2021/07/15 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にアカリさんが現れました。
アカリ > 「まったく、なんでこのワタクシが…」

九頭龍山脈、麓からそう離れてないものの、街道からは少し離れた森林地帯。
少女は一人、何かを探すように見回し、歩みを進めている。
ただ、その表情は不機嫌そうな膨れっ面だ。

元々は、討伐や探索のパーティに入り、ヒーラーとして大活躍、なんて予定だった。
しかし、冒険者なりたての少女に、そんな危険な仕事が回される訳もなく。
希望したところで願い叶わず、薬草採集の仕事が回されたのだ。
山の深いところまでは行かない、凶悪なモンスターや野獣も出る事はない。
比較的安全、だが、華々しい活躍の場も何もない依頼。
こうして、薬草の生息する場所に来た今でさえ、こんな状態でぶつくさ不満を洩らし続けていた。

アカリ > 時々気が付いたように肩掛け鞄から羊皮紙を取り出し、覗き込む。
そこに記されているのは、目的の薬草とその採集方法。
採集の依頼なのに間違った物を取って来たら拙いのだから、その為の保険みたいなもの。
薬草に詳しい人物だったらそんなもの要らないだろうが、そうではないので仕方無いのだ。

「おかしいですねぇ、この辺りって言ってたじゃないですか。
もう、もっと分かり易く生えてないものですかね?」

羊皮紙を鞄に押し込み、ぽつりと呟きを零す。
そんな簡単に見付かるようならば苦労は無い。
がさごそがさごそ、あっちこっちと茂みを掻き分け、少女は道なき道を進んで行く。

アカリ > 「…?あれは…?」

がさり、何度目か茂みを掻き分けたところで、その先に見える光景。
小さな泉と、その周囲に見えるものは…
再び鞄の中から羊皮紙を取り出せば、そこに描かれたものと、その周囲に生えるものを見比べてみる。

「……これですわ!」

ぱぁっ、と膨れっ面が一転、晴れやかな笑顔となった。
もぞ、と茂みから這い出してこれば、泉に向かい駆け寄って。
はた、と寸前で足が止まる。

「っとと、いけないいけない。
ワタクシとした事が、こんなはしたない…!」

こほん、と咳払いを一つ。
ぱんぱんと服を叩けば、気を取り直しての薬草摘み。
そして、無事に戻れるのかは分からないが、戻るのだった。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」からアカリさんが去りました。