2020/11/05 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ここは九頭龍山脈、山中の中腹の辺りか。
道からはずれ、鬱蒼とした木々の中、隠れるように存在する遺跡の一つ。
どこかに流れる噂では、盗賊の一団が住処として利用しているとかどうとか。
凶悪な魔物が住み付き、近付くものを喰らうとかどうとか。
まぁ、噂の元はともあれ、近付かぬようにするものばかりあがっている場所だ。
そんな場所だからこそ、行かねばならぬと思う者も存在する訳で。
噂が本当であればと、盗賊団であれ、魔物であれ、討伐しようとする者。
戦うよりも、蓄えているかもしれないお宝等を狙おうとする者。
そして…
ただの暇潰しとして、訪れる者。
「ふむ…噂の真偽はともあれ、ここじゃな」
一本の大きな木の枝の上、そこに立つ少女。
そんな遺跡を遠目に、のんびりと眺めながら、そんな呟きを零す。
見た感じ、外からでは灯りは見えない。
見張りっぽい者は…居ない。
まぁ、そんなものを点けていたり、立たせていては、そこがそうですよ、と言っているようなものだろう。
噂に聞いた盗賊と魔物、その線は、とりあえずまだ消えない。
まぁ、噂はただの噂で、普通の遺跡の可能性もあるが。
とん、とん、と木々の枝を飛び移り、入り口っぽい付近までやって来て。
とりあえず、念の為にと、もう少しだけ様子見である。
■タマモ > 入り口に降り立ち、地面を調べれば、少なくとも何者かが出入りしている、とかは分かる。
しかし、少女は基本的にそれはしない。
真面目に調べれば、足跡から、かなりの情報が得られるのは確かだ。
確かだが、それが分かってしまっては、少女にとっての楽しみが減ってしまう。
その辺りが、こうした場所の探索等を生業としている者達と、少女との大きな違いだろう。
身の安全の確保、なんて常識、持ち合わせていないのだ。
…まぁ、気分次第では、襲う側に回る訳なのだが。
「ともあれ、行かぬ事には、何も始まらぬじゃろう。
…いざ行かん、とうっ!」
様子見、だったのだが、即飽きた少女。
掛け声と共に、たんっ、と枝を蹴る。
宙を舞い、くるくるくると回転し…
しゅたんっ、なぜか、無駄にポーズを決めて着地。
「………うむ、満点じゃな」
何が満点なのかは謎だが、満足気に頷くのであった。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」に弾正さんが現れました。
■弾正 >
九頭龍山脈。龍の首に見えるが故に、そう名付けられたと謂う。
龍とは、人の手が及ばぬまさに"天災"とも言うべき大いなるものだ。
弾正は、己のいた世界ではそう言うものだと認識している。
さて、ともすれば此処は触れえざるものとすべきであろう。
身を焦がす炎に、人は決して飛び込まない。
だが、実際は如何だ。此処には多くの"神秘"が在る。
『山賊街道』等との宣われ、多くの物が其れを求め出る飽くなき欲の地。
「等活、黒縄……八大に迄下ろうよ。」
まさに此処、地の獄也。
そんな思いとは裏腹に、実に穏やかな風情を持っている。
吹き抜ける風に誘われるように、ざんばらと揺れる黒髪。
流れのままに草鞋を進ませれば、何とも空から誰かが降ってきた。
「ほう……。」
天子。否、天狐か。其れにしては、些か活きも良い。
見るに山を下ったか、枝木から降り立ったか。
何にせよ、弾正は興味を持った。
ゆるりと、静かな足取りで少女へと歩を向けた。
「御機嫌よう。随分と気風が良さそうだな。
此度は、野盗ばかりの龍の背と聞いたが……君も其の一人かな?」
■タマモ > 決めたからには、向かうは遺跡。
そうして、遺跡の前へと着地した訳だが…
「………む?」
どうやら、先客が居たらしい。
向けた視線の端に見える、人の影。
意識を遺跡に向け過ぎていたせいか、そこに居た相手には気付けなかったのだろう。
…次からは、もう少し注意を払おう。
そう思いながら、ゆるりと視線をそちらへと向ける。
と、確かめる前に掛かる声。
どうやら、声から男である事は分かったが。
聞き覚えは無い、視線を向けてみれば、見覚えも無い。
「ふむ、初見の者のようじゃな。
野盗ばかりの、龍の背…?
………龍…龍…おぉ、ここの事か。
ともあれ、妾がそんなものに見えるのか?ん?」
とりあえず、掛けられた言葉に、軽く思案する仕草。
ここの事を指した言葉に、どうやら、すぐには気付けなかったようで。
少し間を置いて、ぽんっ、と手を打った。
ついでに、己を野盗とかと勘違いしているような言葉にも、そんな風に問うのだ。
もちろん、己としては違って当然と思っているのだから、自慢気に胸を張って。
■弾正 >
少女の自信に溢れた態度に弾正は噴き出すように笑った。
いやいや、そう言わんばかりに首を振る。合わせて揺れる、長い漆色。
「いや、失礼。童のような健気さに微笑ましくなってしまってね。
見受けるに、狐か。……嗚呼、野盗と言えど、何も暴力だけが能ではあるまい。
其れだけで生きていけるはずもない。生き残るには、"狡猾"さ。……そう。」
「其れこそ、狐や狸の得意とする"化かし合い"か……。」
化かし、騙り、堝の底に悪意を満たす。
世の仕組みと言うにはぞんざいだが、其れで成り立つのが悪行と言うもの。
ともすれば、王都などとは名ばかりの斜陽もまた、然り。
弾正の知る狐とは、時には天子の使い、人を騙る化け物。
即ち魑魅魍魎でしかない。しかし、しかし、だ。
思わず、肩を竦めてしまった。
「……が、君では無いだろうな。
嗚呼、野盗にしては澱みが足りない。信じるとも。」
油断を誘うため等、疑う事なら如何様にも出来る。
だが、其処迄疑うのは無意味な事だ。
此の無邪気さに比べれば、かすんで見える。
隠す事も無くひけらかす、何処となく小馬鹿にした言動。
「さて、旅は道連れと言うが狐の君よ。
欲のままに向かうは、目の前の奈落かな?」
目の前の遺跡を一瞥し、問う。
■タマモ > 自信満々に向けた言葉だが、笑いが返ってこれば、ぴくり、と眉が揺れる。
まぁ、その点は、謝罪の言葉で許そう。
だが、童を例えに出した、それはダメだ。
「待て、ちょっと待つのじゃ。
妾に対し、童のようとは、それこそ失礼と言うものじゃろうに!?
妾のどこをどう見たら、そう見える!?
………と、それはさて置き。
まぁ、そこは否定のしようもないのぅ。
見て分かるじゃろうし、それが分かれば、そうした事が得意なのも分かるものじゃろう」
びしっ!と指差し、それを否定するかのように、だむだむっ、と地団太。
…いや、だから、そこが間違われる原因だろう?と、言われそうだが。
そんな地団太はすぐに止め、一寸の間。
気を取り直したように、そこはあっさりと肯定してしまう。
実際に狐だし、実際に化かすし、実際に悪行と言えるような事もしているのだから。
嘘ぶるのは簡単だが、どうせ、言ったところで簡単にばれるだろう、と考えてだ。
「まぁ、そうじゃな。
しかし、澱みが無くとも、それが真っ当なものとは限らぬものじゃ。
世の中には、澱み無き悪と言うのも、存在しておるからのぅ」
そうしながらも、あえて、切り返す。
純粋であれ、無邪気であれ、そうした者も居るのを知っている。
まぁ、相手もそうだろうが、少しでも返さないと、あれだ…何か悔しい?
そこが、精神的に幼いと言うだろうに。
「あー…そうじゃな、気の向くまま、風の向くまま。
先に見えるのは、お主が言うような奈落か、それとも…
それを探る事こそが、楽しいものなのじゃ」
男が現れずとも、そもそも今回の目的はこの遺跡。
同じように、遺跡を一瞥すれば、そう答えた。
■弾正 >
案の定、予想通り、想定無い。
まさに地団駄を踏む姿は童と相違無く、余りにも想像通り動いてくれる。
其の様が実に愉快だった。思わず、くつくつと喉奥から笑い声が漏れた。
「いやいや、失礼した。何、童の如く健気で可憐、と言う意味も在る。
傾国には至らぬで在ろうが、中々如何して。悪くないとも。」
金糸とは言わぬが黄金色の薄を思い起こされる艶やかな毛並み。
愛嬌を感じさせる容姿に愛嬌の良さ。
数々の"皇"を堕落させた悪女の象徴と比べれば、文字通り童のような可愛らしさだと。
やや淀んだ翡翠の双眸が流れるように、少女の全身へと向けられた。
弾正は、"評価"においては嘘は言わない。但し、其の如何ともしがたい不敬。
信じられるかはさておき、「それに」と言葉を続けた。
「"懐かしい"風情でね、年甲斐も無く心が弾んだ。
客人の国で在れば然もありなんだが、故郷の匂いも恋しくなると言うものだ。」
思い焦がれて幾星霜……と、生憎其の様な愛はあり得ない。
見知らぬ文化に、風習に、知識に、物に、興味を抱いた。
唯、生まれ故郷の匂いは忘れ難し。各、少女の纏う其れは、弾正の知る世界に近しいもの。
然るに、口八丁と言われれば其処迄だが、全てが嘘と言う訳ではない。
「然り。清濁併せて持ってこそ価値がある。
……成る程、化かしが得意とは言ったが、少しは話がわかるようだね。」
意外や意外、と僅かに目を丸くする。
相応に価値観は学んできているようだ。
弾正の見る目も、僅かに変わる。
「弾正(だんじょう)。生まれ故郷では、そう呼ばれている。
如何かな?狐の君よ。同伴者として、私を連れていくのは。相応には役に立つ男だとも。」
旅は道連れ。
此れも縁で在れば、必定と口に出る。
■タマモ > そんな事だから、そう思われるのは仕方なし。
本当は分かっているのか、本当に分かっていないのか、それは少女のみぞ知る。
己の行動に、再び笑いを見せる男に、ぷぅっと頬を膨らませる少女。
だから、そんな事を言われるのだ。
「いやいやいや、失礼と言えば済むとか、そんなものではないじゃろう!?
舌の根も乾かぬ内に…って、お主、もしや、わざとやっておるか?」
二度目、深呼吸し、気を落ち着かせる。
こうして、すぐに落ち着きを取り戻せるところから、まんまそうであるとも限らないか。
相手の事は、まだよく知りはしない。
だからこそ、評価に対する姿勢と言うものは、分かっていないのだ。
「………ふむ。
まぁ、怒ってばかりも疲れてしまうか。
故郷なぁ…そう言われてみれば、なにやら近しいものを感じると、言えなくもない」
腕を組み、軽く首を傾けて。
答える言葉は、それとないもの。
実際、他の誰かが二人を見れば、似寄った雰囲気を感じない事もないのだから。
と、語り合いの言葉に、反応を見せる男。
真面目な返しにしか反応しないのは、ちとあれだが、良しとしよう。
一応、これでも相手より間違いなく、長く生きているのだ。
…本当に、これでも。
「む…名乗られて、答えぬのは主義に反する。
妾の名はタマモじゃ、覚えるも忘れるも、お主次第じゃろう。
役に立つ立たぬは、別に気にはせん。
一人よりも、二人三人と、多い方が、暇も無くなろう。
良い良い、行くならば、共に行こうではないか」
生まれ故郷では、ならば、ここでは違う名なのだろうか?
ふと、そんな事も考えたが、その名で名乗ったのだから、それで覚えれば良い。
………忘れるかもしれないが。
ともあれ、伝えた通りだ。
暇が紛れるならば、それも悪く無い。
答えを待たずして、遺跡の入り口へと、早速と向かう少女。
そんな言葉を掛けているのだ、言わずとも、賛同すれば付いて来るものだろう。
向かう先に、何があるのか。
それは、まだ今は分からないが。
■弾正 >
「……ふぅむ。」
その仕草は実に、実にわざとらしく映ったのかもしれない。
神妙な顔つきで少女を見下ろし、己が顎を撫でて思案を重ねた。
"わざとやっているのか"。そんな事を、"わざわざ思案してみせれば"……。
「否、或いは気のせいだ。」
等と、宣ってみせた。
にやけた口元は嘲りを隠さず、かくも舌の根どころか二枚舌。
地獄の閻魔も、弾正の舌を抜くのにはさぞ苦労する事だろう。
「いやはや、東国か、和之国か。無論、近しい文化は知っているのだがね。
些か、草鞋を脱ぐには落ち着かなくてね……。見ての通りの、根無し草だ。」
似たような国は幾つか見受けられはしたが、故郷とは比べられぬ。
根付くには土が合わず、人とは馬が合いはしない。
ふぅ、と僅かに吐いた吐息に根付く、憂いの色。
「ともすれば、私の知る狐とは違うだろうがね。
否、懐かしさを感じれただけでも十分だ。しかし、しかし……タマモ、と来たか。」
興味深そうな声音だった。
如何やら弾正にとっては、其の名は興味をそそられる物らしい。
時折吹き抜ける風に合わせ、漆の和装と髪が揺れる。
合間で覗く翡翠の双眸は、さながら"値踏み"をするような目つきでは在った。
「……否、其れこそ気のせいだ。君は石に成る程も感じないな……。」
静かに首を振り、宝刀の柄に肘を置いた。
「嗚呼……気にしないでくれ給え。
私の国では、其の名は音に聞く程"有名"だった。」
「……行こうか、タマモ。欲のままに動く事こそ、在るべき姿。
私も実に、欲深い俗人でね。今も高鳴っている。はてさて……。」
如何なる贅が待ち受けているのか。
少女の後ろから、優雅に歩く弾正の足並みに一切の迷いはない。
其の入り口が奈落か、根の国か。何れにせよ、弾正には関係無い。
此の潤しがたき"欲"、渇望を満たしてくれる物が其処に在る。
成れば、足を向けるのも一興で在ろう。止める権利は、誰にもない。
己自身さえ……焔の欲、今宵は何処まで燃え広がるか……。
其れは全て、見聞きし者のみが、語り部也。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」から弾正さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。