2020/06/08 のログ
■タマモ > ざっと見渡した感じ、付近に村や街はない。
遠目に見え上がっている湯気っぽいものは、まぁ、温泉か何かだろう。
木々の切れ目、細長く続くのは小川だろうか?
ところどころ、ちょっと空けたような場所もあるが、誰か居るっぽい灯りのようなものは見えない。
「むむむ…夜目が利くならば、灯りは不要じゃろうが…
それとも、純粋に誰も居らんのかのぅ?」
枝の上に腰掛けたまま、ぐーっと軽く伸びをする。
額に手を当て、遠くを見詰めるような仕草をしていたが、その手を戻す。
腕を組めば、そのどちらだろうかと考えたり、その後どうするか、とか考えたりするのだ。
ゆらゆらと、それを示すかのように、不規則に尻尾が揺れていた。
■タマモ > 「………とうっ!」
不意に、身を乗り出し、くるん、と前倒れに。
そのまま、錐揉みに回転しながら落ち…
しゅたんっ、器用に、しっかりと足から着地を決める。
「ふむ、10点満点?」
その格好のまま、どこへともなく、そんな言葉を。
ぽんぽんと、埃を払うようにお尻を叩く。
「さてさて、先にあったのは小川で、その先に温泉じゃったか。
せっかくじゃ、そちらに向かうのも、手であろう」
己の言葉に、ふむ、と頷いて。
のんびりとした足取りで、その方向へと足を向け歩き出した。
■タマモ > 「己が気に入らんだけで、相手を貶めようとする。
己は己、相手は相手、その距離感も掴めぬ拙さゆえに…
………のぅ?お主等のような者が、存在する。
環境の違いか?性格の悪質さか?…まぁ、何にしても…」
不意に、少女はそんな呟きを漏らす。
その視線は、木々の生える茂みの奥、そこへ向けられていて。
その表情は、がらりと雰囲気を変えていた。
「己の事だけしか考えられず、その手を染め続ける連中をな。
残念ながら、妾は放置し切れんのじゃ…可哀想にのぅ?」
その瞳、僅かな赤が少しだけ濃さを増す。
少女の瞳が見たのは、茂みの影に隠れる者達。
臭いで分かる、その者達は、以前に覚えのある者達だと。
雰囲気で分かる、その性根は腐ったままだと。
己の向けた警告、それを無視する連中に…救いは無い。
少女の表情に、笑みが浮かび、その唇が大きな弧を描く。
次の瞬間、山中の木々の茂みから、幾つもの叫び声が上がった。
そして、次々と地面へと倒れ込む音が、そこかしこに起こる。
以前少女を前に、少女の式に倒されるも、一度だけと、その場は逃された賊達だ。
そう、確か、あの時は、捕らえたミレー族達を引き連れていたところだったか?
■タマモ > 「仏の顔も三度まで、との言葉はあるが…
妾は、そこまでお人好しではない………あぁ、人ではないがな?
馬鹿は死ななければ治らん、いや、死んでも治らんか?
ともあれ、せめて、来世に期待してやろう。
今世は、そのまま、獣の血肉となるが良い」
すぅっと瞳を染める赤が薄れるも、その視線は冷めたまま。
それは、まるで汚れものを見るかのよう。
ふん、と鼻で笑えば、再び足は歩みを再開する。
遊びも冗談も無くの、同じ事を繰り返されるのは、少女は非常に嫌う。
「あー…少し、気分が悪い。
一風呂でも浴びて、切り替えでもするかのぅ」
そう呟けば、とん、と地面を軽く蹴る。
その姿は、その音だけを残し、その場から一瞬で掻き消えた。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 背の高い尖った木々の下を、小さな人影が動いていた。
枝葉の合間から月明かりの青白さが地面を細く照らす。
その明かりに近づかないように、よくよく耳を澄ませていても勘違いかと小首かしげるような僅かな足音だけ残して、素早く移動するマント姿が獣道を塞ぐ大きな岩の下で立ち止まった。
「……。……盗賊団の追っ手はそろそろ諦めたかな……?
でもまだ油断できないな。
このまま一晩かけて山の中歩いて、ダイラスに戻ろう……」
瞳を閉じて周囲に人の気配が無いのを確認すると息を吐く。
ギルドの依頼でパーティを組み、盗賊団に拉致されたとある商人の娘を救出したまでは良かったものの、賊の増援で散り散りになったのだ。パーティメンバーは手練揃いだったし、待機させておいた馬車と護衛で王都方面へ娘を逃がす手はずは整っていた。きっとメンバーはどうにか生き延びて、依頼は無事に終えられるはずだ。……自分がダイラスにまで、このままたどり着ければ。
「季節が夏の始まりで良かったよ。
ふふ。虫の音が聞こえる」
冬場の山中踏破は厳しいが、今の季節なら問題ない。
追われながらの緊張感はもちろんあるが、旅好きの自分にはピクニック気分でもある。
どこかのんびりとした歩調になり、静かに夜の山道を行き。
■タピオカ > もう一度立ち止まって気配を伺う。
動くものといえば、茂みの中へ駆けてくウサギかフクロウ程度だ。そろそろ安全な場所まで逃げ切れたと思った。
荷物を確認する。マントに、腰に下げたシャッター付きランタン。ランタンのスリットに入っている火口箱。愛用の得物である曲刀に、懐に笛。ランタンの反対側に水筒がひとつ。腿に吊るしたナイフシースに一本だけ、日常使いもできる投げナイフ。
ダイラスまでの逃避行をするには十分な装備だと思えた。
水筒の水は半分ほど減っていたが、このあたりには温泉も水源も多い。いくらでも川は見つかるだろう。
「途中で天然温泉見つけたら、お風呂入っちゃおうかな。
……と。……?
――っ!」
呑気な希望思い浮かべて歩む。
不意に、妙な月明かりの反射に気づいて立ち止まる。
すぐさまそれは、自分に向けられた盗賊の矢の光だとわかった。瞬間、伏せた。頭の、こめかみから僅か指2分の場所。放たれた矢が通過していく。殺気が頭を撫でるのを感じながら舌なめずりをした。タダで帰してくれる気はないらしい。
月夜の散歩人から気の荒い遊牧民の顔つきになり白い歯を浮かすと、立ち上がりざまに剣を抜いて駆け出し――。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にラスティアルさんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にティクスさんが現れました。
■ティクス > 半刻有れば、拡がった騒ぎも抜けられるだろう。
互い選ぶルートは違うのだろうが…あの有角の戦士なら大丈夫だろうと。
極短い邂逅ではあったが、そう踏んだ。
……故に。口約束を反故に、さっさと城塞都市への帰途に着く事をせず。
奴隷市場の出口、大仰な門を抜けた所で。彼が来るのを待っていた。
勿論、分かり易くぼけっと突っ立っている筈もなく。
街道へと枝葉を伸ばす樹の上に腰掛けて、身を隠しているのだが。
■ラスティアル > 半刻。逃げ出す自分に、少女はそう言った。だから自分も待っていた。街道と大門の両者に睨みをきかせた大樹。その、幾つもの瘤が盛り上がった根元に腰掛けて。
「さて、半刻」
少女の足元で軽そうな声が上がる。立ち上がった男が頭上を仰いだ。
「うーん……素晴らしい眺めだ」
ショートパンツを履いた薄褐色の両脚を見上げ、2本の黒い角を鈍く光らせた半人の戦士が微笑んだ。
■ティクス > 「ちゃんと来てたね。……それは良いけど…」
信じていた…などという、綺麗事ではなく。
その程度は出来て当然だろうという、観測結果。
足元から聞こえた声に、枝の上で、此方も幹に預けた背中を離し。
「……そうでもないと、思うけど……っ、と、と」
殆ど音を立てる事なく。彼の前へと着地した。
直前の私感やら…そういえば先程、可愛いとか言っていた事に関しては。
眼を細めつつ頬を掻くのみ。
――その、目が。こうして面と向き合えば、片方しかない顔付きなのだ。
美的見地という物に関しては、まるで信用した素振りを見せず。まんじりともしない侭で男を見上げ。
「さ――ぁ。色々だ。色々、聞きたい事が有る。
…あんたは何者で。…旅団について。何を、知りたいの?」
先程。いっそ参加するのも…と聞こえはしたが。
それを直ぐに信用する事なく。先ず、意図を確認したがるのは。当然だろう。
■ラスティアル > ほぼ無音で着地した少女。それを見た男は枝の高さを目算して両手を差し出し、小刻みに打ち鳴らした。要は気取った拍手である。
「奇遇だな。俺も訊きたいことがあった。ああ、俺の名はラスティアル。冒険者だが、傭兵の真似事をしている日の方が多い気がするな。それで、知りたいこと。うん」
何度か頷く度に、黒い双角と藍色の双眸が鈍く光る。少女の前を2往復した男が笑みを深くした。
「先に一番大事なことから訊こう。見た所、お前は旅団内で相当高い地位にいる筈だ。そんなお前とお近づきになるには、一体どれだけの手柄を立てれば良い?」
少女に向き直った男が、両腕を緩く広げた。
「さあ命じてくれ。ただでさえ俺は旅団の手先呼ばわりをされている。お前の為なら大抵の無茶はやれるぞ。後、妙に怪我が多いが戦傷には見えないな。さっきの立ち回りは見事だったが、やっぱり隻眼っていうのは何時もの暮らしで不便が多いのか?」
連弩という、連射式クロスボウが東方で発明されたことは知っているだろうか。男の語り口は正にそれ。質問を許されたのを幸いと、訊いて訊いて訊き倒す。しかも、旅団そっちのけで目の前の少女についてのことばかり。