2020/10/04 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に鐵さんが現れました。
■鐵 > 昼間の九頭龍山脈地帯 ここまで足を踏み入れたのは鐵は初めてだった
王都からは離れ、まれびとの道をゾス村経由で途中まで護衛役で訪れた。
無名遺跡に差し掛かる分かれ道で降り、手荷物は肩から腰で下げ結んだ風呂敷包一つ
食料 路銀、酒精、その他のみ。
ゾス村も立派な腐肉喰いの竜が住まいそうな場所だったが、
この山賊街道に入ってからは、常にピリピリと頬や背中に触れる痺れを感じるかのよう
好奇心ではなく品定めなのだろうか
明確な敵意を向けられているようで、ニコ目の瞳はより一層細まり、笑みを絶やさない
「ふふっ、大きな山だなぁ 龍の名を関するんだから相応しいね。」
街道からでは見上げても、全貌が見えるはずもない。
山中の街道ならともかく、麓からでは、その山々は潜むなにかを内包する巣窟にしか見えなかった
「山の中のほうが、面白かったのかな?」
鐵は一人のんびりとこんな場所まで訪れながら、敵意を歓迎し、袖触れ合う機会も好ましい
何かしらの出会いを、物騒な方向も視野に入れて少し楽しみにしていた
「温泉もあるんだっけ……何人か出会えたら教えてもらえるかな?」
それは道を尋ねる際の物言いなのか、将又何人かを返り打ちにしたあとの洗浄として吐かせるのか
先の話は、今はまだ不明瞭なこと
■鐵 > 途中、街道を歩いていると壁のようになっている一面が片側に出てくる。
水がしみ出しており、黒く濡れた壁を眺めながら流れる小さな音が聞こえると、細く流れる打たせ湯サイズの滝
「へぇ、淀んでると思ったけど結構綺麗なんだなぁ。」
適当な葉を選び、大き目のそれをプチンッと一枚。
指先でクルリクルリと角のように巻き付けると、簡単な葉の杯が。
「水場が豊富ならどこかで野宿もいいかなぁ。」
山篭り アジト荒らし 鬼は身勝手な生き方そのままに、悪を向けてくるなら悪で返してやるように。
葉の杯で注がれた水を飲み干しながら、季節柄冷たく透った山水。
「ふぅ♪」
葉をポイっと放りながら、口元を指先で拭うと、適当な獣道を探すことにした。
街道沿いからどこかに入口は必ずあるはずだ。
後は気ままに、奥まで進んでいってもいいだろう。
深い山の林の中で出会う者はどんなものだろうか。
■鐵 > 水濡れの黒壁が消え、やがて斜面の林がまた連なったころ
歩いていく際中獣の道は、普通草花が別れ、潰れ、やがて根すら諦めた道ができる場所
薄っすらと産毛が残る程度の短い丈の草しか残らないような場所ではなく
狒々や栗鼠が好むような、腰が曲がった木に差し掛かる
斜面で映えるそれは桜なら見事な柳のように見えたかもしれない
しかし、根が零れ、十分な栄養も取れず巨体なままゆっくりと枯れを見せていた
目の前までいくと、右手が幹を撫でる。
乾いた表面は剥がしても生白い、水を含んだ肌肉はおそらくないだろう
一息だけ、強く籠める
め ぎ ょ っ
幹に食い込んだ手に重みを置いて、ふわりと上がった。
幹の上に脚をつけるのなら、そこから林の中へ。
ぐいっぐぃっと斜面に足先を食い込ませるように、山中の中へと入っていく
文字通り、獣が行く道から入り込み、山中、天辺に比べ緑も湿度も濃く、生暖かそうな土と苔が広がっている
剥き出しの岩や横倒しに幹に目をやり、一歩一歩、トォーン、トォーンと軽やかに上がった。
そのままやがて斜面が終わる平たい場所が途中で出たのなら、辺りは未開拓
獣すら通らないような場所なら、せめて獣が巡る場所を探す
時折骨や足跡が見つかる
しかし現物がいなければ意味もない
途中平たい岩場を見つけた
尻のでかい鬼でもいたなら、きっと途中で腰を下ろしそうな潰れ具合の岩。
山中を散歩し始めて刻が少し経ち、そこで休憩を。
「んー……獣みたいに行き過ぎたかな?」
もっと、獣や人の目が、鼻が向いてくると思っていたモノの、意識は途中で途切れている
風も通らない故に湿度がそのまま冷えて、目に見えない水の吐息がかかるかのよう
腰を落とし、苔すら生えていなかったそこはまるで罠のように思えるほど落ち着けた
腰に下げていた銀瓢箪の酒精を数度流し込み、腰に差していた煙草入れから煙管を取り出す
刻みを指でつぶし入れ、火口と火打ち金がキンッと硬い音を立て、ジワリと赤熱を産むのなら
スパスパと煙管の煙が緩やかに口の中から零れ出て。
「ふぅぅぅぅ……空気が良いとはいえない、よね。」
苦笑しながら、風のない、苔と緑の幻想的な山脈の樹林地帯
煙草の煙はやや淀む空気と共に舞いながら、一服は緩やかに白を辺りに漂わせた。
「……ボクが山賊なら、どこらへんで見下ろして根城を作るかな?」
と、ぽつりと漏らしながら、吸い口を銜え。
■鐵 > 休憩が終わると、山中の奥深くへと姿は消え……。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から鐵さんが去りました。