2021/09/10 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にダリルさんが現れました。
■ダリル > 日暮れ時、次第に空が朱色から淡い紫、藍の色に染まる頃。
山賊街道の異名をとる街道を、ゴトゴトと走る一台の荷馬車があった。
農夫風の御者が駆る、頑丈そうな馬が引く、幌の無い荷馬車。
ぎっしり詰まれた木箱の中身は、恐らく農産品の類だろう。
そんな中、最後部からにょきりと足を出して座るシスターは、明らかに異色の積み荷だった。
持ち物と言えば木のロッドだけのシスターを気遣って、寒くないか、と御者が声を掛ける。
シスター姿の少女――――を装っている少年は、振り返ってにこやかな笑みを向け、
「ええ、大丈夫、ご親切にありがとうございます。
こうみえて、わたし、こういうことにも慣れておりますので」
こういうこと、というのが、荷馬車での移動のことであれ、何であれ。
御者は笑って、シスター様がそんな訳ねぇだろう、などと返してくる。
うふふ、と口許に手を当て、品良く笑ってみせたが、実のところは。
――――――もう少し早く走らねぇのかな、この馬車。
などと、罰当たりなことを考えていたりする。
この街道を、夜に、一人歩きするよりは、ずっとマシだと知ってはいるが、
いかんせん、快適な旅、とは言い難いので。
■ダリル > ガタゴト、ガタゴト。
のどかな荷馬車に揺られながら、向かう先はとりあえず、どこかの村だろう。
今夜は王都に帰れない、けれどまあ、今更慌てても始まるまい。
せいぜい、田舎の暮らしをのんびり観察させてもらおうかと――――――――。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からダリルさんが去りました。