2022/09/04 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にソティさんが現れました。
■ソティ > 九頭龍山脈、その山中に金属を打ち合う音が鳴り響く。
二度、三度と続き、暫くは駆ける足音と替わり、また響く金属音。
戦慣れしたした者ならば、それが何の音か予想の付くものだろうか。
そして、その音の先から茂みを突っ切って現れたのは一人の少女。
両手に剣を握り、その剣を収める鞘だろう、それが守る様に手前に浮かんでいる。
ドレスの裾を靡かせ、一度来た道を振り返り。
「……後…何匹…?」
そう呟きながら、更にその茂みから距離を置いた、後から次いで現れたのはゴブリンだ。
ただ、耳を澄ませばもう数匹は足音を聞き取る事が出来るかもしれない。
少女は現れたゴブリンだけに注意は向けず、周囲にも気を配っているか視線は左右に揺らぐ。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にフセスラフさんが現れました。
■ソティ > 少女の眼が左右を確認し終え、正面に向き直る。
その間に距離を詰めるゴブリンが、その手に持った剣を振るうのだが。
ギンッ!と前に浮かんでいた鞘が動き、その刃を妨げて。
「……!」
それに続くように少女が剣を横薙ぎに振るい、ゴブリンへと斬り付け、倒す。
これ以上戦えないのを確かめれば、剣を振って剣を穢す血を払う。
「…………無理、しなければ…死なない。
皆、同じ…だから、大人しくしてて」
そう倒れたままのゴブリンへと言葉を向け、周囲をまた警戒する。
■フセスラフ > ある、この山を越える為に貿易商の護衛としての任務を言い渡されて。
その貿易商を無事に送り届けて、他の騎士たちに混ざらずに、というかハブられて帰る道の途中。
ミレー族としての特有の狼耳が、金属音を拾った。
「だれか、たたかってる……?」
その音に向かって、四足動物を思わせる低い姿勢で走り出す。
そこで見つけたのは、一人の少女が魔物を相手に戦っている姿。
戦闘は終わったのか警戒している少女の姿に、近づこうか迷うが。
「……!危ない……!」
その言葉と共に、自らの得物である槍を投げた。
対象は少女―――に倒されていた、やられたフリをしていて飛びかかるゴブリン。
そのゴブリンを槍が貫いて、周囲に血の池が出来上がる。
「だいじょうぶ、ですか!?」
どこかたどたどしい言葉で、褐色肌の、白い髪をしたミレー族の青年が少女へと姿を現す。
■ソティ > 後数匹、追って来ていた筈。
注意を怠らない少女ではあるが、だからこそか。
もう動けないと思ったゴブリンからは注意が外れていた。
「……誰か…」
居る、そう続くべき言葉が言い切れなかったのは、倒れていたゴブリンを貫く槍が邪魔をしたから。
その音に新たに現れた相手に向けるべき眼がゴブリンへと向けば、槍に貫かれ振るおうとした剣が落ちてゆく光景が映る。
掛けられた言葉、目の前の光景を見れば、その状況は理解出来るようで。
「…………」
姿を現したミレー族へと向ける眼。
確認する彼の言葉に即時の反応は見せず、僅かの間見詰めた後。
「…大丈夫」
それだけを短く答えた。
残ったゴブリンが居た、そう思われたのだが。
新たな敵の出現に撤退を余儀なくされたか気配は感じられない。
■フセスラフ > 騎士服らしき服を身につけ、その首には鋼鉄の首輪。
それを覆うようなボロボロの赤黒いマフラーが巻かれている。
非情に目つきの悪いそのミレーの青年が、少女が無事であることを確認するとホッと息をついて。
「ぶじなら、よかった」
そう言う青年は、他の倒されていたゴブリンの手から剣と棍棒を奪って周囲を警戒する。
鼻を鳴らして、耳を動かして索敵するが周囲に先程までもっとあったゴブリンの気配が薄まっていく。
それを感じて、しかし警戒を解くことはなく少女へと近づいて。
「……ごぶりん、ほとんどいなくなった、みたいですね」
そう言って、ゴブリンを貫くのに使った槍を引き抜く。
「たびのひと、ですか?ぼくは、まぐめーるの……騎士?です」
疑問形や、時折言葉遣いはおかしな点があるものの、その言葉には誠実さが感じられるだろうか。
少なくとも、嘘や胡散臭さは感じない、ただ目つきが悪いだけのミレー族の青年には見える。
■ソティ > 静かに彼を見詰める眼には何の変化も見られない。
特に何か感情が表れる訳でもなく、その身長からかただ見上げる形になっている。
勘が鋭いなら、その視線からは探る様な何かが感じ取れるのかもしれないが。
そんな視線は向けられたまま、武器の回収と警戒をする様子も見詰めていて。
近付き掛けられる声に頷いて答える。
こちらもまた、ゴブリンの気配が遠退いたのが分かっているからだ。
「……そう、旅人。旅の…途中。
貴方は………そう、まぐ…めーる…の、騎士?
今は…ここは、そう呼ばれて…いるんだね」
彼の質問には答えながらも、彼自身の紹介には小さく首を傾げてみせる。
騎士は分かる、つまりはその前に連なるのは国名か何か。
この付近に居るという事は、今のこの辺りの国の名前がそうなんだろうと。
逆に、こちらが他人の言葉にそう疑念を抱いたりしていない事に気付けるかどうかだが。
それは彼の感じ取り方次第となるのだろうか。
■フセスラフ > もともと、人からの感情には敏感な方であるがためにそれには気づいているが。
少女から探られるような視線を受けて、青年は特に不快に思うようなことはなく
悪意ではないのならばそれでいいと思って。
「そうですか。たびのとちゅうなら、よければちかくまであんないしますか?
……あ、いや、ここはまぐめーるではなくて。あー」
なんとなく、彼女がどういう認識をしているのか理解する。
「まぐめーるは、ここのちかくにあるくにです。
ですが、ここはそのくにのばしょではないです」
念のためそう言ってから。
鉄製の、使い込まれているのであろう槍は錆びていて。手入れをしていないのか、出来ないのか。
しかしその槍を、懐から薄汚れた布を取り出して血を拭う。
少々乱暴ではあるが、大事に使ってはいるのだろう。
「よかったら、ちかくまであんないしますか?」
と、その槍を背中に納めながら少女に声をかける。
純粋な厚意なのもそうだが、なんとなく一人にさせておくと危なそうと思ってしまった。
なんというか、悪い大人に騙されそうだったから。
■ソティ > 視線の意味を理解していようとも、それに悪い気分になっていないならば少女は何も感じない。
気にした様子もなく言葉を交わしてゆく事だろう。
「そう…マグメールは、国名だけど、ここじゃない……うん、ちゃんと、覚えた。
案内…?……近くなら、街とか、村とか…あったら、教えて欲しい。
遠いなら、場所、教えてくれるだけで、良い」
彼が国の名を背負う騎士なら、あんまり自分の為に時間を割かせるのは悪いと思うけれど。
安心して身体を休められる場所は欲しいところ。
それが近くにあればそれを願う訳だが、遠そうならば教えて貰うだけで自分で向かおうと考えて。
それを彼へと伝えながら、手に持っていた剣を鞘に向けて差し出せば。
浮いていた鞘が自ずと収めていき、改めて少女はその鞘に収まった剣を両手で胸元に抱えるのだった。
その剣は、彼の槍とは違い穢れ一つない新品同様の代物であるのが見て取れただろう。
■フセスラフ > 少女がその言葉を理解していくのならば、青年は説明がちゃんとできたことにホッとする。
そうして彼女からの言葉に頷いて。
「わかりました。じゃあ、ちかくのむらまで、とりあえずあんないします。
えんりょはしなくてだいじょうぶですよ。そういうしごと、ですからね」
そう笑みを見せて、彼女を案内するために歩き出そうとして。
そういえば、と彼女の武器を見る。
見た目ははっきり言って、少女、それも幼いと言ってもいいのだが。
そんな彼女が振るうにしては、とても大きいように見える剣。
それも、おそらくは新品でありながら、先ほどゴブリンと戦っている彼女の姿を思い出すと。
どうにもちぐはぐに感じる。
「あ、ぼくは、フセスラフ、っていいます。あなたのなまえをきいてもいいですか?」
■ソティ > 「近くの…村、分かった。
案内も、騎士の仕事……だった、かな…?
でも、そう言うなら…そうなったのかな」
少女が正しく騎士がどうあるのか、それを知る訳もなく。
彼がそう言うならばそうなんだろうと納得して。
案内をすると歩き出すなら、その後を付いて行こうとするのだろう。
抱える剣に向けられる視線に、ジッと彼を見詰めると。
「私は、この子と共にある、それだけだから。
フセスラフ、ね……うん、私は、ソティ」
それだけを彼に伝え、自分も彼へと名乗りを返すのだ。
彼が、自分を見て何を思うのかは知らないまま。
■フセスラフ > いちおう、仕事の内容としてはこういう民間人を守るのも仕事、と言われている。
自然とそうやって自らに仕事を課して、少女が後から歩きだして。
「ソティ、ですね。……この子?」
それが剣を指しているとは普通は思わないだろう。
だから青年は一瞬、首をかしげるが、なんとなくその意味を察して。
「そっか……うん、ソティはその剣といっしょにいきてるんですね。
でも、どうしてたびをしているんですか?」
歩きながらそう聞いて。他愛のない会話、というべきか。
探るようなつもりはないが、無言の道中になるぐらいなら何か話すべきかと思って。
「その剣、だいじなんですね。たぶん、とってもだいじだとおもうけど。旅をしてるのも、それとかんけいしてるの?」
■ソティ > 民間人、と考えているならば少し違うのだろう。
だが、その考えは彼が抱くものであって、それを自分がとやかく言うものでもない。
後ろを付いて歩きながら、向けられる疑問に首を傾げたままに。
「別に、理解してくれなくても…良い。
この子だけを、私だけを…見るだけ、しなければ」
これを伝えれば、大概の相手は意味を理解しないまま、不思議そうにしているものだ。
偶にそれを変な風に受け取って、苦笑する相手も居ただろう。
だから…それを他愛の無い会話の一つとして扱う彼に、それ等とは違う何かを感じる。
「大事……うん、とっても。
旅は…旅をしているだけ…ただ、それだけ、理由はないの。
今の…この地が、どうなっているのか…分かりたい。
この目で、ちゃんと…見て…知りたい。
そうすれば…分かるのかも、しれないから…」
たどたどしい、彼と同じように、伝えたい事をはっきりと伝えられない少女。
伝えられない理由があるのか、自分自身でそれを理解していないのか、それは分からないところだが。
ただ、変に何かを隠したり、言い誤魔化したり、そうした事は得意そうではない、そう少女から感じ取れるだろうか。
■フセスラフ > 「剣だけを、ソティだけを……?」
その言葉に、青年もまた大半の人と同じように不思議そうな顔を浮かべる。
少し考えてから、頭を上げて。
「ソティと剣の両方を、しっかり見てほしいっていうこと?」
その解釈が当たっているかはわからないが、間違っていてもかまわない。
ただ、彼女がそれらの言葉をしっかりと何らかの意味を込めて話している。
なら、自分もしっかりとそれを受け止めて話してみよう、と。
「旅にりゆうはないんですね。……このあたりのことをしりたいっていうのは。
くにとか、そこにすんでるひとたちのこと、っていう意味、ですか?
……わかる?」
きっとこの少女はただ、自分と同じようにしっかりと考えたことを伝えるのが苦手なのだろう。
それは単純に気恥ずかしさからとか、そういう意味ではない。
伝えたくても、それを口に出せるような言葉や、表現がわからない。
あるいは、なぜそれをしたいか、しているのかの意味を理解できていないということもある。
フセスラフの場合は、前者だが、ソティと名乗るこの少女は後者にも思える。
いや、おそらくは”なんのため”かはわかっているのかもしれないが。
「なんだか、たいへんそうですね……。
たびをこれからもつづけたり、アテとかがないなら、よかったらてつだいますか?
ぼくは、騎士、ですけど。きほんてきに、あまりしごとをまかされないから、じかんはありますし」
■ソティ > 彼の言葉に、再びジッと彼を見詰める。
何時もと変わらない、不思議そうな表情が窺えるも。
「……そう、それだけ」
細かい説明はしない…出来やしないのか、する気が無いのか。
彼の言葉にそれだけを短く答える。
「多分……そう、だと思う」
その少女の答えに、彼がどう受け取ったのかは分からない。
だが、考えても浮かばない答えを少女に出せる術はないのだ。
ただ何と無くそうなのだと、思った事を伝えるだけ。
「………大丈夫。
でも、分かって…必要なら…」
分からない状態で頼るのは、意味のない事をやらせるのと変わらないだろう。
どんな気持ちで手伝うと、そう言ってくれているのかは理解出来ないが。
頼るならば、頼れるのだと判断した時にそうするのだろうと。
だが、そんな確証も抱けない内容をはっきり伝える事は出来ず。
そんな半端な答えとなってしまうのだった。
■フセスラフ > なんというか、言葉が足りないというよりは……。
言葉を出すのが難しいというべきか、もしかしたらまだ言葉を覚えていないのか。
そんな風に感じてしまうほどだが、旅をしていればそういうこともあるのかと思って。
「よく、わからないけれど。きをつけます。それが、ソティの望みなら」
短い答えに、よくわからないまま頷く。
仮に追及しても、彼女がそれをしっかりと答えられると思えなかったから。
「ん、はい。じゃあ、ひつようなら、いつでもいってください。
たぶん、ひつようになれば、ぼくはきていますから」
半端な答えでも構わないと頷いて。
なんとなくでしかないが、彼女が必要なら、というのなら必要な時に自分は呼ばれるのだろう。
その時に必ずしもそこにいるとは限らないが……。
なんとなく、その時が来るのなら、自分もそこにいるかもしれないと直感して。
「わからないままでも、ぼくはいいですから。どーか、ごえんりょはなさらず」
と、振り返って、少し不器用ながらも気遣いからか、少女へと笑みを向ける。
■ソティ > 言葉にするのも難しいし、上手に伝えるのも難しい。
だから、自分は伝えられる範囲で伝えるに留める。
後の理解は伝えた人に任せるしか、後はないのだと、そう自身は思っているから。
彼の答えには一つ頷いて返し。
続く言葉に大しても、少女は頷くのみだった。
それはその答えを言葉にしても、それを肯定するだけのものであるには変わらないから。
「分かった…」
しかし、最後の最後には結局言葉にして答える。
変わらずともそればかりは悪いと、そんな考えを抱いたのかもしれない。
浮かべる表情は変わる事はないのだが。
その後は、そんなお互いに拙い会話ややり取りが続くのだろう。
少女は彼が何かしら話せば、何かしらの反応をちゃんと見せはするのだから。
■フセスラフ > 頷く少女の姿に、特に不快に思うこともなく。
こういう風に、言葉を出し切れないのは自分もそうだという自覚もある。
特に、今までもそうだったと思えばこれぐらいなら普通だと思う。
実際のところここまで言葉が少ないのは些か普通とはいいがたいが。
「はい。じゃああとすこしですし、いきましょうか」
表情の変化のない少女を見て、二人して歩き出す。
浅黒い肌の青年と、白い肌の少女。山道の中、時折会話をしつつ。
魔物や獣に会うこともなく、青年と少女は目的の村までやってくることができたのだろう。
そこで別れたか、あるいはまたついてくるかはわからないが……。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からソティさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からフセスラフさんが去りました。