2022/07/09 のログ
■フォイアルディア > 「……ふぁ。いけないいけない。水の流れが気持ち良すぎて、ぼうっとしすぎた……。」
――ざばぁ。と音を立て、その身体が起き上がった。
やることがなかったから涼む。その方法が全身を川に浸すというとんでもないことだったけど――いい感じに火照った肌は冷え、清涼感がやってきている。
下半身は未だ水に浸したまま、上半身だけ起こした格好で、ぼーっと……伏し目がちな瞳が、前を視る。
何もない。何もないが。
「こうやって、平和な一日も悪くはない。かー……。うん、今日はダンジョンはやめとこっか。
……ん、水に浸ってたらお腹すいてきたな。……あれかな。浸ってるだけでも全身運動になってた?……よくわかんないけど。」
――視線を下方へ。自身という障害物を避け、泳いでいる獲物がいる。
そう。此処は川である。少しぐらい水温を上げた所で、誰にも怒られない。
ということで。人差し指を伸ばす。其処に具現するのは、焔の紅球。
簡単に言えば、ファイヤーボール。どこにでもあるようなシンプルな魔法。その魔法に、更に術式を重ねる。
「まざれ、まざれ。……深紅の爆炎。……ほい、エクスプロージョンっと……。」
焔+爆発+破壊力。様々な術式を重ねる事で、増幅する破壊力。いわゆるタメ。詠唱が必要故に戦闘で使うことはあまりないが――
それを、自分がいる箇所からかなり離れた箇所へ、撃ち放つ。
放物線を描いて飛んでいくる紅球。
それが、水面に着弾した瞬間――。ど、おおおおおおおおおお――――ンッッッ!!!!
「――ぶふんっ!!」
火柱と共に、波を起こすほどの爆発が起き、其処にいる魚達が一瞬にして絶命し――。
ついでに術者の顔面に表面をこんがり焼いた魚が正面衝突した。浮かぶ魚は、10匹前後。大漁、であるが。
「あづづ…………やっば。やりすぎたかー……?」
――獣なり、冒険者なりが飛んできそうな規模の爆発を起こしてしまったゆえに、きょろきょろと、周りを見渡し。
■フォイアルディア > ――幸い、かはともかく。その爆音でやってくる存在はいなかった。
「……ふぅ。……なにより。……爆発魔法する時はもう少し気を配らないと……。よっこいしょっと。」
――そう呟き、ゆっくりと水面から体を起こし、ぷかぷかと浮く焔に焼かれた魚達を回収する。
一匹も無駄にしない。全部、自分のご飯である。少し量が多く感じるが――大丈夫。なんとかなる。なんなら加工して夜に回してもいいのだから。
「あー……そういえば、さっき倒した盗賊の戦利品。漁ってみるかー……。
塩とか胡椒とか持ってたら、うん。調理に幅が出来るし……。よし、善は急げ……っと。」
――そして、濡れた格好のまま、向かう先は森の中。
其処には先程、正当防衛で倒した山賊たちの荷物を転がしている。
……何せ、此処を根城にしている存在だ。そういったものは少なからず持ち合わせているだろう。
――ということで、今日の昼食は、お魚のフルコース。山賊の調味料を添えて。……になったのであった。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からフォイアルディアさんが去りました。