2021/12/23 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にジンさんが現れました。
■ジン > 九頭龍山脈、その奥には幾つものミレー族が隠れ住む里がある。
その里の一つに通ずる獣道、そこを突き進む、幾つもの人影と、幾つもの松明の灯り。
灯される人影は、何人もの武装をした者達と、その者達を連れる雇い主らしき、その中で武装もしていない一人。
場所が場所だ、その者達の目的等、言う必要もないだろう。
もうしばらくすれば、その目的の場所に到着する、そんな辺りか。
その獣道を塞ぐように、一人の男が立っていた。
「………」
灯される明かりにも、その表情は分からない。
鴉のような嘴をした仮面を被る、黒装束の男だ。
武装した者達が、間を取るように前に出るも、ただ沈黙を保っている。
変わらずに、ただ立っているだけ。
しかし、前に出る者達には、警戒の色がかなり強い。
その男から感じるからだ、油断ならぬ相手だと言う、そんな気配が、ただ一人にも関わらず。
男から、言葉が発せられる事はない。
向かい来た者達も、それは同様で。
そんな中、無駄口を叩いているのは、一番後ろの安全な場所に居る、一人だけ。
前に並べた兵達を仕向けたりと、聞く気も起こらない言葉を並べ立てているようだ。
■ジン > その男は、そこに佇んだまま。
その為か、その一団は足止めをされたまま。
この獣道を外し、向かう手段もあるのだろうが。
きっと、この男は、その前にも現れるだろう。
一人を除いた、長い沈黙が続く。
男は、その間もずっと微動だにしない。
兵士達がどうにかせねば、自分ではどうしようもないのだろう。
後ろの男は、ただ罵詈雑言等を発するばかり。
その様子から、そろそろ怒りも頂点、と言った感じだろうか。
不意に、男は大きな溜息を吐くかのような仕草を取る。
「大人しく引き返さねば、無事では済まぬ。
そう言われねば、理解も出来ないようだ。
貴様に向ける言葉は、以上だ…二度は言わない。
どちらにせよ、貴様一人では、何も出来まい?」
その言葉と共に、仮面の瞳を象る空洞から、男の視線が相手を射抜く。
威圧からか、先程までの騒がしさが嘘のような沈黙が周囲を覆った。
「これ以上の進行に、身の保証は無い。
…努々忘れぬ事だ」
その言葉を最後に、次の瞬間には、男の姿はその場から掻き消える。
そこに、元々何もなかったかのように。
だがしかし、その一団が、再び進行する事はなかった。
■ジン > 「………毎度の事、ではあるが…
まったく、困った主もあったものだ」
木々に覆われ、地からは見えぬ、その上空。
男は、ぽつりと呟きを漏らす。
その背から生えているのは、仮面と同じ鴉のような黒い翼。
一寸、顔が向いたのは、王都のある方角。
そして、改めて、もう一度だけ足元を確認すれば。
その場からも、姿を消すのであった。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からジンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にイーゴリさんが現れました。
■イーゴリ > 受けていた依頼は問題無く熟したものの、予期せぬ事態に巻き込まれ、
予定していた行程がやや遅れ気味。
無論、遅延の可能性も加味した上で、余裕を持って行動してはいるが
其れでもげんなりするのは致し方あるまい。
既に暗くなってしまっている今、これ以上動くのは得策では無い、
と判断して手頃な大木の洞の中に身を潜めて。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にフセスラフさんが現れました。
■フセスラフ > 困ったな。と一人頭の中でぼやく。
商人の馬車の護衛にと自分や同じぐらいに地位の低い騎士やらがいたのだが
途中で山賊に遭い襲撃された際に散り散りになってしまった。
自身の鼻を使って合流を急ぎたいが、少々雲のにおいが怪しいし、何より暗い。
暗視が効くまでは少し待つべきか。……どっちにしろ、撃退は出来た。
まぁ仕事はしただろうと思って、ゆっくり降りようと思えば。
スン、と鼻に別のにおいを感じた。
「……だれか、いるん、ですか?」
と、まさかさっきの山賊か。と思いながら警戒しつつ
その匂いの元へと近づいていく。
■イーゴリ > 風除けはあるし、マジックバッグの中に入れている野営用の道具のお陰で
一夜明かす程度は問題無い。
火が使えないのは少々侘しくあるが、たった明るくなる迄の辛抱だ。
早々に装備品の点検を終え、早めの就寝を迎えようかと考えていた矢先、
恐らくは相手と変わらぬタイミングで其の匂いを嗅覚が捉えた。
少しずつ近付いて来る匂いを、警戒しない訳が無い。
ショートボウを手に取れば、矢を番え、タイミングを見計らう。
軈て、木々の合間から現れた姿。
「――――………。」
洞の中から視認した其の瞬間、彼の足許へ、警告を兼ねての一矢を放ち。
■フセスラフ > ヒュ……と風を切って足元へと飛んでくる飛来物。
ピクリとフードの中で耳を動かしてその音を捉えて、片足をずらして目の前の足許へと刺さる矢を見る。
木々に一度、身を隠して、音の元を探る。
「あの、さんぞくのお方、でしたら。
ぼくはおかね、持ってません。だからおそっても、いみはないです。
……ただ、ぼくだけをおそいたい、っていうなら、こっちもていこうしますが」
そう言いつつも、相手が一人だけとは限らないと思い、周囲に耳と鼻を研ぎ澄ませて。
もし、返答がなければこちらから近づいてやめさせなければならない。
逆に返答次第では、何とかできないかとは思うが……さて、どうなるか。
■イーゴリ > 相手に当てる気が無い、とは見る者が見れば分かる一矢。
響く草木の音と、此方を警戒してか、距離を詰めるのを止めたのが見えた。
が、この場から撤退するので無ければ己が警戒を解く理由にはならぬ。
二本目の矢を、何時でも撃てる様にと、準備をしつつ――返された言葉に、はつりと目を瞬かせた。
声質の割、何処か幼げな物言い。
「――…襲うも何も、近付いてきたのはお主だろうに。」
些か呆れた様な調子になってしまったのは致し方あるまい。
そもそも、先に此処に留まっていたのは己だ。
其処へ、誰かが居ると解っていて、
無遠慮に近付いて来たのであれば、賊と判断されて当然だろう、と。
■フセスラフ > 声が返ってきたことに、安堵を覚える。
言葉を嚙み砕けばその通りだとは自分でも思う、身なりも汚いし。
しかし、理性的な言葉であることに、姿を見せた。
「すみません。ぼくも、さっき、おそわれたばかりなので、つい」
と言いながら、こちらに敵意がないことを示そうとフードを外す。
暗くてもまだ顔は見えるだろう、弓をこちらに向けて来ることができるのだから。
ミレー族だとわかる動物の耳が、そちらは確認できただろうか。
「あの、そっちにいっても、いいですか?
ぞくじゃないなら、このへんのことをきくたくて……」
どこかおかしなイントネーションと言葉遣いをしながら、その場から動かずに。
■イーゴリ > 襲われた、との言葉に、思い当たる節は幾つもある。
何せ、多数の山賊が我が物顔で闊歩する山だ。
思わず、ああ、と呻きに似た相槌を落とし、晒される姿を改めて確認した。
「余り良くは無いがなァ…迷い子なら致し方あるまいよ。」
側頭部に這う獣の耳は、恐らくはミレーの物なのだろう。
稚さ滲む様子からも、推測するのは容易い。
溜息交じり嘯けば、ダガーナイフをシースに差し込み腰裏へ。
其れから漸く洞の中から這い出れば、緩く手招きを為し。
■フセスラフ > 仕方ない、と言ってくれたことに感謝の念を覚えて。
手招きに従って近くへと小走りで近づく。
近くで見れば、首に嵌められている鉄製の首輪が見えるだろうか。
真紅のマフラーがそれを隠すように巻かれており、身なりも少し汚い。
まぁ、その汚さは山の中を歩いていたから、で十分言い訳がつく程度だが。
「すみ、ません。たすかりました。
やまのおりかたとか、みちをおぼえることができなくて……」
そう申し訳なさそうに耳を折り畳み、軽く頭を下げる。
身につけているものはその服ぐらいしかない辺り、山で過ごす予定つもりはなかったのは丸見えだろう。
■イーゴリ > 距離を削る相手は、暗がりの中、遠目で見ていた時よりも
随分と恵まれた体格をしていた事が分かる。
彼が頭を提げた折、マフラーの隙間から、ちらりと見えた首輪には、
特に何を言うでも無く、緩く頭を左右に振り。
「善い、善い。 儂も迷い子相手に手荒にしたからな。」
警戒するのは当然ではあるのだが、見目よりも長く生きている身としては、
稚さ滲む相手に少々罪悪感も芽生えると言うもので。
気にするな、と宣いつつ、一度周囲を見渡し、
「道を教えるのは構わんが――……今から降りるのかね。」
■フセスラフ > 逆にこちらから近づいていった結果見えた、その声の主は。
声と喋り方に対して、思ったよりもずっと幼い体格と見目をしていた。
こんなに小さいのに……と、思ったが。
そもそも見た目と年齢が合うかどうかで言えば、自分のその手合いだと思われたことがある。
今更だろう、とごちて。
「いえ……ぼくも、あなたもけがをすることはなかった、ですから。
それだけで、ぼくはいいです」
と、少しだけ笑みを浮かべて言うだろうか。
「え、あ、はい。……やめておいたほうが、いいですか、ね?」
■イーゴリ > 勘違いからの殺し合いへの発展、等、無益この上無い。
浮かぶ笑みに、微かな息を一つ落とし――続けれた言葉に、思わず、の睥睨。
「賊に囲まれて無傷でいられる。
且つ、塒に戻る体力に自信があるのなら――まあ、儂は止めぬよ。」
夜間行動等、戦略があって初めて使う物であって、通常する物ではない。
当人の意志が固いのであれば、其れ以上止める理由も無いのだが。
如何するつもりだ、等と言わんばかり、無言で頭を仰ぎ傾げ。
■フセスラフ > その言葉を受けて、考える。
確かに、無理矢理そこを突破することはできなくはない。
しかし無傷、とまでは行かないだろうと思う。
戦闘経験はあれど、自分が強いなどと思った事はないし、自分はそんなに器用でもない。
必ず、何かしらの傷を作るだろう、と思って。
「……やめて、おきます。ぼくには、できなさそうです」
そう言って、素直に引き下がる。
経験者の言葉が重いことぐらい、自分にはわかるし、自惚れるほど自分を信じられない。
なら、それには頷くべきだと考えて。
「ありがと、ございます。……そんなふうに、とめて、くれて」
■イーゴリ > 「其れが無難だのう。」
如何やら夜間の強行突破はせぬらしい。
双眸を眇め、仄かに口角を持ち上げ、何処と無く
満足気な面を晒しては二度、三度、と頷きを落とし、
「不死の身でも無ければ、人生なんぞ一度しかないものなァ――、」
大抵の生き物は定命の種だ。
使い所を間違えれば、呆気無く死ぬ。
かろい声音で嘯きつつ――さて、と小さく声を打つ。
「そうなると――お主も野営が必要だが…、その身形ではなァ…。」
恐らく、も無く、身一つと分かる姿。
上から下へ、視線を添わせて思考。
■フセスラフ > じっくりと見られて、首を傾げる。
ゆらゆらと揺れる尻尾は警戒心か、それとも不思議という感情そのものか。
人生は一度きりなんて、当たり前のことだろうに。
「やえい、ですか?それなら大丈夫です」
そう言うなリ、マントとマフラーで体を縮こませて。
「うまごやとかで、よるをすごすのはいつものことですし。
やねも、かべもないのじゅくには、慣れてますから。
みみも、けっこうきこえますし、すぐおきれます」
だから、と続けて。
「ぼくはこのままでだいじょうぶです」
そう笑いかけた。
■イーゴリ > 大丈夫、と言うや否や、見せられる――恐らく野営中、の真似。
瞳を瞬かせ、紡がれる言葉を聞く。
彼の境遇に同情はせぬが、其れでも、笑って大丈夫だ、等と
言われれば、思う所もある。
がりがりと乱雑に頭を掻き、深い溜息。
「――――お主の、…其の大きな体が外に転がっていると目立つ。」
理由としては、此れ位が妥当だろうか。
告げれば踵を返し、己が這い出てきた木の洞の方へと向かい、入口辺りで振り返って手招き。
「おいで。」
■フセスラフ > 溜息を吐く様子を見て、自分は何か粗相をしたのか、と。
そんな不安な顔を隠さず、相手の顔を見る。
口元はよくは見えない、だがどこか困ったような顔をしてる。
やはり、なにか失礼なことをしてしまったのだ。と思ったが。
「……そうですか?」
目立つ、と言われると、まぁその通りかもしれない、と思う。
体格がいいのは自覚してるが、横になってれば夜ならわからないと思ったが。
手招きされると、目を丸くして。しばらく目を瞬く。
そして慌てたように両手を振って。
「あ、あの……ほんとうに、だいじょうぶです、よ?
ほら……ぼく、からだがおおきいから、せまく、なっちゃいますし……」
断ろうとそう言葉を言うが…言ってから、少しして。
「ほんとうに、いいんですか?」
■イーゴリ > 出入口の前、佇み、様子を眺め遣る。
他者からの何ぞを、受け取り慣れていないのだろうな、と分かる様相。
「良いと言ってるだろうに。」
で無ければ、最初から言いやせぬ。
其れ以上は告げず、先に中へと入り込み、広げていた荷物を奥の方へと押し込んで。
彼が中へと入れば、洞の中の様子も分かるだろう。
己がやや身を屈めなくてはならぬ程度の高さだ、恐らく、
彼は膝立ちで無ければ移動も厳しい筈。
ただ、横幅は広い。
体格の良い彼が足を延ばして寝転んでも、十二分に余裕がある其処。
■フセスラフ > その言葉に、非常に申し訳なさそうに、中へと入っていく。
実を屈ませる、というより、本当に動物のように両手と両足をついて中へと入っていく。
四足で動く事に慣れているのだろう。それは彼がそういう風に動けるからか。
器用に狼、あるいは犬のように。
高さ、という意味では立ち上がれば窮屈だが、横に十分広ければ。
それを確認して、風を十分しのげることに安心したような息を吐いた。
「すみ、ません。ほんとうに、たすかります」
窮屈そうには全然していないのだろう。
感謝の気持ちを言葉に、そして耳をぴょこぴょこと動かしながら告げた。
■イーゴリ > 再度告げられた謝意には、気にするなとばかり、片手をひらひらと揺らし遣る。
寝床として広げていた、簡易枕と毛布も置く側へとずらし、
腰に提げていたシースを外して枕元へ。
「明日は日が昇ったら即行動になるからの。
道程も街道まで出たら、其の時に教えて遣ろう。」
其れから、腰を落として説明。
今から道程を覚えたとて、然程意味は無い。
揺れる耳から視線を顔へと移し、其れで良いか、と目線で問い掛け。
■フセスラフ > 奥へとずらされた簡易的な寝具に、自身が本当に場所を取っていいものか、と。
また要らぬ心配をして、やはり外の方がいいんじゃないかと思ったが。
これ以上言葉を重ねても、失礼に当たるだろうと思って口には出さず。
「はい……おねがいします。
あ、あの……おれいは、そのときに……」
目線に頷き、そう言って。
必ずお礼はすると約束をする。お金はなくもないから。
場所が場所の為、横になりながらの返事な事に申し訳なくまた思う。
■イーゴリ > 「期待しておくかねェ。」
お礼、との言葉に、喉の奥を震わせ笑う。
己が勝手に遣った事だ、気にせずとも良いのに、とは思うが、
此れを断れば、更に気を遣わせる事になりそうだ。
「早々に寝て体力の回復に努めるが良いよ。」
相も変わらずかろい声で嘯けば、言うや否や、寝転がって毛布を被ってしまおう。
野外、其れも他者の居る空間で熟睡は出来ぬが、其れも慣れた事。
然程待たず、寝息とも付かぬ、静かな呼吸が響き始め――
外が明るくなり始める頃、静かに目を覚ませば傍らの青年を起こして山を抜ける運びとなる―――
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からイーゴリさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からフセスラフさんが去りました。