2020/05/07 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にイディオさんが現れました。
イディオ > (外の世界―――と言うと語弊があるが、今、巷はアスピダの件でてんやわんやをしているだろう今現在、その事件が起きる直前から、ミレー族を見たいという個人的好奇心を胸に、九頭龍山脈を彷徨い始めた冒険者は、今もミレー族に遭遇できずに、山中に籠っていた。
無論、依頼などは受けていないし、男に来るような個人的依頼もない、そもそも、そう言ったコネはないから、自由気ままに生活が出来ていた。
水場が有るから水には困らず、食事に関しても野生動物を狩ってはそれを干し肉にしているので、十分。
更に、キャンプと言っても男一人で生活し続けるのも、夜盗の危険もあるだろう、なので。


要塞化していたりもする。其処此処にトラップを仕掛け、テントの周囲には防壁を作っても有るのだ。
野草や蔦などでカモフラージュしているので近くに来れば判るかもしれないが遠目に見れば、木々の中に埋もれるようになっている。
そんな中で、一週間以上の期間を、男は山中を巡り歩いていた。)

「―――見つからんかもしれんな。」

(ぽつり、と呟く男、その目の前には、昼の食事とばかりにとってきた果物に山菜、魚を浸かった簡易な鍋がグツグツと煮えたぎる。
相も変わらず、ハイライトの居なくなっている男の目は、ぼんやりと河原の方を眺めるのだ。その視線の先には、魚を取るための罠が仕掛けられていて、新鮮な魚を今、又とっていてくれているのだろう。
あまり長くここに居ても、文明的な生活も忘れてしまうだろうし、一度戻ってみるのも良いだろうと思う。
金は使ってないから減ってないが、偶には酒とか、肉、とか、そう言った物が恋しくなるから。)

ご案内:「九頭龍山脈 山中」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――勝手知ったる九頭龍山中。街道を外れ獣道を進み薬草採取に分け入り。川辺へ出ると川沿いを下流から上流へ向かって進む最中に、川の中に仕掛けられている罠を見つけてふと足を止めて覗き込んだ。
 それは罠を張った本人が河原へと視線を向けている時のこと。

「……あら。こんなところに漁師さん? いやまあ……違うか。規模が小っちゃいわ」

 売って生活の足しになるほどの大掛かりな罠でもない。数匹引っ掛かってぴちぴちと暴れている川魚を覗き込んで、こんな所に仕掛けてあるのを見つけるのは珍しい…と辺りをきょろきょろと見回した。

 少し離れた場所に人気を感じるが……山賊の類ならば少々危ない。ぎゅ、と装備していたスタッフを両手で握り直して警戒気味に窺った。

イディオ > 「おんやぁ……?」

(九頭龍山脈の中、それなりに深い所であるが、人が来ないと言う訳では無いのである、迷い人か依頼を受けてきた人か、冒険者か、夜盗か。
そのどれに関しても、おかえり願いたいところではある。理由としては、面倒くさいの一言で特に、後者の夜盗なんて出会いたくもない。
それが、河原の方に―――魚取りの罠を見つけたらしく、其処に視線を向けている様子。
確かに人里離れたこんな場所に魚取りの罠が有れば意識を向けるだろう、夜盗なら、男はクレインクインクロスボウを持ち上げて、その頭部にクォーレルをシュートして、川の中にポイと流してしまうのだが、そんな様子ではない。
と言うより、なんか見たことのあるシルエットで、なんでこんなところにと思う相手であった。
なので、男は立ち上がり、自作プチ要塞。別名、イディオの巣の防壁の方まで歩くのである、防壁と言っても、丸太をそのまま積んで固定しただけのものである。)

「おーぃ、冒険者さんよぅ、それは壊さないでくだせぇ、あっしの食い扶持なんでさぁ。」

(ひらひら、と手を振りながら声をかける冒険者、口調?ええ、知り合いだと確信してるからの、思いっきり茶化したものである。
別段危険は無いだろう、無いと思いたい、もしかしたら、あの握られているスタッフがものすごい勢いで飛んでくるんじゃないだろうか。
あれ?もっと驚かさないような声かけの方が良かった?声をかけてから冒険者は、ひやりと背筋が凍る。

彼女は。

 たしか。前衛系、ヒーラーだったような……っ!)

ティアフェル >  山の中で出会う相手は大体平穏に終わらないのが常なること。故に、この罠を張った相手がこちらに気づいて攻撃してこないことを祈りつつ、ぐるりと360度に警戒した視線を回してはアホ毛も連動してぴ、とアンテナのごとく立てていたのだが――

「――ッ! え?! 山、賊……?!」

 相手を見つけるより先に男性の声が不意に届いたものだから、反射的にスタッフを構えびくっと肩を跳ね上げてそちらを向き。

「――へ……?」
 
 個人要塞?お手製防壁の方から顔を出している様子に思い切り目を丸くしてスタッフを強く握っていた力を緩めて、緊張からの緩和でほおぉ…と息を吐き出し。

「い、イディオ……さん……? 何してるの…? 厭世? 世俗の暮らしに嫌気が差して仙人の道を歩むことになったの…?」

 世俗の暮らしが恋しくなってきたところとも、ここにキャンプを張っている理由もなにも知らないものだから、知人がなにか物好きなことをしている光景に見えた。川辺からそっちに移動しようかと脚を踏み出す前に、掛かっている魚が気になって。

「ねえ、これ! 何匹か入ってるよ。そっち持ってく?」

イディオ > (判定はセーフ、でした、スタッフが飛んでくるという事はありませんでした、良かったね、良かった。……本当に。
アホ毛はセンサーになるんだ、とぴんと立つその髪の毛を見て思う男は、安堵のあまりに変な思考を持った模様、取り合ず、自分の方を向いている彼女においでおいで、と手招きを。)

「いやぁ、厭世するには、女の子と愛し合ってないし、お酒も堪能してないし、美味しいご飯も食べきってないし。仙人……とか、正直無理だ。」

(丸太の上に上半身を乗っけて笑う男、ナイナイ、と顔の前で手を右左に振って見せる。まだまだいろいろしたいお年頃なのです。立ち話も何だし、と考えて。)

「それは俺の、保存食、殺さないでいた方が新鮮だから。お昼だし、お腹空いたなら、籠毎持って来てくれれば、煮たり焼いたりするよ。
あと、ここに居る理由は、ご飯食べながらにでもしようか。」

(今ちょうど料理はしているから、それはそのままでも良いんだけれど、しかし、彼女が空腹なら知り合いだし、ご飯を作るのも吝かではない。
なので、彼女次第という事で、持って来てもらって調理する流れにしよう。
と、言っても―――塩焼きとか、鍋にぶち込んで煮て食べる、とかそっちになりそうだ。
近づけば、丸太を組んで作っている簡易防壁の奥に、男のテントと、沢山の干し肉と吊るされている動物、山菜や薬草。
後、簡易で作られた竈があり、本当に此処に籠っていることが判るはずだ。)

ティアフェル >  他に飛び道具もないのに武器(本来は違います)をぶん投げては後が困るという諸事情は措いといて。手招きする所作に気安さを感じて改めて安堵して表情を緩め。

「良かった…未だ俗っぽさを棄ててなくって安堵した。引き続き世俗に塗れて生きようぜ」

 ぐ、と親指を立てて俗い同盟(?)。そして、そちらに向かう前に魚についてのお伺いに少し考えるようにアホ毛を横に倒しては、

「んじゃ、一匹だけ食べたい。おいしいかなー?」

 新鮮なお魚を頂くのは格別だ。自分用に一匹だけいただくことにして、太った奴を選んで川辺の小枝を拾うと一気に川中のそいつを狙ってぶっ刺し。引き上げると身体の中心辺りに刺した枝をエラの辺りに差し直してそれを持ってミニサイズの要塞まで向かっていく。近づいて行くと風に乗って昼餉の匂いが届いて、お腹が空いて来た。丸太までやって来ると、中を覗き込んですっかり生活拠点と化している現場にぱた、と目を瞬き。

「本格的に篭ってんじゃん。どしたの? 仕事?」

 趣味には見えないガチっぷりである。何か依頼を受けてこの辺を縄張りにでもしてるのかと考えて尋ね。

イディオ > 「ははは、俗人は、俗人のままに死ぬのである、ビバ俗人。というか、お姉さんはご飯食べたら早めに戻るヨロシよ?
なんせ、一週間以上ここに居るから、実は可愛い女の子が来てしまって、キョドってる。正直に言えば、性欲を思い出して大変だ。」

(ぐ、と親指を立て返す冒険者。ええ。俗人でなければ冒険者なんてやっていけません。とか言いつつ、ちゃんと彼女には警告しておきます。
紳士かと言えば違います、ヘタレなだけでございます。
女の子襲って、戻って犯罪者、とかに成りたくないとも言えますし。)

「ほいよ、好きなのを持ってきてね。焼いたげるから。新鮮だし、美味しいと思う。」

(素材の鮮度は最高、そして、釣りで捕まえているわけでは無いから、お腹に虫もいない、とてもいい状態ではあります。なので、手際良く串をぶっ刺してくれている彼女を眺めて、持ってきたそれを預かって竈の脇に立てて、焼き始めます。
ぱちぱちと、音が響くのを聞きながら、塩をまぶして味付けしていきましょう、川魚は淡白ですし。
そして、自分の分の鍋の中身を更に盛り付けて、水と果物のデザートのフルコース、干し肉付き。)

「いいや?ミレー族ってあまり見たこと無くてね、奴隷ではない生のミレー族が見たくなって。
ほら、オジサン個人依頼が来るようなコネもないし、ギルドが慌てて探しに来るような高ランクでもない。
自由のままに、個人的趣味な冒険をしゃれこんでましてね。」

(はい、彼女の想像とは全く違い、何もない状態です。只々、己の欲望のままに遊んでいる次第。俗世の大変さは知りません。
お金が入らずともお金が必要ない生活してますので、問題ない。
完全に、隠匿状態でした。因みに、冒険者ギルドには二週間以上顔を出してない状態となっております。)

ティアフェル > 「あー。それはねえ……マズイ現場に来ちゃったかな……。正味わたしの身よりもイディオさんが無残なまでに再起不能になってしまうのが気の毒だもんな。その上で1000ゴルド程の慰謝料…大変過ぎる」

 このゴリはかわいい女の子などではなかった。襲ってきたりするほどヤバイ人だとは思ってないが、万一そうなったら……大事な場所がなくなってしまうかも知れず、それは加害者になりそうな自分的にも避けたい。
 難しい表情をして、今すぐ立ち去るのもやぶさかではないのだけど。と首を捻った。

「うん、いただきまーす。お腹空いて来たよ」

 だがしかし。食べ物を見ると反応してしまうのが健康な胃。お魚を持っていくと要領よく支度して焼いてくれた。火の傍で香ばしく新鮮な魚が焼けていくのを屈みこんで眺めて待っていると、自分の分のおかずを分けてくれる。なんだか悪いなあと思いながら遠慮はしない。ありがたやと拝んでおこう。

「っはー…? ミレー族を……? じゃあ、イディオさんも猫耳とかつけた方がいんじゃない? 
 人間で武力のある男性相手だと向こうも怖くて警戒ちゃうでしょ? わたしなら追い返すよ。
 でも、いーんじゃない? 冒険者が冒険するのはいいことだし、それが趣味でやれるなら楽しいことよね」

 うんうん、としみじみと肯いて。楽しめる冒険をするのは肯定的。こちらは今はそんなに余裕がない生活なもので、食べ盛りの弟のことを考えると姉ちゃん稼いで来ねばということで長期の休みは取れない。いいなあ、その内わたしも。と将来的にそうしたい姿を見て目標を立てた。

イディオ > 「わぁ、返り討ち案件とか、マジ怖いわー。と言うか、一応前衛専門の戦士を再起不能にできるティアちゃんが怖いわー。
ついでに言うと、慰謝料のゴルドが凄く生々しくて。」

(え、前科あるのとは、言わない。彼女なりのジョークで返してくれたのだと思っているから。本気で返り討ちにあったとしたら、オジサン本気で前衛を辞めて冒険者もやめないといけない。心がぽっきり折れてしまいます。
なのでここは冗談にしておこう、それが良いと心の中の偉い人が言ってくれた気がします。
彼女はご飯を所望のようなので、ちゃっちゃと、料理を済ませてしまおう。)


「ふむ、じゃあ、ついでに干し肉とかドライフルーツとかは如何?どれも、この山で手に入れたやつよ。」

(お腹が空いてきたとの事だし、其れならもっと食べなさい。なんて、オカン風味な心配を。彼女の成長は十分だとは思うが、お腹が空いたままで返すのは、男の心の居住まい的に悪い。
ちゃんとお腹いっぱいになって、満足して帰ってもらわないと、と言う使命感がふつふつと沸いて出る。
材料はたくさんあるからどれでもいいよ、と。
ウサギとか、イノシシとか、鹿とか、干し肉だけでも何種類かあるのだ。フルーツは流石に野イチゴとか、山葡萄にサクランボとかそう言った物なので、ちょっと小ぶりなものが多くある。)

「ちょっとティアちゃん、何言ってるか判らない。
ティアちゃんのような可愛い子が猫耳付けてくれるならともかく、俺のような男が付けて街に出てみなさいな。
即、兵士さん呼ばれて、捕まって、そのまま出られなくなるよ、絶対。

……ぉぅ、それは盲点だったわ、確かに武装してれば来ないか、とは言っても武装せずにこの山の中を歩くのはちょっと敷居が高いし。
諦めて、一旦降りようかな……。俗世に塗れなおさないと。」

(指摘に、SHOCKをうけた。背景に雷が落ちるレベルで。確かに、ミレー族は臆病と聞いたし、普通に出歩いて見つかる者じゃなさそうだ。探すのに疲れも感じていたし、これも気に、戻るか、と考えるのであった。
因みに、男の中では、ティアちゃんは可愛い女の子カテゴリにしっかりと組み込まれているので、ある。)

ティアフェル > 「いやまあ。乙女の常識? ――ってーか、せっかく上手に餌付けれるんだから次に女の子がやってきたら、もう少し上手く口説けばどーにかなるよ。少なくとも最初から襲いそうになっちゃうから『早く帰んな』じゃ、はい速やかに立ち去りますとしか」

 今後を非常にお節介に心配して妙なアドバイスをしておく。上手くひもじさに耐えかねた人がくればあわよくばは期待できるかもしれない。人差し指をぴ、と立ててもっともらしく語った。

「わああ。いーの? 嬉しい。いただくいただく。マジでこんな風に存分に餌付けした後口説きな? たぶんイケルよ」

 頑張れ、と親切にしてもらったのでお礼とばかりに進言を添える。余計なおせっかいと世間では云う。
 こんな山奥でおいしい物がいっぱい出てくる。お伽話の一篇のようだ。きらきらししながら、「うん、うん食べる」と山の果実に手を付けて、野イチゴとか全部食べつくしちゃう勢いで。適当に止めないと果物類は全滅する。甘酸っぱーい、と口元を少々赤く染めながらぱくついて。止めないのであれば苺は容赦なくなくなります。

「全裸で歩ってる訳じゃないんだから大丈夫っしょ。てか、わたしがそんなもんつけてたら大分お花畑な女と思われてそれはそれで死ぬよ。
ってか、街でつけろとはゆーてないよ。ミレー族に会いたいんでしょ? だったら本物みたいなリアルな奴を装備して、仲間ですよーってやって来ると、「あれ?そうなんだ」ってミレーさんも出て来てくれるかも知れない…? 
 普通人間の男性がミレーを探してうろうろしてたらさ、絶対里に来させないようにしよう、てなるって。目的も向こうは分からないんだし…ってか、ミレーの里を探してる人間なんて略奪者ばかりだもの。
それか、街のミレーさんに協力してもらうとかね」

 そこは考えなかったのか、と焼けた魚をおいしくもぐもぐいただきながら。ちょっと無謀だったのではお兄さんと、ごちそうになっておきながら生意気女だった。

イディオ > 「すげえ。有り難いお言葉ですが。うん、採用はするんですが。―――なんだろう、獲物に説教を受けるような感覚ってこういう事を言うのでしょうか。」

(例えばの話である、ご飯として捕まえたウサギに、もっとこういう風にするといいよと言われる、貴方は食べられる側ですよね、と言いたくなるような、何と表現すればいいのか判らない、そんな感覚に男は囚われる。
彼女の意見はとても参考になるで参考にしたいしするのだけれども―――釈然としないというのが一番表現的に会う。
何故にホワイ、と言いたくなる男でもあった。
追加の一言もまた、男の心にぐさりと来るものであるのは、言うまでもなくて。)

「ああ、良いよ、俺も食事終わらせたら、この辺り畳んで、町に降りることにしたから。」

(保存食だから、取っておけばあとでも食べられるだろうが、肉以外はまあいいか、と思うのだった。彼女が食べて残った分が有ればと言う程度。街に戻ればもっと別の保存食だって手に入れられるし、この大量の干し肉を売った金で買うのもアリだから。
美味しそうに食べるなぁ、と可愛らしく頬を染めて、ドライフルーツを頬張る彼女の脇で、魚と鍋をもしゃもしゃする男だった。)

「―――!!??」

(会心の、一撃。冒険者イディオは、目の前が真っ暗になった。どしゃぁ、と音を立てて前のめりに倒れる男。地面に付した状態で、ぴくぴくと痙攣する
それぐらいに、彼女の言い分対しての、そうだった!が、大きかったのである。)

「いやね、男だから警戒されるかもだし、女の子を連れて行った方が良いかなとかも最初考えたんだけど、個人的趣味に連れて行けるような仲のいい子が居なくてさ。
そもそも、ミレーの格好をするとかその思考自体が出なかったとハハハ。

 ―――ハハハハ。」

(無謀すぎました、でも、お勉強になりました。あと、野外生活スキルがそれなりに増えました、野生の心を知りました。全くの無駄ではないと思いたい。
ちょっと、眼から、汁が零れてしまうので、其のまましばらくお待ちください。)

ティアフェル > 「ん? 誰に向かって獲物想定をしているの?」

 にっこりと目が笑っていない笑顔を向けて小首を傾けて見せた。このゴリラに向かってうさちゃん想定をできるのはスゴイ話である。実情はゴリラが獲物を捕まえる時のアドバイスという、それはそれでおかしな模様だった訳だが。
 取り敢えず性欲を拗らせているなら早めにお姉ちゃんのお店に行った方がいいと考える。

「そうなんだ。じゃあ一緒する? こっちも男手があった方が安心だし」

 下山するという意見にさらっと便乗案。こっちは主に野犬が怖いというへたれた理由だけれど。ちょっと女の子ぶりっこした。一人だとコワイの態である。嘘くさいが。
 止められないので調子に乗って果物をもりもりと捕食していく。山ブドウが今の時期にあるのも珍しいので苺の次に手を出して、サクランボは頃合いに甘くて種だけが残された。

「っはー。おいしー。まさかこんな所で果物食べ放題だと思わなかった。甘くておいしかった。全部食べちゃってごめんね。今度何かお返しするね」

 ごめんと云いながらも全力で完食しやがった。好物でお腹を膨らませて満足げにアホ毛を揺らしていたが、そんな平和もつかの間。いきなり前傾し瀕死になる模様に。「え゛?」と表情を引き釣らせ。

「や…女の子でも人間とかだったら意味なかったと思うよ? 里を二人がかりで探ってる人間としか思われんかと。……結構…ガチでミレーの里探しちゃってたんだね……その割に…ノープラン過ぎやしませんか、お兄さん……」

 何とも云えないような表情で呟いては。前に倒れて死にかけている脇に屈んで、そっと荷物からガーゼを取り出すと彼の目元をぽんぽん抑えようとして、ついでに余計なことを云ったかも知れないと罪悪感から、その頭を撫でて励まそう。

「だ、大丈夫だよ。失敗は成功のマザーだよ。次はきっと大丈夫よ。明日を明るい日にするかどうかは自分次第だよ」

イディオ > 「可愛い女の子。」

(ワーニンワーニン。そんな意味不明な警報が頭の中に鳴ったので、男はしれっとどうとでも取れるような返答を返してみる。とは言え、彼女の事も、含むのである。ニコニコしてるが、ちょっと背後に不穏オーラを背負って居るヒーラーさんには、暴力を発揮させないようにする所存)

「ん?ああ。構わないよ、少しだけ待ってもらえれば撤収作業するから。」

(便乗の提案には、うん、と頷く。撤収作業と言っても、保存食を、種類ごとに分けてカバンに詰め、テントと寝袋と毛布を畳み、食べない分のお魚籠の罠を外したり、鍋とか持ってきた物を回収し。外に張り巡らせた罠を解除するのみである。
食べ終わって、鍋とかを洗ってカバンに物故見終わり、なのであった。
それともう一つ、女の子に頼られるのには弱い、以前にティアちゃんにが言われた事でもあるが、ちょろいのである。
彼女の中の血肉となった果物たち、種とかはそのまま地面に穴を掘って埋めてしまう。)

「ま、野生の果物だしな、取れたのをちゃんとドライフルーツにしておけばそれなりに持つさ。蜂蜜とかあれば、蜂蜜漬けとかにして売ってたかもな。」

(全力の完食にお粗末さまと言っておく。元々、元手はかかってないし、其のままであれば売られていく身でもあったのだ、ならば、欲しい人に食べさせるのに、何ら男には支障が無いのだ。
むしろ、好感度少しでも稼げるなら御の字的な。

それよりも。)

「はは、ガチ目に探しておりました、だからここを拠点として作ってうろうろしてましたわ……。
御免ティアちゃん、俺の心に傷がどんどん増えていくよ。依頼以外の旅は、自分の趣味や興味優先だから、プラン練ったこと無いんさ……。
まあ、うん、ミレー族は、諦める。」

(頭を撫でられて、子供のような気分を感じながら、男はゆっくりと立ち上がる。そろそろ降りなければいけないのだから、準備もしないといけないのだし。
此処でぶっ倒れているわけにもいかないのだし、川で顔を洗い、泥を落とす、涙の痕も流す。畜生汗が流れたぜ、心の。
そして、数分後には、左手に盾をもち、腰の後ろにマジックアイテムの大筒と、左腰に剣を佩いて。)

「さ、戻ろうか。」

(ハイライトの無い男の目は、何時ものように笑うのだった。)

ティアフェル > 「あら恐縮ですわ誤魔化すな」

 にこ、と笑みを深めたが、語尾がいまいち穏当ではなかった。ここでのかわいいはあまり効果を発揮しないということをもう一つ学んで頂きたい所存……。

「あーうん。手伝う手伝う。やることゆって?」

 すっかりごちそうになったし、片付けくらいはなんぼでもお手伝いしますと。機敏に動く様子に倣って保存食を詰める作業やら毛布を畳む作業やら鍋を洗ったりだとか邪魔にならない程度にお手伝いしよう。

「あぁ~、蜂蜜漬け…いーね。食べたい……。けど野生の蜂の巣は時にモンスターよりやばいしねー」
 
 天然蜂蜜か…それもいいな…と食い意地の張った想像をして甘味に想いを馳せる。散々食ったというのに。気前よく振る舞ってもらって非常に満足。街に戻ったらお酒でもお返ししようかと考えつつ。

「やー…それは……惜しかったねー…?
 まあ、でもさ、周りに迷惑かけたとかじゃないしさ。終わったことでくよくよするのはもったいないよ。イディオさんはアレだよ、えーと。……お腹を空かせたティアにお腹いっぱい食べさせてくれる為に使わされたんだよ。うん、本当、ありがとね? 感謝感謝」

 励まそうとして自分都合にして追い打ちをかけやがった。今回の彼の野営で得をしたのは完全に自分だけである、なんかスンマセンな気にもなるが。自分の言葉で元気は出してくれないようなので諦めて肩を竦めた。
 しかし、その内気を取り直して戻ってくる様子に焚火の処理をしながら出迎えて。

「うん、帰りはお姉ちゃんがお手々つないだげるから元気だしなね」

 追い打ちその2 決して犬がでたら咄嗟にその手を引っ張って盾にする為にという裏は有りません……と断言できない。

イディオ > 「ぅぅっわ、すっごいドスの利き方。……すみませんでした。」

(ごまかし……失敗、元々腹芸の得意とは言えない系冒険者である、すっごい不穏オーラが沸くのが見える。これ以上何か言ったらまずいので、謝る。男に出来る事はこれぐらいだと観念した。)

「それじゃ……そだね。」

(手伝ってくれる彼女、遣らせるのも悪いとは思ったけれど、手持ち無沙汰だし、先程の食事の件も有るのだろうと、軽くお願いをすることにした。とは言え、軽く言うだけであれこれやってくれる、凄く目端の利く子だから助かるのだ。
ホントありがとうね、と、男は彼女に礼を言うのである、助かるから。)

「正直、蜂蜜が瓶一つとれるぐらいだと、それなりの値段にもなるし、下手すればそれでお亡くなりとかも有りそうだ。
上手く見つかったときは、ラッキー程度だしなぁ。」

(前に見つけて取ったときには酷い目にあったし、と男は学んだ。だが、その時の瓶一つの値段に驚いたものだ、あまた見つけたらひどい目にあっても欲しいかも、程度には。
まあ、見つけたときは、見つけたとき、で考えないといけないな、と思うのだった。)

「――――じゃ、行こうか。」

(追い打ちのお言葉に関しては、流石に心がやすりでずだずだに削られてい―――かなかった。そもそも、自分の自己満足での今回の行動でもある。
そして、そのダメージはさっき顔を洗った時に洗い流した、彼女の言うとおりに何時までもくよくよできないし、切り替えは必要だ。
彼女がおなか一杯になった、それで良いじゃないかと考えておくことにして、心の平穏を保ったのやもしれぬ。)

「役得と考えておきましょうか。」

(可愛い女の子がご飯を奢ったら手をつないでくれた。それでいいや、と男は考えるのだ。
二人は、其処から山を下りて、王都に向かうのだが。帰りに野犬が出たかどうかは、口を開かない方が良いだろう、彼女の名誉のために、自分の信頼の為に。

―――神のみぞ知ると言う奴であった―――)

ティアフェル >  とある冒険者のミレー探しは残念ながら今回不発に終わってしまった。
 その締めくくりにちゃちゃを入れてしまったようで多少は悪いような気がしつつも、野営の後片付けをお手伝いして、食事のお礼は戻ったらお酒でも一杯差し上げたく。
 その前に、お風呂がいいかもしれないねえ、とお店に入るならばその前に、とアドバイスして。

 年上なのに、弟扱いして手を取って下山しよう。なんだか幼いという感じはしないのだが、時折見せる無邪気な様子は年上の男性という感じの緊張感は薄い気安いものだったので、犬防御壁としてもこっそり活用させていただいて、犬の気配を感じれば即座に押し出しにかかっただろう。
 ついでに、蜂の巣も途中で見つけたが、スズメバチの巣だったのでそっと刺激せず逃げた。

 道中他愛無い話をしつつ、山賊などが出たら適度に討伐したり逃げたりしながら案外平和に下山した。その大分後。キャンプ跡地にミレー族の目撃情報が報告されたがそれはここでは誰も知らない話。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からイディオさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にネフライトさんが現れました。
ネフライト > 山中のあんまり深くない場所に湧き出る泉。
ポツンと目立たないその泉は動物達の集う場所、時々誰か来る事もあるけど稀な事。
そんな泉で動物達に混じって一人の少女の姿があった。

泉の縁に座り込み、サンダルを脱いだ素足を水に浸す。
フワッと髪を靡かせる微風も受けながら、とても気持ちよさそうな表情を浮かべていた。
そんな少女だが、よく見れば変わったところも見れるもので。
その額には一本の真っ白な角が生えている。

「暑いから、お水がとっても気持ちいいね、みんな」

ニコニコ笑顔で同じように泉に浸かったり、飲んだりしている動物達へと声を掛ける。
パチャッと浸かる足で水を軽く蹴って、水面に流れる波紋を楽しげに見詰めて。

ネフライト > そのままのんびりと寛いでいる少女。
もう数匹ぐらいの小動物も残ってはいるが、一匹、また一匹と泉を離れ戻って行く。
この場所では唯一どんな動物も仲良くしており、狩って狩られては起こらない。
それはこの少女あってのものだが、それは誰もが知る由も無い事だろう。

平穏な空気の流れる泉ある小さな空間。
それを噛みしめるように、トサッと座っていた側の草むらに寝転がり、雲の無い空を見上げる。
その側に寄り添うように残っていた小動物が集って。

ネフライト > そして集っていた小動物達もいずれ居なくなり、少女一人になる。
それでも少女はその場から離れる事はない。
なぜならば、この場所もまた少女の住処の一部だから。
尤も、常にこの泉に居る訳ではないが。
ちゃんと寝床は寝床としての場所があるのだ。

それに、こうした泉のある場所は僅かとも誰かの来る可能性が無くも無い。
それから避ける為にはそうする必要がある。

取り敢えずは水に浸していた泉から足を上げ、少し乾かしてからサンダルを履く。
トントンと爪先で軽く地面を叩き、辺りの様子を一度だけ確認をして。

ネフライト > クルリと一度身を翻し、その動きに流れる髪と裾を靡かせて。
そのままテテッと小走りにその場を駆け去って行くのであった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からネフライトさんが去りました。