神経通ってる説のアホ毛を触覚よろしくぴんと立たせ。
 やがて犬を下がらせてくれたそちらから声がかかれば。
 敵か味方か、と逡巡したために返答が遅れつつも、

「だ、大丈夫! あ、あの……助けてくれたの…?」

 平気、元気、と返事をしてから、ここで降りたら犬の代わりに餌食にするつもりではないよね、と思慮しつつ恐る恐る尋ねて。

カザン > 犬たちはまだ様子を伺ってはいるが、少なくとも襲い掛かる様子はないようだ
夜闇から現れたのは、額に大きな一本角、紅い肌に赤い髪に腰巻姿。

今はまだ、女なのによく上ったなあ、と感心している様子

「おお。まあ助けたことになるな
死んでたら墓くらい作ってやったが、生きててなにより」

鬼もすぷらったな現場が見たいわけではない
余程この女が山にとって何かしたというなら話は別だけれど

「…大丈夫ならそれでいい。俺が居れば犬は寄ってこないだろうからゆっくり降りればいいぞ」

鬼の感覚としては
上ったのなら降りられるだろう、という筋肉馬鹿な感覚で見つめていて。
まさか犬に追い立てられて降りれなくなったとは想像もしていない

ただ腕組みをして、時々野犬を威嚇して遠くにやりつつじ、と見守っている…

ティアフェル >  助けに入ってくれた、というか、新手に見える風貌。
 月明りが照らす宵闇に薄く見えるだけでも、なかなか油断ならない、が。

 それにしては雰囲気が違う。交わす言葉や声に敵意が感じられなければ一応は安堵して。

「縁起でもないこと云わないで?!
 意地でも生還してやるー!」

 犬に追われる以外は特に何も成していない。むしろある意味山に迷惑を被ったと言いたいぐらいの心境である。

「ありがとう! しかしできればワンコたち、追い払ってはいただけませんでしょうかー!?
 近くにいると降りれないよ~……
 ってか……わたしどうやって降りたらいいと思う……!?」

 下におられる方としては、そんなこと知るか的問いを投げかけ。
 実は上ったはいいが降りるすべが思い浮かばない間抜けな現状。

「樹って、登れても無傷で降りるの難しいことを今痛感している…!!」

カザン > そもそもが、害するつもりなら会った瞬間にやっている
枝を折り、その顔にパンチでもすればそれで終わりだ
そうする理由もないが。

「はっはっは!威勢のいい女だなあ。いいぞ、まあもう少し脅せばいいだろう」

といった鬼は、腕組みのまま顔を犬の方に向け…

『―――――――――!!!』

身の毛もよだつ雄たけびを犬の方に向かって放った
結果、キャインキャイン!と声をあげて犬は山の闇へと消えていく…
女の方には向けなかったが、多少煩くはあるだろう

「…で、降りられんのか、お前。
それだけ元気なら、ほれ、そのまま落ちてこい。受け止めてやる」

犬を追い払えば、後は太い枝の上で威勢がいい女のことを解決しよう。
手を解いて軽く広げれば丸太のような腕が安心感を誘うかもしれない
自分が昇っては体重で木自体が大変なことになりかねないため、ほれほれ、と手招きして

ティアフェル >  見た目の割には危険性はない、という特異例らしい。
 それにしてもでかいしむきむきしている。
 一瞬迷いオーガが獲物を求めてきたように見えた。
 言葉を交わさなければ警戒は解けなかっただろうが。

「気合だけなら自信ありよ! ――ありがとう! 犬は駄目なの。イヌの前ではわたしの精神は滑かプリンです!」

 妙な自負を投げかけていたが、犬を追い払ってくれることを請け合ってくれれば、イイ人(?)とすっかり見直した目を向けるのつかの間。

「―――っ……」

 犬たちほどの直撃ではないが樹上からでも耳を劈くような凄まじい方向に一瞬気圧されてぞわっと肩を震わせ。
 尻尾を巻いて逃げて行った犬たちに数拍遅れてほう、と力を抜くように肩を落とした。

「うん!無理! なかなか自力で降りるの難しい状況に陥ってる!
 え、ぁ、あー……いいの? なんだか初対面で悪いわねえ……でも確かに、その風体ならわたし一人くらい軽そうね……」

 しかし、受け止める力はありそうに見えるが、受け止めそこなったりはしないだろうかと多少は危惧が過る。
 手招きを見下ろして逡巡気味にアホ毛を左右に揺らし。

「絶対、ぜーったい落っことさないでね…?! 絶対ね!? お願いね!? 一応怖いんだからね…?!」

 と、アホ程念を押して。彼が真下にいるのを確かめ。
 恐る恐るしがみついていた幹から手を離し。ままよ…!と一思いに飛び降りた。

カザン > 「よぉわからんが、ま、苦手なものくらいはあるわなぁ
俺は甘い酒が苦手だ」

はっはっは、と笑ってから犬を追い払えば向き直ったまま
念を押す女にじれたように手の動きを速める

「おお…。俺が天邪鬼だったら逆に落としそうなほど念を押すなあ
ああ。軽い軽い。目でも閉じて好きに飛べ」

実際、筋肉ダルマに見えるが俊敏性も相当に高い
例え、女が何か不思議なことがあって前に飛んだとしても余裕で受け止めるだろう
そしてそのまま落ちてくるなら、盛り上がった筋肉で存外優しく抱きとめる

丁度、お姫様抱っこ…ぽくはあるがどちらかというと子をあやす親のような抱き方

「おーーっとっとぉ……はは、嘘だ。もう地面に降ろすぞ。しっかり立てよ」

ただ、念を押してくるのが面白かったのか、受け止めた後にわざと女の体を傾けてどっきりをしかけ
すぐに撤回すれば、ゆっくり地面に降ろそうとするだろう
ふらつくなら支えるぐらいはする。女から見れば、見上げるほどの巨体も観れるだろう

ティアフェル > 「そうかあ、苦手がお酒って飲まなきゃ解決する範囲で羨ましいわ。
 わたしは甘いお酒好きだけどね」

 快活に笑いながらそう話す様子は、見てくれに伴わずなんだか親しみやすく感じて。
 それから、こういう人はまあ、わざと落っことしたりはしないだろうと判断し。

「だって…! 命懸かってるのよ…!? そりゃ慎重になっていいでしょ…?!
 よろしくね!? その剛腕を信じたわよ!? あと天邪鬼じゃないことも!」

 打ち所が悪ければどうにかなってしまいそうな高さだ。
 念くらい存分に押させてくれと主張しつつ、ぽーんと樹上から中空へ彼の言葉を信用して落下していく。
 一瞬の浮遊感と臓腑がすーっと撫でられるような落下していく感覚に分かってても怖い、と反射的に強く目を閉じてしまいつつ。
 どさりと安定感のある太い両腕でキャッチされて。

「ふ、あぁ……その冗談イヤアァァー! おっとじゃねーわ! やめて怖いー!!
 っあぁ~……と、ともかく……た、助かったぁぁ……
 あ、うん、ありがとう」

 ナイスキャッチだったのにわざと傾けてくる心臓に悪いどっきりにぎゃーと悲鳴を上げて総毛立ちつつ。
 悪い冗談から、きちんと地面に降ろしてくれれば、少しだけ膝が震えたので支えてくれる手に頭を下げ。
 親切だなーと感心気味に見上げれば、改めてぎょっとするほど。
 地上でこうして目の当たりにすれば、ルックスの危険度半端なくて。

「ぅーゎー……でっかいねー……ってか、硬、かったい……わぁー」

 思わずぺたぺたと鋼のような筋肉を確かめようと支えに入ったその腕に触れて。
 ひょぉーと目を丸くした、

カザン > 快活に笑いながら、頼まれたことぐらいはしっかりやろう
人間や他の動物というのはこれくらいの高さから落ちただけで大変なことになるのだ

ただ、悪戯には大いに驚いてくれたようだ
相変わらず威勢の良い女にはまたはっはっは、と笑う

「それだけ元気なら大丈夫そうだな。
……ははは、安心だろう?」

ぺたぺた触られれば背をかがめて触りやすくし、好きなだけ触らせる
身じろぎした拍子に、黒い角が月光できらりと輝いた

「で?何でこんな山の中来たんだ?もう夜も更けてるが…
何があっても知らんぞ」

その顔に浮かぶのは純粋な疑問
犬が特別弱点というならまあわかるが、それにしても時間が遅い
『依頼』というやつだろうか、などと思いながらできるだけ目線を合わせていて
腕や肩は、女が望む限り好きなように触れるだろう

ティアフェル >  まったく、洒落にならない、と仕掛けられて憮然とするも。
 恩人相手という状況下では全力で文句も云えない。
 ふう、と聞えよがしにため息を吐きだして。

「お陰様でね。悪い冗談がなければもーっと良かったんですけど。
 敵に回せばこれほど危機感のあるもんはないけど……そうでないなら確かに、安心、かな?」

 好きに触っていいらしい。
 異性相手というよりも珍しいもの相手というように興味深げにぺたぺたと掌で確かめるように硬く鍛えた筋肉に触れて。
 おー。と感嘆符を零し。薄く閃く角に気づくと、それにも触ってみたい、と好奇心に満ちた子供のように手を伸ばし。

「もう何事か起こった後ではありますが。そして知らんといいながらすでに介入してくれた訳ですが。
 ちょっとお仕事でして。これでも冒険者なの。犬さえいなきゃ余裕だったんだけど……。
 そうそ、わたし、ティアフェル。見た目通りの人間です。あなたは? 名前は? なんて種族なの?」

 魔物であろうが魔族であろうが害意を持たれていないのであればやたらに嫌悪も偏見もなく、目線を合わせてくれるそちらへ、軽く乗り出すように興味深げに尋ね。

カザン > 「それくらい許せ。いい女にならねーぞー
無意味な暴力はつまらんからなあ…。本気になれる喧嘩なら別だが」

軽口を言いながら、ん、と頷く
男が拳を本気で振るうのはそれこそ同種か、似たような力を持つ相手だけだ
それ以外は基本、見守り、育てる方針である

「なんだ?触っても特になんもねーぞ」

角に興味を示されれば軽く頭を下げて言外に触れる許可を出す
触ってみれば、つるつるとした、しかし堅い感触をその手に返す
女が全力で折ろうとしても折れそうにないだろう

「ふぅん。人間は相変わらず大変だなぁおい…
俺か?俺ぁカザン
鬼だ。オーガー…とはちぃと違うからその辺はよろしくな」

前に冒険者に討伐されそうになったことを思い出して苦笑いしつつ
理性のある瞳で自己紹介をする

「仕事かわからんが、あんまり無理すんな。今日は俺の寝床に泊っていけ」

ふすー、と息を吐いて。
一時的に追い払っただけで、犬どもにまた絡まれる可能性もある
だからねぐらに泊って行けと提案して

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