2021/04/14 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にルッカさんが現れました。
ルッカ > 蒼く深い山奥の森、細く走る獣道の途中。
その場所に罠が設置されたのは、たぶんずっと以前のことで、
もしかすると設置したひとも、そこに罠があることを忘れているかもしれない。

なぜなら罠はひどく錆びていたし、雨上がりのこんな夜には、
とりわけ金臭い匂いがして、獲物の鼻腔を刺激する。
もっともこの金臭さは、獲物の血の匂いである可能性も捨てきれないが。

とにかく、そんな罠にまんまと嵌って右足首を挟まれ、
逃げ出したくて無駄に暴れた結果、かえって金属のギザギザ歯が足に食い込み、
すっかり疲労困憊し、弱り切って草むらに倒れ伏す、白い人型仔ウサギの姿があった。
おなかは空いたし、足は痛いし、寒くて、眠くて――――――

「ふぇええん……だれか、いませんかあぁ……」

この際、罠をしかけた張本人でもかまわない。
だれか来てくれないだろうか、真っ赤な涙目を瞬かせて、
ひくり、ひくりとしゃくりあげる。

たとえば罠をしかけた張本人が現れた場合は、おもに生命の危機なのだが。
こんな場所では、人間以外の、獣や魔物に見つかる確率の方が高そうだが。
そんなことを、このちいさな頭は考えない。
ただひたすらに、まぬけに泣き声を響かせるだけなのだった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にガウムさんが現れました。
ガウム > 山の中を徘徊し、木の実やキノコ、干し肉などにできそうな獲物をかき集めて狩りを続けていた。
ある程度収穫出来たのちに住みかに帰ろうとしていた時だった。
近くで声が聞こえそちらの方にやってみれば、片足を気絶し倒れる獣人の兎娘が居た。

「…人間…?獣…ドッチ、ダ…?」

目の前に現れた兄は倒れる娘に近づいて慣れない人語を離す。
兎の要素もあり、人間としての体をしている怪我のある少女を目の当たりにする。
しかし、足の傷の匂いを嗅ぐと、錆びた鉄の匂い。
自分のし掛けた罠の匂いと似ているのに気づくとニヤリと笑う。

「カッカ…!オ前…罠、当タッタ…。
丁度、イイ…オ前…今日ノ…獲物…。」

(嬉しそうに笑う褐色肌の鬼。
倒れる娘を担ぎ、持ち運ぼうと腕を伸ばす。)

ルッカ > ガサ、ガササ――――――草むらを掻き分けて歩くだれか、あるいは、なにかの気配。
びくりと肩を震わせ、しんなりと垂れていた耳を弾ませて、
相手の気配を探る、という慣れない真似を試みるまでもなく、
その影はいきなり眼前に、ぬう、と現れた。

「ひ、きゃ、っ………!?」

仔ウサギの目から見れば、それこそ、山のように大きい。
太い脚を軽く振り上げ、踏み降ろされれば、ウサギなどあっという間にぺしゃんこだ。
一気に青ざめて、ガタガタと派手に震えながら―――――
逃げなきゃ、と思ったときには、もう。

「や―――――っ、やだ、やっ、やめてよ、ぉ……!
 ルッカ、ちっちゃい、から、ぁ……食べても、おいしく、ないよお、っ……!」

がちん、とギザギザ歯が打ち鳴らされる音。
無理矢理罠から引き剥がされるように、担ぎあげられて、仔ウサギは必死に声をからし、
じたばたと自由のきく手足を暴れさせる。
罠に噛みしだかれた右足だけは、だらりと垂れ下がったまま。
その足首はひっかき傷だらけで、痛々しく真っ赤な血を滲ませている。
もっともこの相手が、それを哀れと思うかどうか。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からガウムさんが去りました。
ルッカ > 〈移動します〉
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からルッカさんが去りました。