2020/05/02 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 「………ふむ」
ここは九頭龍山脈、山賊街道から僅かに山中へと入った場所。
少し開けたような場所になっており、少女はそこに居た。
が、そこには少女が居るだけ、と言う訳でも無い。
明らかに、外れた場所に誘導され、何かあっただろう荷馬車。
それが、ぽつんと一台あるのだ。
まぁ、それを引くべき馬は、もう居ないみたいだが。
と言うか、御者を含む、誰しもさえ居ない。
「真新しいし、最近なんじゃろうかのぅ…?」
よいせ、と躊躇無く荷馬車の中に入り込む。
いや、せっかく見付けたし、何かないかな?とか。
もしかしたら、荷馬車の中の何かに、誰か隠れてないかな?とか。
そんな事を考えて、だが…
うん、第三者から見たら、明らかに少女が犯人に見える可能性が無い訳でもなし、である。
■タマモ > 先日、今だ名前を間違えている城塞都市、そこから王都へと戻ろうとしたのだが…
例が如く、山中で迷子になってしまったのだ。
飛べば良い?転移すれば良い?そこは、少女の拘りでしなかった。
その結果なのだから、この状況、自業自得とも言えなくもない。
歩いて歩いて、街道さえも見付からず、機嫌が悪くなってきたところで見付けたのが、これ。
………少し側に、街道はあるのだが、気付いてなければ意味もなし。
「むむむ…やはり、面白そうな代物一つ、見付からんかのぅ」
むんずと何か掴み、じーっと見ては、ぽーいっ、と放る。
また掴み、放る、その繰り返しで。
ただでさえ散らかっていた中が、更に酷い事になっていて。
それでも、まぁ、持ち主も居ないし、気にするまでもなしと、少女は遠慮なく続けていた。
戻ってきた犯人にも見える上、見方によっては、置き去りの荷馬車を荒らしている人物、にも見えなくもない。
この状況、ぱっと見て、まともに捉えてくれる相手が居るかどうか。
………あぁ、頭がお花畑の相手なら、良く見てくれるかもしれない。
■タマモ > 「まったく、変な事が起こると、この周囲も碌な事が起こらんのぅ。
とは言え、あのティルヒアの事を考えれば…まだ、ましなんじゃろうて。
無駄に同士の争いが起こると、つい思い出してしまっていかん」
もそもそと、荷馬車から降りる少女。
ぽんっ、と右手に唐傘を出せば、ばさりと広げ、肩に寄せ掛けて。
その視線を、軽く空へと向ける。
今、ここに己が居るのも、あの国があってのものだった。
あの頃は、遊ぶ感覚で争いに参加し、王国を相手にかなりやらかしていたものだ。
結局は、己は第七師団によって打ち倒され、ティルヒアも王国によって落ちた。
いや、正しくは違うだろう。
その原因は、あの時に見た黒い気配、そう少女は確信を持っている。
それでも、表向きはそうなっているのだから、わざわざ余計な事をしなくても良い。
「………あぁ、本当に、余計な事を思いだしてしもうた」
とん、とん、と数度地面を踏むと、げしっ、と一度蹴り付ける。
荷馬車へと、改めて向ける視線、その表情は、やや気分悪そうなものであった。
■タマモ > 大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。
それだけで、今の気分を切り替える、までは至らないが。
「さて、これは、このままにしておくべきか、それとも…」
くるりくるりと、唐傘を回しながら、軽く考える仕草。
漁ってみたが、何もなく、誰も居らず、そんな荷馬車。
それを見詰めながら、そう言葉を零す。
伝えるにしても、持ち主はもう居ないし、送り先も分からない。
放置するにしても、真新しい荷馬車ってのは、何か勿体無い気がしないでもない。
せめて、馬が残っていれば、引かせて持ち帰る、も出来るのだが…
さてはて、どうしたものか。
少女は、そのまま、もう少しだけ考え込んでいた。
■タマモ > 「………よし、証拠隠滅じゃ」
ぽむっ、手を叩き、出した結論をさらりと呟く。
ぴっと指を荷馬車へと突き出し、くい、と曲げる。
その途端…
ごしゃあぁっ!
轟音と共に、周囲に響き渡る衝撃。
次の瞬間には、そこにあった荷馬車が、跡形もなくなくなっていた。
いや、正確には、平らに潰されてしまっていたのだ。
「さて、後はこれに…こうして、と…」
さっと今度は手を振れば、ふわり、風が舞い、周囲に砂埃を起こす。
それは、跡形もなく潰れた荷馬車に降り掛かり、そう経たずして、何もないただの地面へと化した。
ぽんぽんっと手を打ち、それを確認し、うむ、と頷く少女。
これで、ここを掘り起こさない限り、ばれる事もないだろう。
■タマモ > さて、後は去るだけだ。
くるりと踵を返せば、来た道を戻…じゃなく、先へと進み出した。
戻ったところで、街道は見付からない。
先に進めば、何かあるかもしれない。
そんな思いを馳せながら。
………まぁ、結果は、少女のみが知る、である。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からタマモさんが去りました。