2022/01/02 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山腹の秘湯」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 九頭龍山脈に連なる活火山の中腹。
ブナの樹林帯を抜けた先では、笹に混じり、岳樺や花楸樹が紅黄を彩らせていた。
其処彼処から噴煙が立ち込め、地熱に温められた地下水は温泉として湧き上がる。
所謂、秘湯と呼ばれるべき温泉は、されども、知る者ぞ知る名所でもあった。
暦が変わる歳の明け、九頭龍山脈から御来光を拝むのは縁起が良いとされて、
王都からも山の麓までは臨時便として乗合馬車が発着しており、不便はなく。
日の出を拝んだ登山の帰り道、評判の温泉に浸かろうと足を伸ばす者も少なくない。
縁起を担ぐだけではなく、その温泉の効能として、万病を快癒させる効果があり、
子宝にも恵まれるという謳い文句があれば、あやかろうという者も後を断たぬとも知れよう。
「ふぅ、……いい湯だなっとくらぁ」
そんな噂の秘湯に浸かりながら、独り鼻歌を奏でる中年男の影が一つ。
幸いな事に他に利用客の姿は見当たらず、貸切状態の温泉で四肢を伸ばせば、
日々の冒険で負った傷や、歳から訪れる肩や腰の不調を癒そうと湯治を堪能しており。
ご案内:「九頭龍山脈 山腹の秘湯」からトーラスさんが去りました。