2021/09/19 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアカリさんが現れました。
アカリ > 九頭龍山脈の麓付近、街道からそう離れていない比較的安全と思える場所。
とは言ってもその解釈は人によって変わるとも言えるが。
少なくとも、ポンポンと魔物に遭遇するような事は無い筈だ。

「えっと、今日の依頼にあったのは、あの薬草だから…この辺りかしら?」

そんな場所で、そんな独り言を呟きながら草葉を掻き分け周囲を探る一人の少女。
背中まで伸びた薄茶色の髪を微風に靡かせ、朱色の瞳が真っ直ぐ先を見る。
瞳の色に近い薄い朱色が主の異国風のドレス姿は、こんな場所に居るとも思えるような感じはしないが、これでも一応は冒険者である。

冒険者ギルドの依頼で、安全な薬草採集。
知り合いがほぼ居らず人と共に行動する事が少ない上に、回復役という戦う事を不得手とする立場の少女にとっては、この手の仕事しか回ってこないのだ。

「これで何回目かしら…いつもいつもこんな依頼ばかり。
もっとちゃんとした仕事さえ与えられれば、大活躍間違いなし。
きっとワタクシの力は引く手数多で…なんて、言ってても仕方無いですね。
さて、この辺りでしたっけ?」

何回も受けていれば、ある程度の薬草の知識は得られるもの。
今回の薬草は、泉の周辺に生息する事も、どんな形をしているかも把握している。
どれだけ進んだか、何度目かの茂みを掻き分ければ、その場所は見えて来る事だろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にコルボさんが現れました。
コルボ > 茂みを掻き分けて泉にたどり着けば、一人の男がそこにいた。
黙々と薬草を摘み取り、ある程度の量になれば几帳面に葉の向きまで揃えると、丁寧に袋に詰めて整頓する。

……これ以上取り尽くせば枯れる、程度の量まできっちりと。

「先約いると思ったんだけどなぁ……。……ぁ?」

荷物を近くにおいて、レザーアーマーをまとったまま黙々と採取していた男は、
ふと、顔を上げて貴女を見る。

淡い朱色のドレスはしつらえはもちろん、繊細な色遣いは王都では見られないもの。

「……あー、お前、ヒャクパー王都出身じゃないだろうけど、最近王都にいないか? どっかの冒険者ギルドとか」

顔に覚えがあるわけではない。
だが冒険者という言ってみれば腕試しか食い扶持がないか、冒険譚にあこがれたものか、
そういう日常生活から離れたものが集う者。

そこに見事なドレスと、見事な胸の組み合わせは、面識がなくても記憶の片隅に残っていたようで。

……見てくれは軽率なチンピラに思える男は、そう言葉を投げかけて。

アカリ > 茂みを掻き分けた先には、男性が一人居ました。
まず抜けて目にしたのは、その様な感じだった。
ただ問題なのは、その男性の傍らにある薬草。
今回依頼にあった、自分の目的だったソレである。
しかも、周りをよく見てみれば、これ以上採取出来ない程の量を採取していたのだ。

「あーっ!?ちょっと貴方!何をしてくれてるんですか!?
ワタクシの依頼遂行の妨害とはいい度胸ですね、まったく!」

左手を腰に当て、ビシッと男性へと右手で指差し、声を張り上げる。
仕事のブッキングなのか、この男性が個人的に採取しているのか。
問題はそこだが、それは後回しだ。

「…はぇ?王都出身か、そうでないかなんて、見れば判断出来るものでしょう?
確かに、ワタクシは冒険者ではありますが」

が、そんな言葉の後に掛けられる男性の言葉に、小さく首を傾げる。
その表情は、何を当然の事を言っているのか、みたいな雰囲気がありありと伺えるが。

こちらからすれば、相手が何であるかは関係ない。
相手が何をしていたかが一番の問題なのだ。
なので、見てくれはどうあれ対応は格好を変えていても同じだっただろう。

コルボ > 「ちょっと、おい、な、待て、待てって。おい!
 いや、は、依頼? お前が?」

 貴方の剣幕になだめる仕草をしながら片手は薬草を指さして。

「何系統の術師か知らねえけど今更薬草調達なんてすんのか!?
 お前みたいな美少女で明らかに腕利きなの、パーティ勧誘なんざ引く手数多で
 こんな仕事どころじゃねえだろうがよ!? 何の言いがかりだよ」

 質問に素直に答えてくれた通りに、王都でない、シェンヤンか更に東の出であれば、
 それがわざわざ王都に来る、異国の地に来るのであればそれなり以上の腕が見込めるだろうと。

「まー、座れよ。そこそこ取れてんだし本当に依頼受けてんなら
 分けてやっから。なんだったら仲間、つか誰かの付き添いか護衛で来てんのか?
 他の奴も呼んでくりゃいいじゃねえか。」

 ……そう言いつつ、仲間がいるかどうか探りを入れておく。
 

アカリ > 「はぁ!?何ですか、ワタクシがこんな依頼を受けてて何か可笑しい事でもありましたか!?
これはあくまでも仕方なく受けた依頼でして、決してこんな仕事しか受けられないからって訳はありませんからね!?」

男性の宥めるような仕草、言葉ではあるものの。
続く言葉が見事に痛い所を小突いたのか、更に少女はヒートアップのご様子を男性に見せる。
頬を膨らませた怒りの表情で、指差していた手をブンブンッと勢いよく振ったりしていた。

が、採取した薬草を分けてくれるらしき言葉が出れば、その勢いはピタリと止まる。

「何ですか、なら最初から素直にそうやって言えば良いんです。
余計な事を言ったりするから、ワタクシを怒らせたりするんですよ?
これを機に反省し、今度からは注意して下さいね?
…護衛?こんな薬草を採って来るだけの依頼にどうして護衛なんて連れてくるんですか。
ワタクシ一人に決まっているでしょう?」

下手に出て来たと判断したのか一転して表情を緩め。
どこか偉そうに胸を張りながら並べ立てる言葉は、その雰囲気に違わず生意気なもので。
調子に乗ってか、男性の質問にあっさりと一人である事を明かしてしまう。
寧ろ、性格なのか最初の言葉さえ誤魔化すに誤魔化し切れてないものだと、本人は気付いてない様子だ。

コルボ > 「お前さては正直者だな?」

 受けられない、となれば、自分の立ち位置をわきまえないと生きていけない、
 向う見ずになりにくい……、ヒーラーだろうか。

「いやお前が怒ってもかまやしねえし反省もしねえけど、うん。
  一つ言っとくと、薬草採取は大事な仕事だぞ。
 冒険者ってな討伐が全てじゃねえんだよ。
 準備八割実践二割っつってな。お前は前線で戦う奴を支える立派な仕事してんの。
 ……駆け出しの仕事舐めてると、お前もいつか痛い目みんぞ。」

 冒険者に夢見てる類なのだろうかと、現実を見てる見た目チンピラは
 現実的な助言を投げかけつつ。

「しかし一人か。確かに採取だけならそうだけど、ここ山賊とか出るし魔物だっているにはいるぞ?
 よくここまで無事にこれたな。

……にしても、本当に一人かぁ。勿体ねえな色々。
つか疲れてないか? 果実水あるけど飲むか?」

 一人で上から目線で無防備で、それに胸も大きいし気位は強くて。

(あー、ちょっと、楽しみたくなってきたな)

 ……常備している、油断してる女に呑ませるための、媚薬を混入させた水筒を取り出して差し出して

アカリ > 「冒険者には誠実さも大事なものですから?
正直であらん事は当然の事でしょう?
まったく、今更な言葉ですね」

はあぁ…わざとらしく深い溜息を吐く少女。
間違いなく男性が言いたいのはそういった事じゃない。
だが勘違いして受け取った言葉っぽいそれ。
きっと男性には、それも分かり易いものだろう。

「はぁ!?ワタクシを怒らせておいて、反省もしないとかどういった事ですか!?
…うっ…そ、それは。
まぁ、これが大事って事くらい?ワタクシにだって分かりますよ?
でも、そればっかりっていうのも、ワタクシとしては不本意なものなんです。
貴方には分からないでしょうけれど?」

最初の言葉に怒りはすれど、現実を語る言葉にはその勢いは削がれ。
それでもムスッとした表情を浮かべたまま、ブツブツと文句を並べていた。

「そんなの、出会ったら逃げるに決まってるじゃないですか。
でも、今日は何にも出会わなかったし、大丈夫じゃないですか?

勿体無い?よく分からない事を言いますね?
おや、ワタクシへの詫び代わりの献上品ですか?
でしたら、ありがたく頂いておきましょう」

単に逃げるなら、場合によっては囲まれたり追い付かれたりする危険性は高いだろうが。
その口振りからは、ほぼ逃げ切れる自信を持ったものが感じられる、かもしれない。
そして、続く男性の言葉の意味も理解出来ず。
差し出される水筒に変わらぬ調子で答えれば、その答え次第であっさりと水筒を受け取り、それを飲んでしまうだろう。

コルボ > 「まー、依頼の報告に嘘吐いたらほんと駄目になるからな。
 ただ、だ。依頼内容以外の仕事も余裕あるならしていいんだぜ?

 ……他のところで取ってきたやつだけど、これも確か納品依頼、この時期ならあるんじゃねえかな。
 ついでにこいつもやるよ。」

 そういうと、自分の荷物から別の包みを取り出して、開いて中身を見せる。
 薬草の知識があれば、ここから少し離れたところの山中に自生しているものだと分かるだろう。

「だから、こうやってお前も今日かち合っただろ?
 収集とかなんて一つじゃねえし場所の指定もないからかち合うんだよ。
 同じ冒険者が敵に回ると、色々厄介だぜ?
 戦闘だけじゃなくて……、町に住んでる以上はな。

 そういうわけで、こういう時はどっちが反省するんじゃなくて、
 どっちかが引くか譲り合うか。まー、大体は速いもん勝ちってことだ。」

 まあ、と言葉を切って

「それでも、お前今こうやって俺の話聞いてる辺り、素直だし、不本意なのも分かるよ。
……なんで一人なんだかな。いうほどみんな東の奴ってだけで距離取るかね。

 てか、もっと派手な仕事とかしてみたいのか?」

「そうでもねえよ。ただの魔物相手ならいいが、盗賊とか……、
 特にこの辺りは頭が回る奴が率いてるのもいるからな。逃げる前提で罠張られるかもよ。」

 頓着なく、あっさり飲んでしまうのを見届けて、ニィ、と笑いつつ。

「にしてもお前さん、彼氏とか、普段つるんでる仲間とかいないのか?
 街に知り合いとかさ。 言い寄ってくる奴もいるだろうよ」

アカリ > 「依頼以外の仕事…ワタクシに、そんな事をする余裕なんて…?
むぅ、確かに、その薬草も他の依頼にあった気がしますが…
それまで受け取る理由がワタクシにはありませんから、必要分だけ貰えれば結構です」

プライドが許さないのか、律儀な性格なのか、それは分からないだろうが。
俯き考える仕草は見せるが、すぐに顔を上げ。
男性の申し出にはきっぱりとNOを答え、あくまでも依頼分だけに留める意思を見せる。

「うううぅ…仕方ありませんね」

男性の言い分は尤もなのだ、何ら言い返す言葉は見付からないらしい。
がっくりと項垂れれば、不満気なままではあるも、そうポツリと答えた。
ここで食い下がらずにいても良い事はない、それはさすがに分かるらしい。

「勿論です!ワタクシの力を発揮出来る場さえ見出せれば、こんな状況なんて簡単に脱せられますからね!」

そして仕事の件に関しては、再び勢いを取り戻したかのように胸を張ってそう答えるのだ。
その様子から、自身の力にはよっぽどの自信があると見られるだろう。

「どう逃げるか、の前提が間違っていれば、そんなものは通用しません。
どうせ、ワタクシの存在なんて、この辺りで知ってる人なんていないんですから…

あ、それにしても、この果実水はなかなか美味しいですね。
お礼は言いませんよ?お詫びですから」

魔物にしても、盗賊にしても、普通に逃げる事を想定して追い掛けたり罠を張ったりするだろう。
それでは自分は捕まらない、そんな自信も少女は抱いている。
のだが、それを言っている途中に何かを思い出したのか、語尾はトーンが下がり呟いているような口調となっていた。

そして飲み終えた水筒を男性へと返す。
続く問いには。

「そんなもの居ません、薬草なんてばっかり採ってて、仲間なんて出来る訳ないでしょう?
知り合いも、ですが…言い寄ってくる男なんてのは論外です」

予想は出来ていただろうが、そう答え、肩を竦めるのだった。

コルボ > 「今は無理でも、慣れてくりゃ見えるところも増えてくるからよ。
 そうなってからでいいのさ。
 ……なんか、言い方の割には律儀だなお前。
 そういや名前聞いてなかったな。俺ぁコルボだ。 お前さんは?」

 仮にも鳳凰の雛鳥、その正体を知らぬとはいえ男が貴女に名乗った名前は”烏”で。

 ハハッ、と笑いながらなんだかんだで噛みつかずに理に叶ってると受け止められた貴女の頭を軽く撫でて。

「お前さんみたいに人の話聞ける奴は、生き残れる方だよ。
 お前みたいなこと言う奴で、人の言うこと聞かずに死んでった奴いっぱいいたからよ。

 ……つか、脱せられるってか、お前さん役割なんなんだ?」

 攻撃系、ではなさそうだし、直接聞ける距離にはなってきただろうと。

「ん-、でもお前さん、この辺てか王都じゃ結構目立つし美人だしな。
 そのうち目ぇつけられると思うぞ?
 だろ? こういう時に持ってくるのは良い奴選んで持ってくんのさ。
 自分へのご褒美っつうかな。一仕事終えた後にやんのよ。」

 実際目をつけて、こうしてあえて品質が良い果実水まで仕入れて飲ませてるのだしなと思いつつ。

「でかい仕事したいなら、一人は厳しいし、お呼びもかからないぜ?
 薬草ばかり取ってて、ていうなら、併せて自分の売り出ししねえとな……。

 俺が紹介してってもいいんだけどなあ。」

あ、と声を上げて。

「ロイス、って冒険者のおっさんいるんだけどな? いや俺面識ねえんだけど。
 妙に評価低いんだけど、その人なら一人で生き残ってきた猛者だし、
 いろいろ知ってるし、何より女に軽率に言い寄る人じゃねえよ。
 前衛だしお前さんと最初は相性いいかもな。」

 ……媚薬が浸透するまで、話題を繋げていきながら

アカリ > 「なんだか失礼な言い方をされた気がしますが、気のせいでしょうか?
む…人に名乗らせておいて、ワタクシだけ名乗らないのは…
仕方無いですね、しっかりと聞いて下さい?
ワタクシは、鳳凰の…じゃなかった、アカリで良いです。
よろしく、とは言いませんが、コルボさんですね、覚えておいてあげます。

…ちょっと、ワタクシの頭を気安く撫でないで下さい!?」

男性の名乗りに僅かな間を空けるものの、やはり律儀にそれに対して自分の名前を名乗るのだが。
一瞬言い掛ける自分の正体は伝えるのを控え、名前だけを名乗る事にした。
理由は簡単で、どうせ言ったところで分からないから、というものだ。

そして頭を撫でられれば、再び不機嫌そうに頬を膨らませるのだった。

「ふふんっ、ワタクシが同行していれば、そんな事はありませんけどね!
なにせ、回復においてはワタクシは完全、完璧なものですから!
…えっと、精神的なものは駄目ですけど」

話を聞ける者、聞けない者、そんな話をしている男性に対し。
少女は自信満々に自分の能力を男性へと伝えてみせた。
最後に付け加えたような言葉は、ついでのような小声であったが。

「うぅん、ワタクシの美貌に惹かれついつい眺めてしまうのは仕方の無い事ですが。
その程度の身の弁えは出来るんじゃないですか?
そんな事はどうでも良いのですが。
なるほど、自分へのご褒美…ワタクシも、いずれ何か考えておくとしましょう」

その果実水の味はなかなかに気に入ったのだろう。
そんな呟きと共に、そんな考えを巡らせるのだった。

「…紹介、ですか。
自分から売り込む気はありませんが、そうですね…
せっかく教えてくれた事なので覚えておきましょうか」

と、そんな遣り取りを続けている訳だが。
次第に、何気ない素振りをしている中、小さく吐息を吐くところが見られるようになるだろう。
動き回っている訳でない、気を張り続けている訳でもない。
なのに、そうなる理由はそう多くはない。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアカリさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からコルボさんが去りました。