2021/11/30 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にイーゴリさんが現れました。
イーゴリ > 山の天気は変わりやすい、と言うが土砂降りになるとは聞いていない。
頭の天辺から足の先まで浸水しきった体は重く、深い溜息も出ると言うもので。

「…ま、戦利品を持ち運んでなかったのは不幸中の幸い、ってェ奴かね。」

等、一人ごちながら荷物を壁側へ寄せ、羽織っていたマントを脱いで絞る。
この豪雨では流石にマントでも衣服が無事、とはいかなかったらしい。
水分を含んで体に張り付き、かなり気持ちが悪い。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 土砂降りの大雨の中、洞窟の中へと駆け込む一つの影。
先客の少女同様、笠代わりのケープから、靴の爪先迄、ずぶ濡れになりながら、
洞窟の入口にて空模様を窺いながら、眉根を下げると肩を落とす。
昏き空からは今なお、弱まる気配もない雨が降り続け、
地面には幾重にも水溜まりが生じて泥濘始めている始末。
一時の雨宿りのつもりが長丁場になりそうだ、と観念すれば、洞窟の奥へと足を向け。
暫し、歩いた先に同様の犠牲者の姿を見付ければ、肩を竦め。

「よぉ、お嬢ちゃん。アンタも級に降られたクチか?
 お互い付いていないな、……と、ん?」

マントを絞る銀髪の少女の姿に、何処か既視感を覚えれば小首を傾げる。
初対面の筈であるのに、誰かしらの面影を感じさせる相手の姿を凝視するように双眸を細め。

イーゴリ > 自身の能力で水を抜く事も出来なくは無いが、能力の使い所は絞っておきたい。
大きな岩にマントを広げて貼り付け乾かしながら、防具を外していれば入口側から響く足音。
近付いてくる気配に武器は手元に置いたまま、横目に其方へと視線を向け――

「―――……、」

覚えのある顔に、思わず僅かばかり目を開く。
然し、如何やら気付いていないようだ。
変に詮索されても面倒だ、と短い時間で判断すれば、今回は不愛想の様相で目礼のみを相手へと返して。

トーラス > 背負った荷物を地面に置き、濡れたケープを搾って水気を払い、
袋の中からカンテラを取り出せば、防水仕様の燐寸を吸って火を灯す。
小さな炎は暖を取るには心許ないが、暗がりを仄かに明るく照らし上げる。
そのカンテラの 灯りに浮かび上がる無愛想な表情の少女を覗き見るように窺う。
此方の貌を見た瞬間、一瞬、目を見開いた表情から察するに、
彼女の方も自身に対して何かしら覚えがあるらしい。だが、矢張り、見覚えはなく。

「……その銀髪、アンタ、姉でもいるのか? いや、違うな。」

不意に脳裏を過ぎったのは、過去、此の場所のように昏い遺跡での邂逅。
彼女と同じ髪の色をした十歳は離れた女の姿が思い浮かぶ。
自身の知る女の姉妹なのか、と思い掛けるも、思い直すと首を左右に振って。

「如何した。縮んじまったのか、ヴィーナ?」

その名前を口にした。

イーゴリ > 目礼を返した後は興味を失った、とでも言わんばかりの様子で己の作業へと戻る。
相手が気付いていないのであれば、知らぬ存ぜぬで如何とでもなるだろう。
話しかけてくるのにも完全なる無視で対応していたが、紡がれた呼称に再び動きが止まる。
それから数秒の間の後、盛大な溜息を吐いた。

「――…お前さんなァ、こっちが知らぬ振りをしているんだから
 合わせるのが礼儀だろう?」

じろり、と詰るように睨め付けたのも束の間、緩と肩を竦めて見せ。

「そんな所だ。ま、今はこっちの状態でいるのが殆どだ、気に留めてくれるな」

トーラス > 半信半疑。何しろ、自分が知るヴィーナという女は成熟した女性である。
それが今や、若返りを果たして少女の姿となってしまっている。
だが、盛大な溜息と共に吐かれる言葉の声の響きに、その口調に、
以前に抱いた女のそれを感じ取れば、にぃ、と唇を吊り上げてほくそ笑み。

「かかっ、悪いなぁ。生憎と期待を裏切りたくなる性分なんでな」

睨み付ける女に対して、愉快そうに揶揄めいた返答を返すと、
すっかりと縮んでしまった女の身体の曲線をなぞりながら、ほぅ、と相槌を打つ。
彼女の正体が人間でもミレー族でもなく魔族である事を知っていれば、
人の身では有り得ない事も起こり得るのだろう、と理解せずとも納得はして。

「成る程なぁ。だが、こいつはこいつで悪くはない。
 暖を取るついでに、大人のヴィーナと少女のヴィーナの味比べと行こうじゃないか」

品のない冗談を口にしながら女へと手を伸ばせば、その身体を抱き寄せようとして。

イーゴリ > 「裏切らンで良い。良い子にしていろ」

一切悪怯れる様子の無い相手に、多少頭痛を覚えるのは致し方の無い事だろう。
雑な扱いそのもの、ひらひらと片手を揺らしてあしらいつつ、
足元の革袋から布地を取り出し、脱いだ防具を拭って整備を始め。

「む、」

ようとして、抱き寄せられて防具を取り零す。
知った顔相手に気が緩みがちになるのは己の悪癖でもある。
眉根を寄せては己を抱える腕を遠慮の無い力でベチンベチンと幾度か叩き。

「幼気な少女に何をしようとしてるンだ」

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からイーゴリさんが去りました。