2021/08/13 のログ
■ラファル > 師匠との行動は、様々な行動を教えてくれる。その行動は、仕事は、役割はラファルにいろいろな学びを与える。
動き方も、考え方も、物の見方も。それらは楽しく、そして、もっと、と要求を覚えたくなるのだ。
忍びの技も、もっと、まだまだ、覚えていきたいと思うのだ。
今回の城崩しに関して、さて、其れの応用を何処で行えるのだろうか、と。
「あーい。
取り合えず、今回は、今回使った奴のやつ?」
基本的にドラゴンとしては、力技に傾倒してしまうのは仕方がないのだ。
そこを色々と調教して、小技を覚えさせている彼の手腕が光るという所なのだ。
幼女自身も、頭が悪いわけではなく、それが必要だという事は判って居るのだ。
心理戦も、ちゃんと覚える積りもあるのだ、ただ、精神が懸け離れ過ぎているので、人の心、がとても難しい。
ただ、ただ。純粋に、頑張って、覚えているのは間違いはない。
つまるところ、盗賊たちに明日はない、
生かして帰れば、自分たちのスキルを研究されてしまえば、対応策を練られてしまう。
だから、師匠が考えるように、盗賊たちは、逃がさずに殺してしまうしかないのだ。
「りょーかい。という事で。」
『しっかりと守りなよ!守り切ったら、御褒美上げるからね!』
ドレイク達に、再度指示と発破を繰り返して。
師匠とは別の場所に―――体の小ささを生かして、何処にしようか。
しばらく考えて、幼女は、砦の高い所に。
月光の当たりにくい、尖塔の陰に、上からの襲撃を考えることにした。
「―――――。」
意識を拡散する、周囲の気配に溶け込んでいく。
幼女は色は変わらないが、瓦礫に、塀に、融け込み、闇の中へと、影の中へと。
聞こえてくる嘶き、そして、人の声。
幼女の眼を開けば、金色の光が月の光を反射してしまうのかもしれない。
だからこそ、目を閉じたまま、耳で、空気を、風を詠み、距離を、測っていく。
■影時 > 「そうだな。まずは素材の採り方、加工、んでもって用法をおさらいするぞ。
紛薬、粉毒ってのは、偶に蝶だか蛾みてぇな手合いの魔物が鱗粉を撒いてあれこれ遣ってくる様に似る。
要点は多いが――、一通り抑えときゃ、お前さんの風遣いのチカラにも噛み合うだろうよ」
井戸や水源に毒を落として、拠点を攻めると云うのは殊に戦国の世でよく遣ったが、そっくりそのままは此処では通じない。
水は高きから低きへ流れるものである。
上水道が完備された城塞の溜池に毒を投じるなら兎も角、こんな隠れ家の井戸に毒を流せば、他の水源に波及しかねない。
其れは忍びの流儀としては正道だが、表向きの生業である冒険者としては褒められるものではない。
己も弟子も冒険者として生きるのなら、その点の注意点、リスクも含めて、よくよく覚え直す必要がある。
例えとしても人間離れしていると云えるのは、己とてそう。
抜け忍として程々に技を隠しつつ、自由を謳歌するというのは、何事にも心を配らねば生きていけないのだから。
(――さぁ、傭兵崩れだか兵士崩れだかなら、戦場に出たての餓鬼みてぇに力んだりはしねェよなあ。
であれば、如何にする? まずは、そう。身を守ろうとする……よなァ?)
弟子は改めてドレイク達に指示を出し、その上で己と同じく身を隠したか。
身を隠す心得を得た者同士、かくれんぼに専念しだすと、それこそ何時間でも隠れていられること疑いない。
今のこの場で僥倖なのは、そんな探り合いは必要ないということである。
顔を微かに上げ、陰から見る敵達の身なりは薄汚れているが、元は何処ぞの軍装らしく、整っていた風情がある。
頭と思しい男に至っては現地調達を繰り返して不揃いになったのではなく、修繕を繰り返した様も見受けられる。
墜ちる処まで墜ちれば、こんな場所に屯していることもないだろう。
それでも、荷馬を守るように円陣を組んで、周囲の警戒をし出すまでは見事と――しよう。
「!」
瀟、と微かに木を遠くさざめかせ、吹く風の音に紛れるように、近くにあった小石を掴んで大きく投じる。
己が身を伏せる場所から注意を引くように投じたそれは、丁度隠れ家の石壁に当たって音を鳴らす。
獲物たちの目が、一斉に向く。そのわずかな刹那こそが、初撃の契機である。
地に伏せた影が、起き上がり様に手近の敵の一人の背に取りつく。
左腰から抜き放つ太刀が、敵の胸部から血濡れの刃を生やして突き立つのは、そのわずかな後だ。悲鳴を上げる余地も挟みはしない。
■ラファル > 「はぁい。
目つぶしとか、そう言うのも、風に乗せて飛ばすと良いよね。
風を上手く使って調節するなら、卵の殻に入れたりとかも、要らなくなるし。」
粉物であれば、風を捜査して広域にまき散らすことも出来る。
もっと簡単なやり方を考えれば、きめ細やかな砂を城中にまき散らせば、それは十分目つぶしとして利用できる。
薬をまき散らせば、それは、眠り薬にしろ、毒薬にしろ、広範囲に効果を及ぼせるのだから、十分考えるべき所なのだ、と。
水の中に入れるように、後に残り続けることも無く証拠もなくしやすいと、いいことづくめか。
再度、お浚いして、覚え直すのも、良い物なのだろう。屹度。
今現状、一番見つかりやすいのは、ドレイクと、そのドレイクに抱かれている捕虜だろう。
自分や師匠の様に隠れることに長けているわけではないし、ドレイクはそもそも隠れることが出来るほど小さくもない。
ただ、表向きは彼らの所有物、其れなら大人しくしているなら、直ぐにばれることはないのだろう。
そういう意味では、ドレイクも、隠れているといって良いと思われる。
円陣を組み、守りに入っている様子の敵は、統制の取れている動き。
どこから来ても、護れると言わんばかりに、親玉を守る様にしている姿は、幼女にとっては弱点を晒しているようなものだ。
守られている人物が、一番大事な存在だ、ということが判るのだから。
そんな時に、合図が。
別に最初からそんなやり取りをした訳でもない、しかし、長く師弟をしていれば、師匠の動きが、考えがある程度わかるようになる。
動き始める兆候も、判る。
なので、石がぶつかり、意識が逸れたとき、其処が攻め時、という所だ。
音もなく動く師匠。
師匠は、影。ならば。
「ちゃーんす!!!」
尖塔の上から、大きな声をあげて見せる幼女。
彼らの意識は、此方に向かう、必然、師匠への、下への意識は薄れる物だ。
音もなく一人が倒れたのなら、大声で、上から飛び掛かる馬鹿が居れば、相手の意識は必然迎撃に向かう。
彼らの攻撃で、幼女が傷つく確率は薄く、その方が師匠が、やりやすくなる。
師匠の動きに対し、邪魔になりそうな敵に対して、棒手裏剣を投擲、喉を、額を貫き、斃す。
戦況は、煩く、そして、静かに、進む。
■影時 > 「目つぶしを卵の殻に仕込むのは常道だが、アレを日々作るのは面倒でな。
風に乗せて使えるなら、薬包を鞄の中にでも入れておきゃ其れだけで済む」
あと、卵を使うならその中身を使わずに捨てる、というのはどうにも勿体ない。
無頼を名乗るに貧乏たらしい、と言われても仕方がない。里に居た頃であれば、貴重な栄養源だったのだ。
今でやるなら、雇い主の家の厨房で卵料理が出る時に殻をとっておくよう、頼み込むのが調達の早道か。
実演、実用がなければ、座学で教授したものも忘れてしまう一方だ。
部屋を借りての薬剤調合の実演、入れ物にする卵の殻を糊と紙で貼り直す作業のおさらいなど、神経を遣う。
故にこそ、何度も反復するに限る。忍びの技はどれもこれも、ただ教えるだけでは飽き足らない。
(土の中を泳いでみせるのも一度は見せるべきなンだろうが……、
風が強いとなりゃぁ、五行回しを教え込むにしても下策になりかねん。
そうとなりゃ、今は風向きに逆らうような技を教えるよりは、生かせる技を伸ばすが賢明だな)
五行を御する技を体得した身として、立てば真っ先に触れる地面とは、術の基点とするに何よりも都合がいい。
故に土の中に潜行する土遁の技も、その身に培った心得の一つにある。
が、いずれは実演して見せるにしても、今この場で使う手立てとしては不向きだ。
敵を動かすには奇手による虚なぞよりも、惨状を前にした傭兵、兵士崩れの警戒心に訴えるほうが手っ取り早い。
「――……獣や馬は殺すなよ。二本足で立ってる奴らだけを、狙え」
そんな己の意図を弟子はよく分かっている。
己が隠れている状態からの奇襲、再度隠形を以て獲物の死角に入るなら、弟子の挙動はそのための陽動として役に立つ。
夜陰に紛れ、声を反響させる。独特の発声法は声からの現在位置の把握を困難となさしめる。
そして、また一人。背後から切り捨てる獲物の頭を掴み、足場代わりに跳び上がり、一歩遅れて己を捉えた首魁らしいものに向かう。
剣と共に鞭を持っているのは、獣遣いだからなのだろう。
護衛のドレイクの一体が鞭の音に顔を起こすが、己が手にする刃が――震える。竜に対する威の圧が増す。
怖れを得たように動きを止めるなら、使役獣を知ったするように鞭を振るう姿に肉薄する。
ハ、と哂えば、次の瞬間その男の心臓に刃金が突き立つ。
■ラファル > 「こう……もっと簡単に使えて、何度も使いまわせるの……小袋でも、いいのかな。」
東洋でいえば、巾着袋と言うべきか、口を開けばすぐにばらまけるような袋、革ではなく、布で柔らかい奴。
其れを思い出して、首を傾ぐが、今、この手元にはないし、後で師匠に作り方を教わるしかないだろう。
貧乏というよりも、何でも使う、使用する。安く手軽に手に入るに越したことはないのだ、何にしても。
其れを笑うなら、笑えばいいと、幼女は思う次第だ。
食べ物を粗末に扱うのは万死に値するので、中身の卵はちゃんと消費してから、という所。
実践に勝る経験はない、知識では、偏る、いざという時の反応に困ってしまう事もある。
知識だけが、全てではないのだ、だから、色々と学び、色々と行う。
使わなければ褪せてしまう者も多いからこそ、そして、覚えることが多いから、反復する必要が出てくる。
土遁の術、土に関する術、得意かどうか、でいえば、苦手だ。
風の竜だから風に関する力や能力は大きいが―――逆に言えば土は、四元素の考えでいえば、真逆の属性。
五行を回して使うならば、使えなくはないが、大きく色々迂回してからの発動。
遜色なく発動自体は出来るが、どうしても一手二手遅れてしまう事は否めない、後は、修練により、その手を早くする、効率化する、最適化する、ぐらいか。
それでも、起点として使う師匠に比べれば、とても遅くなってしまおうか。
「りょ!」
暗号のような短い返事は、了解の意を見せる。
これで、仲間が居る事は相手も理解する、周囲の警戒をし始めようが、しかし、そうすると、ラファルの行動がやりやすくなる。
陽動だ、と誰かが良い、意識を逸らしたところに、致命の一撃。
取り巻きの一人を、馬から蹴落とし、其のまま、頭を潰してからの蹴り飛ばしで、別の男へと。
『動くな、殺す。』
金の竜眼が、下等竜を睨み据える、圧倒的な実力差、更に、竜殺しの刀を見てひるんだ所に魔力を込めた邪視。
金縛りの術のアレンジで、ドレイク達をを縛り付ける。
脳が命令を拒絶し、石になったかの様に動けなくする。
ドレイクが動きを止めたことに、動揺する賊を、幼女は、あっさりと落としていく。
一人、一人、馬から落ちて、倒れ伏していく。
■影時 > 「まァ、一番楽なのは紙包みだ。巾着袋は目が粗いヤツだと、漏れちまう」
以前、プレゼントに渡した目の細かい布地の三尺手拭のような布地の袋なら事足りよう。
欲を言えば、布地の目から零れないクラスとなると布よりも革の方が望ましいが、絞りが少し不安になる。
値が張るとはいえ、医者が紛薬の包みに遣うような薄紙を使うのが、一番早いか。
そんな指針、または見解を示しながら、残敵の掃討にかかってゆこう。
敵を一人殺さずに捕獲して尋問する心算も何もない。首級を挙げる予定もない。
捕虜となった者を救出し、彼らが使役した獣と馬を捕獲し、収奪された物資を少しでも取り戻す。
今回の目的達成の要点、押さえるべき事項としては其れで良い。
「……さぁて、こうなると一々忍んでもいられんか。
まぁ、其れは其れでいい。あとは個々に片付けてしまえば依頼はほぼ達成したのも同然だろうさ」
初手の襲撃、奇襲から稼げる有利はこの状況になれば、ほぼ薄れているだろう。
それでも、敵の頭を抑え、大きな戦力となる使役獣の動きを止めてしまうなら、個々の残敵の能力は恐れるには足りない。
敵から引き抜いた刃を血振りし、ドレイク達に示すように圧を纏う刃を翳しつつ、周囲を睥睨する。
弟子が身軽に馬に乗った一人を蹴落とし、そのまま次の獲物に移るのを横目に、僅かに残った者を標的として捉える。
「運が無かったな。次に生まれ変わるなら、いや、こいつはァ余分か」
それでも起死回生を図ろうとするのか。
怖気を得ながらも、槍を構えて迫る敵を半歩横にステップして躱し、すれ違いざまに切りつけて――刃を一振り。
血を拭って刀を納めれば、この隠れ家に再び、静けさが降りる。
その後、星明かりを頼りに運ばれた物資や隠れ家に残されたものや捕虜を確かめ、荷馬車に積みこめば山を下りようか。
近場の村に降りれば、ぞろぞろと引き連れたドレイク達にひと騒動になるだろうが、報告を終えればそれで依頼達成だ――。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からラファルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から影時さんが去りました。