2021/09/05 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアブドさんが現れました。
■アブド >
夜の山賊街道
たいした灯りもなく昏い山中から街道を覗く一団があった
『どうすか。頭領』
大きな身体を小さく屈めた、屈強な男が静かに口を開く
その視線の先には闇に沈み込むような、浅黒い肌の女がいた
「…灯りは1つだが数は4人。冒険者の一党(パーティー)だな。
装備は上等。ギルドからの帰りだろう。たんまり持ってそうだ」
昏い赤い瞳を持つ女は深い闇を見透かすように、ターゲットの情報を更にこと細やかに、仲間へと伝えてゆく
その一団は、この辺りにアジトを持つ盗賊集団だった
「…西の獣道から回り込んで挟撃する」
集団のボスである女は闇の中でもすべてを見通す眼を持っていた
こうやって闇に紛れ、虚を突くことで格上の冒険者すらもその歯牙にかけてきたのだ
■アブド >
まず灯りを狙って矢が放たれ、暗闇の中でターゲットの一党は一瞬の混乱に包まれる
暗闇の中で光を奪う、ただそれだけで女…アブドにとっては相手は腕の立つ冒険者ではなくなる
ただの狼狽える素人と大差ないそれらの急所を的確に斬り裂き、絶命させる
生かしておく理由は何もない
上玉の男女なら捕まえて躾ければ高く売れるだとか、そんなことは考えない
生きた人間ほど商品として扱うのが面倒臭いものはないからだ
「……終わった。さっさと荷物を運べ」
落ちていた松明を拾い上げ、灯りを灯す
女の足元には一党の者達が倒れ伏していた
声がかかると、ぞろぞろと林の中から屈強な男衆が現れ、一党の持ち物を物色してゆく
「売れそうな、軽いモノから優先だぞ。
食料は余裕があるから後でいい」
側に立つ木に背を預け、指示を口にする女
彼ら、他の盗賊達に屈強な者が多いのはこういった荷物持ち要員であるためだった
無論、腕も立つのだろうが…こういった状況下での強盗には女が単独で動くほうが幾らも楽で、成功しやすかった
■アブド >
『頭領』
「…ん」
遺骸を漁っていた一人の盗賊が丸まった羊皮紙を手にやってくる
内容はギルドの依頼書、その写しだった
「…なるほど。
王国貴族からの依頼をこなしてきたのか、こいつら。
羽振りのよさそうな装備をしてるわけだ」
ふむ。と口元に手をあて、思案。そして
「…エイム。リチャード」
二人の男を呼び寄せる
「お前らまだ顔が割れてないだろ。
こいつらに変装して王都のギルドに行け。
それでこの依頼をキャンセルしてくるんだ」
依頼未達成のまま冒険者が行方を晦ます
その依頼が王国貴族由来の重要なものであったなら、面倒に繋がることもある
王都は、盗品を売りさばくために出かけることもある
彼らのお膝元で動きづらくなるのは可能な限り避けるべきだった
■アブド >
──あとは早いものだった
盗賊達も手慣れたもの、金目のものから順に運び出し、最後にはその遺骸を林の奥の沼へと沈め
ものの十数分でその痕跡までもすべて消し去ってしまった
「ご苦労。…あいつら王都の冒険者だ。換金は港のほうでする」
向こうなら自分が直接出向いてもいいか、と
撤収する盗賊達を見送りながら、その足元に僅かにこびりついた血痕を砂利に混ぜ込むように踏み躙る
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 一事が万事、全てを手際良く済ませる盗賊団に、唯一の誤算があったとしたならば、
それは、そもそもの前提条件に齟齬があったという事にまで遡る。
九頭龍山脈の山賊街道に存在した冒険者は野営を行なっていた4人の他にもう一人存在していた事実。
一党とは無関係の、偶然、行き先が近しかっただけの彼は、多少離れた位置に天幕を張っていたものの、
先行する一党の異常に気付き、駆け付けた際には既に骸が転がる後の始末。
其処で激昂して縁遠き者達の敵討ちに興じる程の情熱も抱かねば、
骸の始末や金品の強奪に勤しむ盗賊達を木陰から逆に見守りながら様子を窺い。
頭領と呼ばれた女に目を付けると遠回りに昏い山中を廻り込み、距離を詰めて行き。
「――――……、冒険者狩り、か。随分と手際が良いもんだな」
周囲の盗賊達が撤収に掛かりきりとなり、人数が減った所を見据えると
腰に佩いた長剣を引き抜けば、木陰から地面を蹴って女の傍に近付き、
その切っ先を咽喉元へと突き付けようとして。
■アブド >
盗賊の仲間達も引き上げ、さて自身もアジトに戻るかと思った矢先だった
「……!」
ほんの一瞬の出来事…白刃の切っ先が、喉元に突きつけられていた
「…気づかなかったな。もう一人仲間がいたのか」
男の仕掛けたタイミングは絶妙だった
老練、というには勢いもある、熟達した冒険者の動き
「流石に想定してなかったな。全員死んだ後に出てくるとは。油断していた」
既に死に体
如何に女が素早く動けようとも、その白刃が細い喉を貫くのが先だろう
■トーラス > 剣の切っ先を女の咽喉元に突き立て、睥睨しながら周囲の気配を探る。
一仕事を終えて戦利品を得る事で浮足立った盗賊達は意気揚々と此の場を離れて、
一人残された頭領の事など気に掛ける事もなくアジトへと帰還を果たしている真っ最中だろう。
或いは、忠誠心に富んだ部下の一人が殊勝に頭領を待つという状況などを懸念したが、
生憎とアウトローの彼等にそんな感情を求める事自体、無意味なのかも知れない。
「物事が上手く行くと誰もが油断する。あいつらにしても、お前らにしても、そうだ。
勉強になっただろう?」
道中、会話をしただけの一党だが、聞かされた話によれば随分と羽振りが良さそうだった。
仕事を終えて報酬を得て油断したであろう彼等は、その道中で盗賊に不意を襲われて、
そんな彼等から金品と命を巻き上げて油断した盗賊がこうして剣を突き立てられる。
巡り巡る因果を皮肉気に嗤いながら、空いた片手でダガーを抜けば刃先を女の衣服に触れさせて、
布地を切り裂き、身に着ける武装を解除させようと試みていく。
「ちなみに念の為の確認だが、……命惜しさにアジトにまで案内する気はあるか?」
此処から既に立ち去った盗賊団の他の連中。
彼等の庭である昏い森の中を追い掛けて歩く気にもなれず、冗談交じりに問い掛けて。
■アブド >
元々が勝手気儘な盗賊団
縦ではなく横の繋がりに等しい
女が中心となっているのも、夜眼が異常に効くことで指示がしやすいこと
そして…紅一点であるという性的な理由もあったが
気紛れなところもある頭領の性格と、そのしぶとく生き抜く実力を知っている彼らは余計な心配をしないのだった
…といっても、おかげで実際にこういった状況になることもあるのだが
動きを阻害しない薄布の装いは簡単にダガーの刃に割かれ、はらりと浅黒い素肌を顕にさせる
細い皮のベルトのフックに括られていた、女の得物であろう円月輪もまた、衣服と共に地面へと落ちる
松明一つ程度と僅かな月明かり程度の下ではあるが、女はさして羞恥をその表情に見せることもなく、動じずにいた
野生の獣を彷彿とさせる靭やかな体は細く締まりつつも出るところは出た雌の肢体
喉元の白刃と共に、自身の身体を見下ろし、女は溜息を吐く
「ああ、勉強になったとも。
命は惜しいがアジトの場所はド忘れした。残念だったな」
それで?とも言いたげに、僅かに瞼を潜めた視線を男へと向ける
■トーラス > ダガーの刃先が女の衣服の布地を切り裂き、革の帯を割けば、
身に纏っていた円月輪が地面に落ちて金属音が周辺に響き渡る。
目の前の女から気を許す事無く周囲の状況を窺い続けていたものの、
その音にも誰も駆け付けてこない辺り、既に盗賊達は立ち去った後らしい。
「そうかそうか……、アジトの場所まで忘れるとは確かに勉強が足りてねぇみたいだな。
まぁ、仮にも頭が簡単にベラベラ話すような事を信用なんてする気もないが。」
彼等の間に仲間意識があるのかは分からないが、仲間を売った際の制裁は、
表社会よりも裏社会の方が凄惨の極みを尽くす事だろう。
肩を竦め、鼻を鳴らすと此方を見遣る女を眺め、漸く松明と月明かりに照らされる、
彼女の雌の肢体を視界に収めると、口端を弛める。
物事が上手く行くと誰もが油断する――――、それは彼にも当て嵌まる心理。
「まぁ、首だけよりも生け捕りの方が価値が高い。王都までの逢瀬と行こうか。
その間、たっぷりと勉強もして、親睦も深める事としようや」
好色めいた笑いを浮かべると、ダガーを仕舞い込み、その手で女の片手を掴み、
背後に捻るように締め、彼女の後ろに回り込むと咽喉元に刃を突き立てながら歩き始める。
向かう先は森の中、目立たぬ場所に張られた自身の天幕。其処へ女を連れ込もうとして――――。
■アブド >
「ふ、ん……」
男の浮かべる笑みは、雄が雌に向けるそれだった
言葉の通り生け捕りのほうが、その首にかかった金も増えるのだろうか
主に賞金をかけられる側としてはどうでも良いことではあるが…
助けは…まぁしばらくは来ないだろう
どうせ仲間は先に帰って酒でもかっくらっている
そのうちに誰かがそういえばボス帰ってこないぞと気づいて漸くではなかろうか
そもそもが、女はよく単独で行動をすることもある。早い段階での助けは見込めない
「つ…っ。おい…もう少し丁寧に扱え。別に抵抗もしない」
と言ったところで所詮は盗賊女の弁
男としてもいつどこで噛みつかれるかは、といったところだろう
後ろ手に腕を捻られミシリと関節が悲鳴をあげる
僅かに眉を顰め、促されるままに男の張った野営地へと足を進められ…
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアブドさんが去りました。