2022/02/13 のログ
■ティアフェル > やることはやった、後は見守ろう、とでも決定したかのように傍らで護衛よろしく座り込んでいる、誰か。
意識が戻って真っ先に見えた人物。
最初はぼんやりとした輪郭。
辛うじて男性だということが分かる程度。
語り掛けられる声は誠実そう、とは云えなかったがしかしどこか気遣ってくれるような響きで無意識に安堵する。
追い打ちをかけられる心配はなさそうだと。実際は追い打ちどころか救助だった訳だが。
何分追ってきた山賊なのかどうかすらも分からない状況。
「……っは、っはぁ~……い、痛かった……え、とあれ……?」
傷を粗方塞ぎ、痛みを軽減させてかなり落ち着いたところで気づいたのは処置された状態。
手首の添え木に気づいて目を瞬かせて手を持ち上げ。
「これ、あなたが……?
えっと、通りすがりの格好いいエルド、さん?
うん、集中利くようになったから……もう少し……」
やっておこう、と折れた手首と後頭部、それに罅の入った肋骨の具合を察して。再び先ほどよりは大分安定した発声で詠唱を紡ぎ、術式を折り上げると淡い橙の光を掌から生み出し、患部へと翳し。
そこでようやくほう、と大きく息を吐き出した。相変わらず衣服はぼろぼろで髪は乱れて血でべっとりだが、外傷は全て癒し。
「かわいいだなんてそんな。起き抜けに気分いいなあ。
わたしはティアフェルっていうの。ちょっと山賊に追われて……崖から落っこちたようですね。
あなたが助けてくれたのね。どうもありがとう! 親切なイケメンは祝福されるべき!」
手を握られていたので、握り返してぶんぶんと振り。こちらもこちらで調子のいい発言。
■エルド >
此方は勝手に、上から滑落したものだと思いこんでいて
ドジで可愛いなぁとか考えていたわけであるが
死にかけの状態で可愛いとはなんか違う気もする。
ともあれ、添え木の存在に気づいたのならば
持ち上げる様子に、大丈夫かよと心配そうな目を向けたが。
「ああ、俺がやっといた。
回復魔法でどこまで治るのか分からんが、とりあえず付けとけ」
いらなかったら返してくれていい、と柔らかく笑みながら
そう付け加えた後は、綺麗な声で発声される詠唱に聞き入り
淡い橙の光にも綺麗だと目を細めて眺め。
格好はとりあえず、街に戻ってからでも問題はなく
此方がやることはないだろうと静観の構え。
「ふは、事実を言ってるだけだ。
ティアフェルね……て、山賊に追われてたんかい……ただ滑落したんだと思ってたわ
いえいえ、可愛い女を助けるのは男の義務だからな……ははは! ありがとさん」
思っていることを伝えているのだが言葉が妙に軽い。
そうして、イケメンと呼ばれてちょっと顔を赤く染めた
自分で言っといてなんだが言われ慣れていないようで
頬を掻いた後はブンブンと振られた手に笑みを浮かべ。
「お礼はデート……それか酒でもいいぜ?」
ずっと握られていてもあれだろうと手を離し、胡座をかいたのなら
じぃっとその綺麗な瞳を見据え。
■ティアフェル > 崖から派手に落ちてかわいいという感想を抱けるのはかなり特殊。
けれどもその辺の心情を存じ上げないので現場は至って平穏で。
添え木された手を持ち上げると気づかわしそうな眼差しを受けたので、へーき、といいたげに笑いかけ。
「そっかあ、ご親切にありがとー。頭の方も……処置してくれたみたいで助かったわ。
すぐにやってくれたおかげで死なずに済んだみたい。
――ん、本職ヒーラーですからちゃんと治ったわよ。だからお返しするわね。お世話様でした」
ぺこりと頭を下げてするりと固定された包帯を解くと手慣れた様子でくるくると巻き直して添え木と一緒にご返却し。
「やー……こんなズタボロな有様でもそう云っていただけるとは。恐縮です。そそくさと髪を直しておこう。
ティアでいーよ。山賊から逃げててうっかり前の茂みの先が崖になってることに気づかなくって……落ちました。……いやー改めて見るとスゴイ高さ……即死してなくてよかった……。
素敵な義務! みんなそんな義務を背負って生きて欲しい!
――金髪に金の目……輝いてるねえ……」
とった手を振った後は乱れた髪を直して衣服を多少なりとも整え、べったり付着した血を取り出したハンカチで拭い。それから鞄の中に納まったポーションの小瓶たちが全滅していることに「ぁー」と嘆いた。
誉めると照れる様子に小さく笑って、それからしげしげ眺めると感心したように一言。金髪は珍しいというほどでもないが、瞳まで金色なのは少し変わっている。
晴れた夜の望月めいていると感想を抱き。
「おっけー。命拾ってもらっちゃったし、お酒奢っちゃうし、わたしで良ければデートもどんとこい」
胸を叩いて任せとけと云わんばかりの態でにこにこ笑って気軽に応じた。
■エルド >
変な感想を言っていれば変な目で見られていただろうから幸いであった。
平気だと笑いかけてくる顔も可愛らしく、やっぱ可愛いねぇ、とぽそり。
「ん、ああ……起きてない時で良かったな、起きてたら悶絶してたぞ
いやまぁ、頭の出血は大げさに見えるからな
その腕前のヒーラーだったら一人でも問題なかったろうさ」
手慣れた様子に包帯を巻き直し、添え木と一緒に返却されれば
それを受け取り、元に戻せば、頭の傷を治した激痛ポーションも
もとに戻しておく。
「血も滴るいい女……は違う気がするな。猟奇的すぎるわ
あー、逃げてる時は注意が疎かになるからな、しょうがねぇ
ほんと、即死しなくてよかった。おかげさまで美女が減らずに済んだ
ははは! 男ってのはそういうもんじゃねえか? あ、いや、山賊に追われてたんだったな」
身なりを整え、付着していた血をふき取ったのなら更に容姿が良くなり
うんうんと満足げに眺めていたのだが、鞄の中を見る様子に
此方も鞄の中を見せてもらえば。
「あー……見事に割れてんな。売りもんか何かか?」
遺伝である金の瞳をかばんの中に向けながら、そう問うた後は
しげしげと眺めてもらって、久しぶりの異性との交友に
少し胸をドキドキとさせたが。
「お、まじか。言ってみるもんだな。じゃあ今度行こうぜ?
まぁ、デートプランには乏しいわけだが頑張るさ」
こんな可愛い子とデートできるなど嬉しいことでしか無いため
期待はすんなよ? とハードルを下げておきつつ。
■ティアフェル > ぽそっとした声を聞きつけて、にーこりと笑っては大きな声で云ってくれていいのよ、と半ば強要。
余計なことをするからかわいくない女。
「うぅ……結構痛かったもんな……頭蓋骨やられちゃってたかも……。
いやいや、放置されてたらそのまま意識を取り戻せずに一巻の終わりだったかも」
下手打った、と微苦笑気味に頬を掻き。何もなければソロでも活動できるのだが、こうなってしまっては一人だと死ぬなと。
「やだ、そんないい女になりたくない。ホラーすぎる。目が合ったら死ぬ奴だよ。
まさか山賊のみならず断崖までもがわたしの敵に回るとはです。ほんと一寸先は闇ね。
うふふっ、美女……いい響き。気分と口角が上がる。
そーよ、そんな義務感を抱いて生きている男もそうそういないのよ。貴重な人材だわ。ぜひ長生きして義務を全うしてください」
身づくろいを終えればおもむろに軽く拝み始めた。
そんな義務がもっと世に広まればいいなと願いながら。
見た目より大容量に魔法の掛けられたウェストバッグ。水薬コーナーの瓶が見事に破損していて液漏れもすさまじい。
思わず天を仰いだ。
「これは自分用、不測の事態に備えていつも装備してるのよ。今回も危うく呪文が唱えられないところだったし。
回復ポーションに増強剤とか」
金色の目ってお月様みたいでいいわね、と覗き込んでは軽く笑い。
そうしてデートくらいならと軽く了承して決定し。
ナンパな印象の割には意外と自信なさげなところに肩を揺らし。
「うん。わたしのお礼のデートなんだからわたしが楽しんでもらうように頑張るべきっしょ。
まー、わたしもデートなんて久しぶりだからここぞと連れまわしちゃうかも」
■エルド >
「いやー、ティアは笑顔も可愛いなー! 地上に舞い降りた女神かよ!」
ニッコリと笑った顔に圧を感じてすかさず対応
さっきから、筋肉がすごい人に掛ける言葉になっているような
そんな気がしないでもない。
「まぁ、なかなかグロかったがそこら辺は慣れてる
んまー……その可能性もあったが、とりあえず無事で良かった
ふはは、完璧な人間なんていねぇのさ」
うちに欲しい逸材だと、その腕を買ってそう付け加えたものの
今の格好ではただの夢追人である。
そうして、次の言葉には爆笑しつつ。
「ぶはっ、ははは! たしかに目が合ったら死ぬモンスターだな。
ティアは賢いだろうから次からはないだろうよ、ただヒーラーなら前衛は連れねぇとな
事実だからな――お、おう、またピンチの美女見かけたら助けるわ」
なんか拝まれてる
内心で爆笑しながらも、彼女に言われ長生きをしようと決め
そうして、ウェストバッグは見事に水漏れにあっていて
思わずと「うわぁ」と顔をひきつらせ。
「回復ポーションは分かるが増強剤とか、前衛でもすんのか?」
彼女の言葉に直りかけていた顔の赤みが再び増し
ごほん、と意識を切り替えれば肩を揺らす様子と次の言葉に
尊いものを見るように目を細め、スッと拝む。
「聖人かなにかかティアは……!
むしろ連れ回してもらったほうが助かるってもんだ」
ついでにポーションも買いに行くか? と治療に使った
ポーションを取り出す、その瓶にはドクロマークが書かれていたり。
■ティアフェル > 「きゃあ、云い方気になるけど美辞麗句万歳。もっと云って枯れるまで云って」
調子に乗る一方なのでいいなりになるものではないという好例。
しかし、マッスルに対する賛辞みたいな空気になっているところは否めないので若干引っかかってはいた。
「慣れちゃったか……。グロい職業なのね。
そうね、まったくよ。たらればなんかよりも命あっての物種よ。
……うち?」
至って平服な彼の職業は察しがつかない。なんだろう。同業者ではなさそうだが。ヒントが足りない。
小首を傾げて観察するような視線を向けて。
「そーよ、もはや都市伝説の女よ。怪奇、街角に出没する『血の滴るイイ女』
っぅ……そうありたいものです。組んだりもするんだけどね。まあ、ソロでもどうにかやってけるから。
うん、わたしがピンチの時も同様によろしくね」
冒険者、たびたびピンチには陥る。真顔で拝んだ末にちゃっかり捻じ込んでおく。
壊滅状態の鞄から瓶の破片を慎重につまみ出して、その辺に埋めて廃棄していく。
「今度からは割れない容器に入れないとね……。
――必要があれば、殴ります」
積極的に敵を殲滅したりはしないが、時と場合によっては実力行使。殴ります、と拳を握って見せ重々しくお答えした。
今度は逆に拝まれて、まあまあ、落ち着きなさい青年よと泰然と声をかけ。
「セイントティアフェルと呼んでくれても一向に構いません……冗談はさておき。
命の恩人なんだからおもてなしのひとつやふたつはしないとね、罰が当たるわ。
そー? でも女の買い物に連れまわしたらお礼になんないわね」
ポーションは自家製なので大丈夫、と答えつつもスカルマークな瓶を見て、それは毒では…?と見とがめた。
■エルド >
「たまご肌ってレベルじゃない! 顔に美を宿してんのかい!」
ネタが切れるのでそろそろ止めておこうと
口元にそっと添えていた両手を下ろし、額に浮かぶ汗を拭っておく。
確実にマッスルに対する賛辞のそれであった。
「そうそう、何でも命あっての物種なのさ。
おう、騎士やってんだけどよ……軍医とか興味ねぇ?」
凄腕の彼女が入れば、さぞ助かる命が増えるであろうと
小首をかしげる様子にキュンとしながら答えを教え
唾を付けてみる。
「くふっ……! それ良いな…ぷはは…! 噂流しとくわ。
冒険者か、てか……ヒーラーがソロって肝が座ってるていうかなんというか
ああ、まぁ……たまに息抜きで冒険者やってるから、見かけたらな」
ちゃっかりねじ込まれた言葉は勿論のこと、頷いておく
可愛い子を救うのは気分もよく、お近づきになれるのでしっかりと助けるつもり。
そして、瓶の破片を産めて廃棄しているのは見ないふりをしておいた。
「なるほどなぁ……いや、拳かよ」
流石に武器はもったほうが良いのでは、と付け加えたものの
拳を握り重々しくお答えされたら、鉄拳なのだろうと納得しておく。
次には、誰だよ、とツッコみたいのを堪えながら内心で再び爆笑。
「セイントティアフェル様……! おう。
いやいや、こんな可愛い子とお近づきになれんだから問題ねえさ
それに、連れ回してもらうのも男の特権だ」
自家製であれば問題ないか、と安堵の息を吐いた後に
見咎められれば、引きつった笑いをこぼし。
「小さな傷口に垂らしても叫ぶやつが多いから
悪戯に使用されるんでな……一応これをつけてる……毒ではない、はずだ」
戦場で使っているし、なんなら彼女にも使ったので問題はないと
するりと目をそらしつつ。
■ティアフェル > 「よく出てくるわねえ……煽った分際でなんですが」
完全にマッスルに対するコールの様相を呈しているが、それにしても云えと云った立場でなんだが、彼の語録にはしみじみと感服した。
「騎士……? 人は見かけによらない……いやいやえーと、軍医?
考えたことなかったけど、今もやってることは似たようなものかしら……。
そうね、割と手広くやってるから……臨時とかで良ければ」
冒険者が主体の為、専属となるには踏み切れないものがあるが人手不足の際の臨時雇い扱いならば勤まるかもしれないと。
少し考えてから片手を肩のあたりで挙手させて確認した。
「いや、いねーから。そんな血染め女。ガセだから、デマだから……ん?むしろ都市伝説ってそもそもデマでガセかしら…?
次世代のヒーラーなのよ。パーティでばっかり活動してられないもの。
あら、騎士様が冒険者なんて、いーの?」
そもそも兼業なんてありか、と肩を揺らしながら。
中身はゴリラでも外の皮の造りがちゃんと女子ならば助けてもらえる。ありがたい。
ごみ処理なんて確率されていないような時代ではごみは大体埋めて処分するもの。
不法投棄なんて単語はきっとまだない。だから悪びれもせず瓶の欠片をすべて取り出して埋めてはふう、と息を吐いた。
「スタッフでも殴ります。そういえば一緒に落ちてどこに転がって……ああ、あったあった」
ヒーラーのスタッフは殴打武器ではない。しれっとほざいたが違和感しかない科白で。
そして一緒に崖から落っこちて手近に転がっていたスタッフを取り上げ。
「きっちり呼ぶあたり真面目だな!
っふふ、それはどうも。こちらこそ、親切でイケメンの騎士様とお近づきになれまして光栄です。
んー、そして懐も広いな。ちゃんと買い物中待っててくれそうな」
おせーよ、とか、まだかよ、とか仏頂面で云ったりしなさそうでさすが騎士だと拍手する。
「はず? 筈ってなによ……怪しいなあ……ちょっと、見せてみ」
懐疑的な眼差しを向け掌を差し出して小瓶を要求。正体が分かるがどうかは不明だが。
■エルド >
「まぁ、ネタ切れだけどな」
たまに、所属している騎士団の中でそういう催しを開催していて
観客として顔を出していたりする。
「おいおい、一応大隊長で非常勤だが教師だぜ?
お、臨時でも大助かりだ。ティアのような腕のいいのは中々いねぇからよ」
もっぱら後方陣地で地獄のような光景を目にするであろうが
彼女のように肝の座った人であれば問題なかろうと判断を下し。
「ふはは、全部って言っちまうと夢がねえから大体はガセだろうよ
お、おう……次世代のヒーラーねぇ。金が分散するからとかか?
はっはっは、まぁ、バレなきゃ問題ねえだろうよ」
騎士の堅苦しい雰囲気に耐えられないときなどは
たまに顔を隠し冒険者業を行っている。
外見がゴリラならば、そういう種族なのだろうと切って捨てていたとか
ふぅ、と達成感がありそうな表情に、可愛いからいいか、とすべてを投げた。
「……なるほど、たしかに次世代ヒーラー……見たことねえ」
殴打武器じゃないだろうに、と転がっていた歴戦であろうスタッフを
ジロジロと眺めた後は、可笑しそうに笑い。
「ふはは、最近言われてねえ言葉だな!
…っ…照れるからその辺にしといてくれや
ん、ああ……一緒に眺めるのも良いもんだしな
それに、重たい荷物なら持つぜ?」
イケメンなんてやっぱり呼ばれ慣れていないので
照れくさそうに頬を掻いた後は自分を落ち着けるように息を吐きだし。
「……おう、実は……持ち出し禁止だったりする」
揃っと渡した小瓶には、ラベルが貼ってあるが
成分表には、見慣れているかわからないが劇毒がずらりと並び
見慣れない名前もあるだろうが、それが奇跡的に劇毒たちを薬へと変えている。
■ティアフェル > 「そうか、残念です」
ワードが無限に沸く訳もないが、尽きてしまったことを一応惜しむ態。
何故か真顔だが。
「いや、なんか……あなた手広過ぎじゃない? で、今はなにしてんの?
そ? 一応専業ヒーラーですからね。他の魔法は使えない分回復術は任せといて」
内臓がはみ出ているぐらいではビクともしない。脳漿噴き出るまでされたら、「あー無理かも」と頭を抱えるが。
どん、と胸を叩いて請け合った。
「都市伝説なんて全部デマカセで、いーのよ。須らく怪奇現象だし。
実はパーティプレイ……、あんまり向かないのよね……。協調性ないのかも。
あなたそれ、教師の云う科白じゃないわよ」
バレなきゃおっけーとか。騎士だけならともかく。教育者でそれはないだろうとさすがに半目気味に。
そもそも何故そこまで、と思わなくもない。
そんなに忙しくして稼がなければならないのだろうかと。
「今お目にかかれて良かったわね。殴れて癒せるのが今後を担う冒険者ヒーラーの姿よ」
大見得切ったが。それこそ何の根拠もないただのガセである。
偉そうに胸まで張って見せるが。
「あらー。ナンパそうに見えて純情ですなあ。カワイイ。
まあ、デート相手としても不足なしね。騎士のスペックは侮れん」
一緒に買い物を楽しんでくれそうだし、どっさり買っても不平も云わず荷物持ち。
ケチの着けようがないなあと感心。モテるっしょ、と揶揄る始末。
「……え、これ。やばくない……? なにこの神がかった調合……」
受け取った小鬢のラベルにざっと目を通すと、髑髏印が入っていることも肯けるような毒々しいラインナップに若干ヒき気味に呟き。
えぇ……とアホ毛を萎えさせながら、これ本当に大丈夫なのか、と疑ったような眼差しで瓶と彼の顔を交互に見た。
■エルド >
なんで真顔なんだろうか。
不思議に思いながらも、その真顔に小さく笑い。
「ああ、今は温泉当てて宿でも作ろうかと思ってな
ん、俺が怪我した時も頼むぜ? ポーションには頼りたくねえ」
流石に、頭に重症を負ったものは助けることはできないと
前線で見捨てるときもあるので、そこまでの患者は少ないはずで。
「まぁなぁ……信じてるやつも少ないだろうしな
……いや、冒険者としてどうよ。協調性はあると思うがなぁ。
はっはっは! ティアが言いふらさなければ何も問題はねえよ」
清廉潔白とは言えない騎士のため、そんなことも平然という
教師をしているのだって兄弟に推されて、と語るが、一応まだ生徒に手を出してはいない。
小さく息を吐き、ふとなんでこんなに忙しくしているのだろうかと、自問するが
肩を竦め。
「いやぁ……筋肉も鍛えねぇとだし格闘術も……ハイスペックだなこう考えると」
殴れて回復できるヒーラー、ピンチのときには一番助かる存在だろう
偉そうに胸を張るその様子を凄いものを見る目で眺め。
「うっせぇやい。女に褒められることが少ないんだよ
ふはは、俺のスペックが高いだけかもしれんぜ?」
モテるっしょ、なんて言われてしまったのなら
ふっ、と寂しそうな顔をしながら視線をそらして笑い。
「……ああ、奇跡の産物らしいぞ。
調合師が騎士団の要求するスペックが高すぎて自棄起こしたんだと
だから、気絶してても傷にまけば起き上がってまた気絶する」
呪いでも入ってんのかねぇ、としみじみ。
もっていっても構わないとついで告げながら、疑うような眼差しに
ニッコリと笑顔を浮かべておく。
■ティアフェル > 「温泉~? そりゃまた……騎士して教師して冒険者して温泉掘って……忙しい人ね。
デートなんてしてる暇ないんじゃないの?
それはもちろん、張り切っちゃう。どっからでも負傷してヨシ」
何かと詰め込み過ぎな人生を送っている観のある相手に感嘆と呆れ半々で呟き。
ぐ、と親指を立てて、知らない相手を癒すよりも多少気合が入るだろう、と笑って請け合い。
「面白半分でじゅーぶん。七不思議なんて話のネタよ。
いーの。冒険者だからって必ずしもパーティにはいるって決まりはないの。……ついついカチ込んでいっちゃって怒られるんだもん……。
口留めされてないから云い触らすかもよ?」
彼がひとつ職を失ったところで然程困らないだろう。けれどわざわざ云い触らすほど学院に対しての接点はないのが現状。軽口めいてつつくように云って。
「ま……ほんとはそんなに威張れるほど、腕が立つわけじゃないんだけども」
強敵に出くわすと逃走しか打つ手がない。前衛に比べると劣るのが現状。
肩を竦めつつ、彼の眼差しが刺さって目をそらした。
「あらあら……ちゃんとイイ男なのにねえ……。
ハイスペックな割には誉められないのねえ……不思議……」
素朴な疑問を口にしたらそんな意図はないが皮肉っぽくなった。
目をそらす横顔に、あらあら、と肩を竦め。
「また気絶したらしょうがないでしょ……。
微妙に使えねえな……」
回復させて起き上がったところでもう一度戦場に叩きださねばならないというのに、気絶したままになるとしたら前線に於いては甚だ意味がないように思える。
全て終わった後に負傷兵の命をつなぐ為にしか使えなさそうである。
笑顔を浮かべる彼に微妙極まりない顔をして瓶を返し。参考にはすまい、と決めた。
■エルド >
「まぁ、金はいくらあっても足りねえからな
それとこれとは別、可愛い女とのデートならどこまでも
いやまぁ、好きで負傷はしねぇけどよ……ティアに癒してもらえんならありかもな?」
詰め込み過ぎな気はしているが、嫌なことを忘れるのには丁度いいと
笑いながら語った後には笑って請け負ってもらい
それに嬉しそうにしつつ、頼んだ、と付け加えた。
「まぁ、そうか……てか、カチ込んでいくってティアお前……のうき…んんっ!
元気があっていいな! 俺は良いと思うぜ?
ふは、ティアはそういう奴じゃねえだろうよ、なにせセイントティアフェル様だ」
脳筋、そう言おうとした瞬間に咳払いでごまかし
教職を追われても確かに困らないが
兄妹の面子を潰し怒られるので極力は避けておきたい。
ので、ウィンクを一つ送り。
「んー……これから勉強していけば良いんじゃねえか?
でもまぁ、そのままでもいいとは思うがな」
なんて、偉そうなことを言うものの
彼女なりの考えがあるのだろうと肩を竦め。
「出会いがねえんだよ、だからティアに会えて感謝してる
ふは、まぁ……褒められて自信がついてきたとこだな」
皮肉っぽくなっても気にすることはなく、ケラケラ笑い
目をそらした先に彼女に視線を向ければ、ニッ、と笑みを。
「……痛みがすごすぎてな……薬効はすげぇんだが
ティアの言う通り後方で使われてる」
一応、応急処置として後方に運ぶための前段階で使われることもあるが
使われたくないために根性で後方に帰る騎士もいる。
微妙極まりない顔に小さく吹き出しつつ、ゆっくりと腰を上げ。
「さて、そろそろ街まで送ってく。痛みがあれば手を貸すが」
■ティアフェル > 「そんなものかしらねえ……意外と物欲?
ははん……男のさがって奴ですかぁ。
そりゃ痛いのが好きって云われると治していいのか逡巡するけど。痕形もなく治したげる」
忙殺されねばならないほど嫌なことがあるのだろうか、と首を傾げつつ。
うん、と任されたヒーラーは負傷については責任を持つのでご安心と。
「………ごまかすタイミング間に合ってないのよ。誰が脳筋ゴリラですって?
本当にそう思ってる~?
ここでセイント持ち出してくるとは……意外と策士ね」
誰もそこまで云ってないが、脳筋ゴリラは大変憮然と腕を組んで猜疑に溢れた眼差しを注ぎ。
言葉尻を取るようにしてウインク決める様子には降参と肩を竦め。
「ま、本業は飽くまでヒーラーだから、ほどほどに頑張るわ。
それともエルド先生が教えてくれる?」
鍛えすぎても本業を見失いそうだが。
冗談めかしながら、勉強の点についてはそう問うて。
「それは痛み入りますわ。わたしも助けてもらえてラッキーだけど。
じゃあ、照れないようにしなよ?」
案外照れ性の自称ハイスペック騎士殿へとちょっと余計な一言。
照れてる様子も面白いので別に矯正して欲しいとも思っていないのだが。
「命の次に痛みを軽減するのがもっとも肝要な点だと云うのに、痛くしてどーすると。
ってか、それ……さっき使いました?」
改めて聞いていなかったが意識が戻ってすぐに気が遠くなりそうなくらい痛かった。
まさか、と察してしまって結果的に助かったのだから恨み言は云えないのだが思わず半眼になって。
立ち上がる様子を見上げつつ肯いて。
「うん、送ってくれるの? 助かる。また山賊に追いかけられちゃ敵わないもの。痛くないけど、ちょっと手は貸してね」
と、先に立ち上がった彼の手を一度借りて立ち上がろう。それからありがたく街まで送ってもらい。
このお礼は必ず、と希望のデート日とかを確認しておこう。
■エルド >
「まぁ、そんなところだな
だな、可愛い子を見れば追いかけたくなるもんさ
治すと苦情が飛んできそうだからな……ん、楽しみにしてる」
首をかしげる様子を眺めながら、肩を竦め
流石に家のことについては言えるはずもないだろうと結論を下し
「……いや、ゴリラまでは言ってねぇ。
ああ、思ってるさ。元気な女は好きでな
ふはは、初対面だが大体は掴んださ」
彼女からの視線にはついついと目をそらすものの
肩をすくめる様子を横目で見れば視線を戻し。
「ん、棒術ならそれなりだから教えてやれるぜ?
先生に任せときな」
鍛えすぎてついにヒーラを卒業するのでは無いかという
心配はあるものの、教えを壊れれば勿論だと頷いた。
「あー、一々照れちゃ様にならねえからな
今度までに治しとくさ」
今度までに治るかわからないが
このままでは様にならないと思い直し。
「傷がすぐに治ればいいと思ったんだろうな…
上層部も余計なこと言わなきゃ良いのになぁ
えぇ…ああ、まぁ…? 緊急事態だったからな」
ふふふ、と再び視線をそらしながらにそう告げたなら
助かってよかった、と話を変えておく。
半眼の彼女の視線に逃れつつ。
「勿論、山賊に襲われた直後だ
用心に越したことはねぇよ」
それから、ご信用の片手剣を手に周囲を警戒しながら街まで送り
希望のデート日などを伝えつつその場は別れ。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からエルドさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアライダさんが現れました。
■アライダ > 山賊の討伐を依頼されて現地へ向かったものの、任務としては存外単純なものだった。
歯ごたえのない男たちをバッサバッサと雑に薙ぎ払い、あとは自警団に処分を任せてぶらぶらと九頭龍山脈の街道を歩く。
財宝が眠ると噂のダンジョンも、体の傷を癒やすともっぱらの評判の温泉も、近くにはあるが、さてどうしたものかと考えつつ、タバコを咥えながらのんびりと道を行くうち、ほてりがじわじわと身を蝕んでいく。
足りなかった。山賊風情では。
殺しにせよ、争いにせよ――、劣情にせよ。
「……あぁ、弱るね……」
熱を持て余し、一人でゆったりと、紫煙を吐く。
はけ口探しの道中は、未だ先が見えない。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ > 自警団の向かった後と聞いて無駄足とは言え向かってみれば。
「あんたがやってくれたのか? ご協力感謝する」
どう見ても、山賊壊滅の功労者の冒険者の女に声をかけた。
腰に一振り棍棒をもって、鼻歌を歌って歩いている男。
気安く声をかける割に、敬礼は堂を入っていた。
「まあ、俺は無駄足だったってことなんだが。良いことだ。俺はグスタフという。」
助っ人で呼ばれて着てみれば、先を越されて暇になったと簡単な自己紹介を済ませた。
■アライダ > 同業者であることは一目瞭然の、棍棒を持った男に、緩やかな笑みを向ける。
「あぁ、無駄足踏ませて悪かったね。……あたしは、アライダ。もう少し進めばダンジョンもあるだろうし、温泉もあるって噂だし、せっかく遠出してきたんなら、少しゆっくりしていったら良いよ」
まるで観光地の娘のような口ぶりで、傭兵女がへらへらと笑う。
鼻歌を歌っている様子から、相手はさして不機嫌というわけでもないんだろう。
■グスタフ > 「ん。あ、こっちは特別手当もないお仕事なんで。
やってもやらんでも金は変わらんのだわ。だから大助かり。暇もできた」
彼女と歩調を合わせて共だって歩こうとする。
「というわけで。ナンパってわけだ。詳しいな。この辺。案内してくれれば、宿代ぐらい持つぜ」
上から下まで遠慮なく視線を這わせるが、堂々としすぎて、逆にいやらしい感じは少ない。
■アライダ > 「別に詳しいってほどじゃないけどね。仕事で何度か来たことがある程度で……まぁ、そういう意味じゃ山賊とあたしは持ちつ持たれつなのかもね」
軽く肩をすくめて笑う。
「っはは。ナンパもここまであけすけだと清々しいね。宿代なら、ごちそうになろうか。奢ってもらえるんなら悪い気はしないし」
遠慮のない視線には、さして物怖じした様子もなく。戦士同士であれば、相手の力量を見定める意味でもある程度の物色はお互い様だ。
こちらも、相手の筋骨隆々の身体や、身体のあちこちに残された傷跡へ視線を走らせた。
屈強な戦士であることは、間違いないだろう。
「もう少し行けば温泉宿。で、しばらく歩けば、財宝があるらしいダンジョンだ。どっちがお好みかな。お兄さん」
年上らしい相手をからかうように、少し笑いをにじませた。
■グスタフ > 「懲りないね。やつらも。もちろん、サービスも致しますよ」
大仰にお辞儀して見せて気分よく。
「ダンジョンの財宝は、俺が見つけちまうと面倒なんでね。温泉に行こう」
面倒くさいあれこれを考えないように、さっさと行き先を決めると。
肩を組んで、向かう先を指さしてウインクした。
正直、最近女性っ気がなく浮かれて先を急ぎ始めた。
■アライダ > 浮かれた様子の男に下心を読み取るが、別段嫌がる素振りもなく。
半端な連中に、生殺し状態だったのも確かだ。
「じゃあ、温泉行こうか」
何が起きるかは承知の上で、気楽な同意を返す。
一宿一飯、一期一会だ。
先を急ぐ男の後ろを、タバコをふかしながら着いていくこととする――。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアライダさんが去りました。