2021/07/30 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に影時さんが現れました。
■影時 > 薬草取りの仕事を受けた時の余禄としては、こういう愉しみもある。
いよいよ干上がるような日差しを受けながらの探索は、適度な息抜きを挟まなければ保たない。
特に、飲み水の類を欠かすようなことがあってはいけない。
山中で新鮮な水を求めるとなれば、小川や清流の類を遡るが――。
「――いやァ、偶には河岸を変えてみるモンだ。まだまだ知らねぇ場所が多いってのは実にイイ」
そんな声が、九頭竜山の山中に流れる清流の川岸にて響く。
刻限は強い日差しが照り付ける昼間。日差しが、木々の合間より漏れて流れる水をきらきらと照らす。
清らかな流れに一筋の釣り糸を立てる姿がその声の主だ。
着古した色合いの柿渋色の羽織に、太刀を背負った装いとはこの場では見かけないが、不思議と周囲の気配を乱す風情はない。
否、釣りに勤しむとなれば、一層周囲を乱すような振る舞い等は避けるべきである。
釣れるか釣れないか、其れを近場で調達した枝を竿代わりに糸を垂れて占う。
■影時 > 「清流釣りの毛針の持ち合わせはあンが、……蟲で様子見が妥当かねぇ」
釣れなければ、仕方がない。昼餉は手持ちの携行食でごまかすとしよう。
だが、日ごろの癖とはいえ手持ちに酒瓶がある。
川辺の窪みに瓶ごと浸して冷やしているとなれば、肴を欲するなら矢張り釣りに興じざるをえない。
依頼された薬種は普段遣いに足る薬草類に加え、夜に採れるというキノコ類もある。
日中に探索をして大よその目星をつけるにしても、時間潰しをどうするかというのは大きな問題だ。
座禅を組んで瞑想でもするか? 否、山野の天気はうつろいやすい。
せめて、雨露を凌ぐに足る山肌の窪みでもない限り、その気にはなれない。
「……――ン」
であれば、矢張り釣りだ。刀や刃ではなく、糸と釣り竿を介して自然と向き合うのも一つの修練だ。
針に付けた餌を如何に自然に、旨そうに魚たちに魅せ遣れるか。
そして、食いついた魚を的確にひっかけて、己の方に寄せられるか。
其れなりに選んだとはいえ、枝からでっちあげた即席の竿は大物釣りには少々不安がある。
手首を巡らせ、竿のしなりと糸に付けた針を引っ張る水の流れの力を意識する。
■影時 > 「蟲の類は喰い慣れた――って、ワケじゃねぇやな。少なくとも、物珍しい食い物ではあるまいな?」
細かく考えるなら、魚を数種釣り上げて腑分けのうえ見分する必要がある。
だが、経験則で考えるならば蟲の類は魚も好む部類だろうと思う。
特に食いでのある魚を求めるなら、水中の藻ばかりでは腹を満たすには足るまい。
そう読む。そう考える。
釣れぬならば、一旦針を戻して再度算段を立てるか? そう思っていれば――、
「……お、ッ」
くい、と。竿先が沈む。みちり、と竿が撓る。ピンと張った糸が縦横に水面に波紋を広げて踊り出す。
ようやく食いついてくれたかと、口の端を釣り上げ、竿を握り直す。
後は十分に喰いついたかというタイミングと呼吸を見計らい、ぐっと竿を振り上げれば糸の先に鱗を輝かせて、釣り上げた魚の魚体がくねる。
喰うに困る小物ではなく、程良いサイズであることにほっとしながら、手元を捻る。
そうすれば、針先から釣り上げた魚は外れ、川岸に作っておいた石囲いの中に落ちてゆく。
石を積み上げ、水を引き込んだ其処はいわば即席の生け簀のようなものだ。
■影時 > 「ふむ。改めて時間取って、この辺り調べておくのも悪くねェな」
この辺りで取れやすい山菜、薬草類から鉱石の類、そして魔物の動向。
知ること、知悉することとは生きるための力となる。
需要が多い薬草類は採り過ぎると、次に採取できるようになるまで少なからず待たなければならない。
他に同じものを採れると分かっていれば、生育までのタイミングをずらして需要を保つことができる。
狩りの点に於いてもそうだ。其れが猛獣のみならず魔物、そしてヒトを狩るためにも役立つ。
街中ではなく、野外で糧を求める人間の動向とは概ね決まってくる。
今この場のような水場を確保できなければ、死ぬのは免れない。
「あともう一匹、二匹位釣れりゃあ晩飯には困らンが……どうだろうなァ?」
取り敢えず、釣れた魚を狙う鳥の類には注意が必要だろう。
仰げば、日差しが目を射るような心地の空を仰ぐ。今のところ、其れらしい飛来物の影はない。
ほっとしつつ、川辺に降りては足元に転がる砂利や抱えられそうなサイズの岩の裏を検めよう。
手頃な蟲を見つけられれば、それを針に付けて再度釣りに勤しもう。
陽が落ちれば、請け負った仕事を全て終わらせるために――。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から影時さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカザンさんが現れました。
■カザン > 「ふぁああああああ………」
やまびこになりそうな大きなあくびをして
小高い丘の上に、巨大な鬼が退屈そうにあぐらをかいて眼下をみやっている
冒険者だとか、見慣れない魔物だとか
そういう面白いものがいれば、目的でも聞いてやろうと思うところ
または、強者が居れば…喧嘩を吹っ掛けるのも悪くはない
「――――……、ふああああああ…」
ただ、今のところは退屈だ
巨躯を伸ばして、ぐしぐしと目をこする
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカザンさんが去りました。