2020/05/29 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 温泉近くの小川」にオブシダンさんが現れました。
オブシダン > 小川のせせらぎが月明かりを映す。
山間を流れる澄んだ水面に流れてくるのは、上手にある温泉の香り。
温泉宿の喧騒もここには届かない。
ただ、月と水の冷たさだけが、夜を映し出している。
涼みに来た温泉客や、あるいは、通りすがりの者が身体を休める河原。
そこは、そういう場所だった。

薄っすらと水に濡れた大きな岩。
そこに、黒曜の蝶は翅を休めていた。
夜の黒にも染まらない燐光を漂わせる翅。水の色をも受け付けず。
ふわり、ふわりと――翅を上下に揺蕩わせる。
仄かに散っていく燐光がひらひらと、涼しい風に乗って流れていった。

幻燈。触れるものを刹那にして永劫の夢に導くそれ。
触れたものが見るのは幸せな悪夢か、悍ましい幻想かは、まだ誰にもわからない。