2020/04/29 のログ
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…そう目に見えて安堵する程、厄介な連中の相手もこなしてきた様だな。まあ、本来であれば諸々問うべきではあろうが、あって困る物を作るなという程頭が固い訳でも無い。
まあ、責任者のには多少小言が必要やも知れんがな」

安堵した様子の彼女を眺めて苦笑いを一つ。
次いで責任者の落とし前を。ひいては、彼女を此処に派遣した神父に降りかかる災難を愉快そうに彼女に告げて。

「……いやまあ、そう言われれば理解出来るのだが。それでも、修道女一人に土木工事兼賊退治というのは、何と言うかその…」

何というか、己の知る神聖都市はもうちょっと堕落と腐敗に堕ちながら、それでも尚純然とした政治力を発揮する組織であった筈…だ。しかし、修道女一人にせっせと此の拠点を築かせるというのは、何と言うか余りにせせこましくないだろうか。
そんな言葉にし難い思いは、彼女の渇いた笑みと放たれた言葉に、哀れみの籠った表情となって現れるだろう。

「……ああ、その、何だ。もう少し、自身の労働環境に声を上げるべきでは無いかと思うが…。しかし、貴様の努力を笑いはしまい。よくぞ一人で此処迄仕上げたものだな」

複雑そうな表情で呟いた後、穏やかな表情で彼女を労うだろう。自分の様な子供に労われて不快に思わないだろうかとちょっと気にしつつ。

シスター・マルレーン > 「あ、いえ、それならここでお願いします。 後から責任がこっちに回ってくるので。」

ええ、ええ。
深々と頭を下げてお願いしておきましょう。 自己犠牲じゃない、自己防衛です。

「こう……何でもこなすうちにできるようになっちゃったというか。
 いいんですよ。 普通の冒険者の方がこういう仕事はしないでしょうし。

 そうなると、こういった変わり者がいないと、危険を承知で普通の戦闘ができない人を連れてくることになっちゃいます。

 あんまり学が無いのでー、祈っているよりはよっぽど人助けはできている感じでもありまして。
 適材適所ですね。 まあ、お風呂が無いのが本当につらいんですが。」

ころころ、と笑いながら相手に言葉をかければ、不快そうには全く見えず。
お風呂が無い点においては、頬をぽりぽりと掻いた。 乙女ですしね。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…苦労人気質よな。貴様が望むなら、特に事を追及する事もせぬ。とはいえ、それでは貴様の労苦に見合う報酬が得られぬのではないか?」

要するに、頑張ってるんだからもう少し我儘や贅沢言ってもいいんじゃないか、と首を傾げてみせる。
労働に見合った報酬というのは必要だと自負している己からすれば、彼女の働きには相応の対価が必要だと思うのだが。

「ふむ。自身の労苦よりも、他者が救われる事を良しとするのか。流石は修道女と言うべきやも知れんな。私も、王都で祈りを捧げているより余程民の為になる仕事であると思う。
私自身は信心深いとは言えぬが…それでも、貴様の行いは神とやらがきっと見ているだろうさ。救いの手を差し伸べるかは知らんがね。

それと。特段敬語を使う必要は無いぞ。こんな所で堅苦しくされても肩が凝るでな」

と、愉快そうに笑った後、彼女が最後に告げた言葉に一瞬考える様な素振りを見せて。

「…泊まり込みと言っていたが、此の辺りならば温泉宿もあるだろう。無人の拠点を襲う賊もおるまいし、其処を拠点に此処で日中作業すれば良いのではないか?」

それくらいの休養は許されて然るべきだろうと言わんばかりに、僅かに首を傾げてみせる。

シスター・マルレーン > 「私は本来ならばこの国の修道女ではありません。
 そんな私を置いてくれて、なおかつ"消費"するような仕事からは遠ざけていただいているだけで、文句は言えませんからね。

 ………私にできることが、他に遭った、というだけです。」

言いながら、表情が憂いを帯びる。多くの修道女が食い物か何かのように引き渡されていることを、知ってしまっている。
だから、文句は言えても言えないのだ、と首を横に振った。
その表情はどことなく悲しげでもあり。

「……あ、いいんですか? それはありがたい話で。
 先ほど言った通り、学も礼節もほどほど、真似事ばかりなのです。」

鼻をちょっとこすってころりと笑い。

「………あー。

 例えば、毎日同じ場所、同じ時間で作業をしている賊の一団がいることを知っていたら、どうする、でしょう。

 ……絶対に制圧できる人数揃えて、先回りして囲んで。ってなりますよね。
 ………とりあえず、敵からギリギリでも見える地点で、しかも一人で作業することを考えると、長引かせるのは本当に危険なんですよね。

 ですから、まあ、無理が効くうちに?」

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…成程。貴様がそれで良いのなら、特に言う事はあるまい。
しかして、信仰とは金がかかるものだ。人々に分かりやすい神の偶像は、そこいらの木の棒では作れぬからな。
神聖都市の女達が晒されている境遇は、善では無いが悪でもない。信仰に必要な事だ。少なくとも、そうしてあの都市は成り立っているのだからな。

だから、その事実を悲哀の表情で捉えるのは如何なものかと思うがね、シスター?」

それは些か意地悪な問い掛けであったのかも知れない。
修道女達が引き渡される事も、辱められている事も、結局は人々の崇拝を維持する為のもの。人々に施す金を得る為のもの。ノーシス教の総意。
ならば、それを悲しむ事は間違いなのでは無いかと、愉快そうに少年は笑う。

「うむ。そんな事を気にするのは、王城の中だけで充分故な。
しかし、真似事だの学が無いだのと自らを卑下する事もあるまい。少なくとも、今迄の貴様の物言いに不愉快な部分は見当たらぬよ」

と、笑う彼女にクスリと笑みを零して見せて。

「なんともまあ、随分と責任感に溢れたシスター様だ。とはいえ、その言い分を否定する材料も持ち合わせてはおらぬ。
ともすれば、私は貴様を誘惑する悪魔やも知れんな。作業は程々にしておいて、ゆっくり温泉につかっても罰は当たらないぞ、とな」

からからと喉を鳴らす様に笑いつつ、流石に馬車の中に湯浴みに使えそうな物は無いなと内心溜息。
少しくらいは、彼女の労に報いてやりたいものなのだが。

シスター・マルレーン > 「………あら、そんな顔してました?
 いやですね、仕事で疲れてしまうと顔色が悪くなってしまって。」

相手の言葉に目を細めて、とぼけたように視線を虚空へ向けて、おやおや、などと口にする。
大人の建前は、よーく分かっている。
分かっているからこそ悩むものだ。 その悩みをひっそりとしまい込んで。

「それならばよかった。
 つい先日、言葉遣いがなってない、と怒られましたから、すっかり気にしちゃって。」

てへ、と舌を出して笑う女。子供っぽい仕草を見せながら、こっちが本性。

「………いやー、責任感もそうですが。
 私は一人でやってるんで、包囲殲滅しようとされたら本当に命の危険があるんですって。

 むしろその、ここ安全じゃないので、あまり留まられない方がよいかと……。」

大丈夫なんですか? と首をかしげてみる。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「世渡り上手な修道女サマだな。だが、嫌いでは無い。
貴様の悩み煩悶も、人として正しいものだ。その事は、信心の無い私で良ければ保証しよう」

とぼけた様子の彼女に僅かに瞳を細めた後、クツリと零れ落ちる様な笑みと共に言葉を返す。
その口調は、嫌味も偽りも無く純粋に高慢と尊大さの色を含んだものであっただろう。

「時と場合によるが、言葉遣い程度でささくれ立っていては効率も悪い。必要な事を、簡潔に単純に伝えて貰えば良いのだしな」

小さく肩を竦めつつ、彼女の言葉に応える。
子供っぽい仕草を見せる彼女に向けるのは、此方も幾分砕けた様な言葉遣い。未だに堅苦しさが抜けないのは、それもまた素であるのだが。

「であれば、寧ろ護衛の冒険者を雇って貴様が拠点づくりに集中すれば良いだろうに。教会側とて、使い勝手の良い貴様を安易に失いたくは無いだろうしな。

……ふむ?まあ、其処まで長居はせぬが、余り侮られるのも考え物よな。これでも、多少は自衛の心得はある。山賊程度に遅れはとらぬよ」

首を傾げる彼女に、少し偉そうに胸を張って見せる。
華奢な子供が胸を張った所で、説得力は今一つやも知れないが。

シスター・マルレーン > 「大丈夫ですよ、私にできることをただできる限りにするだけですから。
 むしろ、それだけしかできないんですけど。」

ほほほ、と、こちらも笑顔を見せる。
こちらは素朴で等身大な、感情を表に出した笑顔。

「………まあ、そういってもらえると本当にありがたいんですけどね。」

言わずともわかるだろうが、そういう難癖は最終的に尻などに手をかけてくるのだ。
うーん、この国は生きづらい。とほほ。

「………あー、いえ。
 ……まあ、そう考えているなら一人でここに来させないっていうか………。
 闘技場に勝手に選手登録しないっていうか………。」

頬をぽりぽり。
まあ、疎まれているのだろう。特に身を寄せる場所は彼女にはあんまりない。
へへへ、と緩く笑いながら。

「………それならいいんですが。
 ここ最近現れた賊はそんじょそこらの相手とはレベルが違います。

 ……今宵はこのまま、暗くなってもまっすぐ街に向かわれるのです?」

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「自分に出来る事を精一杯努めるという事が、どれ程難しい事か。それが出来るという事は、奢らずとも誇りに思っても良いと思うがね」

自分に出来る事を全力でする、という事を、どれだけの者が実際に行えるだろうか。少なくとも、己の周囲にはそう多くはない。だからこそ、相も変わらず尊大ではあるが、彼女の言葉を肯定し、励ます様に言葉を返すだろう。些か、いや、大分偉そうではあるが。

「とはいえ、私の様な者は少数派だろう。学が無いと自ら思うのなら、言葉遣いと言うものを司祭なり誰彼に学ぶのも良いだろうさ。その努力は、貴様を裏切る事はあるまいて」

己の立場に属する者達は、寧ろ彼女の無礼を種に身体に手を伸ばす者が大多数だろう。
それを理解しているからこそ、彼女とは別のベクトルで僅かに溜息。結果、アンニュイな吐息が二人分重なる事になるだろうか。

「……苦労しているのだな。貴様の意思とは関係なく、此度の件に関わる神父にくらい、小言を言いたくなってきたぞ。
大体、貴様も貴様だ。自身の境遇に、もっと声を上げぬか。だから、教会側にも便利な駒扱いされるのではないか」

緩く笑う彼女に、若干御小言の様な口調の言葉。
若干見上げる位の身長差が恨めしいが、其処はこなれた尊大さでカバー……しきれているだろうか。

「フン。賊が手強かろうがレベルが違おうが、敗北するつもりなど無いさ。でなければ、貴族など務まらぬからな。

……ふむ?そうだな。野営する予定は無いし、日が落ちても動くつもりではいるが…」

それがどうかしたのか、と言いたげな視線と共に首を傾げてみせるだろう。

シスター・マルレーン > 「だといいんですが。
 ………そのうち仕事がひと段落ついたら、それもありですよね。
 たくさん言葉を覚えたいな、とは思っているので。」

相手の言葉に、ふふ、と少しだけ笑えば、棍を手に。

「ありがとうございます。
 でも、大丈夫ですよ、元より遠くから来た身です。
 追い出されれば、この国にもいられなくなりますからね?」

北の方は寒くて寒くて、なんて言いながらに、と歯を見せて笑う。
尊大さ……を感じつつも、冗談を上から言ってのけるあたり、やはり怯え竦んではいないご様子。

「それならいいんです。……いえ、そろそろ丁度いい具合ですし。
 私も一度報告がてら、街に向かおうかな、と思ったところだったのです。

 あ、こう見えてもバッチリ戦闘はできますからご安心くださいね。」

胸に手を当てて、えへん、と。 胸は大きい。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「うむ。何事もやる気があるのは良い事だ。努力しようと思う事が、人が成長する第一歩なのだからな」

うんうんと頷きながら、彼女が手に取った棍に一瞬視線を向ける。聖職者の武具らしいと言えばらしいのだが、彼女の様な見目麗しい女性がこれを振り回すのか、とそのギャップに少し笑ってしまう。

「…む、それは困るな。民草の為に汗を流せる者は貴重だ。これからも、布教活動と土木工事に精を出して欲しいものだが」

小言めいた事を言った反省か、彼女に返す言葉は軽口めいた冗談を含めたもの。
此方の言葉と口調に態度を変えていない事も、幾分気を許す要因になっているのだろう。

「…ああ、成程。……そうさな、では一つ。冒険者の貴様に依頼を頼もうか。
やはり若輩の身で夜間移動するのは不安故な。街に着くまで、私を護衛して欲しいのだが。報酬は5000ゴルド。不足ならば、まだ出すが」

暫し考え込んだ後、街に戻るという彼女にそんな依頼を頼んでみる。ごそごそと懐から取り出した革袋からは、眩く輝く金貨が5枚、彼女に差し出されるだろう。
その際、視界に映った豊満な彼女の胸部からは、自制心と共に視線を逸らせた。我ながら偉い。

シスター・マルレーン > 「いやほんと土木作業専門じゃないんですが。
 むしろ専門外なんですが。
 そのうち専門外でも何とかするからいけるだろとか言われて木こりとか陶芸の土堀りとか頼まれるんでもうそろそろバリエーション尽きたなと思ってるとまた違うのが飛んでくるのが最近怖いんですが。」

愚痴のようなツッコミが立て板に水。
ははははー、っと乾いた笑顔を向けつつ。

「………おや、なに、私は一緒に帰ると行ったまで。
 一人で帰るのも不安なので、馬の脚を私の足に合わせて頂ければな、って思うところです。」

なんて、ぱちん、とウィンクを一つ。

「お礼を頂けるのであれば、それこそ働きに応じて。
 何も無いのに頂くわけにはいきません。

 場合によっては、野営などをすることもありますからね。」

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「今の旬は炭鉱か溶鉱炉だろうな。木槌を振るう感覚で鶴嘴を振るうのも悪くないだろう。鉄鉱石は良い値がつくから教会もさぞ助かるだろうさ。
貴様も木ばかり見るのも飽きただろう。今度は、石を掘ると良い。働きやすい鉱山を紹介してやろう」

流れる様な愚痴に合わせて、流れる様にリクルート。
実際、鉱夫が足りないのも鉄鉱石の値が上がっているのも事実ではある。原因が長引く戦争であるのが業腹ではあるが。
兎も角、からからと笑いながら冗談めかした口調で言葉を返しつつ――

「…本当に、欲の無い事だ。ならば、一度此の金は仕舞っておくとしよう。だが、報酬は必ず渡すからな。金も渡さず人の世話になる等、私の信条に反するからな。それに、折角馬車を引いているのだ。道中、貴様も乗っていけ。馬の速度を合わせるのも面倒故な。

……野営、野営か。分かった。まあ、覚悟はしておこう」

金貨を仕舞いつつ、決意表明染みた言葉を彼女に告げる。
押し付け合っている様な事になった金貨の輝きが、所在なさげに鈍くなった様な気がする程。
しかし、野営という言葉には少し自信無さげ。インドアが服着て歩いている様な生活スタイル故に、野営やキャンプなど最早空想の域ですらある。

シスター・マルレーン > 「………今バッチリそれをやるめぐりあわせになった気がします。
 本当に仕事回ってきたら恨みますからねー?」

もー、と膨れながら腕を組んで。
それでも、さくさくと荷物をまとめて準備しつつ。

「………む、そうですね。 ではお願いしましょうか。
 その、服が汚れてしまっているんですが、よいんです?」

馬車に乗るのは魅力はある。 周囲を警戒するという意味では徒歩より劣るが、やはり遅いより速い方が安全だ。
……何より、正直身体が重い。

「野営になったらお任せくださいな。 毎日毎日野営しているようなものですから。
 それに、今からなら馬車で急げば………暗くはなると思いますが、間に合うとは思いますしね。」

では、よろしくお願いします、と頭を下げる。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「何、恨まれるのには慣れているからな。安心して鶴嘴を振るいたまえ」

頬を膨らませる彼女に軽い口調で応えつつ、此方は準備する事も無い為、彼女が準備する様をのんびりと眺めているだろうか。

「それくらい構わぬ。馬車など、幾らでも買い替えれば良いだけだしな。それに、その汚れは貴様が民草の為に槌を振るった結果だろう。特段、汚い等とは思わんさ」

可笑しな事を、と言わんばかりの口調で断言しつつ、馬車に近付いて扉を開ける。
早く乗れ、と言わんばかりに彼女に視線を向けて――

「頼り甲斐のある事だ。ならば、非日常を楽しむくらいの気分で貴様に任せるとしよう。
此方こそ宜しくたの――と、すまぬ。名を名乗っていなかったな。私はギュンター。ギュンター・メルヒオール・フォン・ホーレルヴァッハ。長ったらしいのも好かぬし、名前で呼んでくれて構わぬよ」

頭を下げる彼女に、其処まで気を遣うなと軽く手を振りながら今更ながらの自己紹介。
街まで同行するのに、互いの名を知らぬのも不便かな、程度のものであったのだが、よくよく考えれば最初に名前を告げなかったのは失礼だったかと内心溜息。

シスター・マルレーン > 「それならまあ、いいんですけど。」

こほん、と一息。
汚れた側というのは、えてして気にしてしまうものだ。端のほうにちょこん、と荷物を置いて。

「……わかりました。 私はマリーでもなんとでもお呼びください。 ギュンター様、でいいですかね?」

にひ、とゆるく笑いながら。よっこいしょ、と馬車に乗る。
………あ、いかん、と首を横に振って。 疲弊の色が見えなくもない。

「さあさ、では行きましょう。ここにとどまっているのもよろしくはありませんからね。」

務めて明るい声を出しながら、棍をそっと手元に引き寄せ、気持ちをしっかり強く持ち。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 構わない、と言っているのに遠慮がちに端に荷物を置いた彼女に小さく苦笑い。
次いで、疲弊の色が滲んだ様に馬車に乗り込んだ彼女にその苦笑いは深くなるだろうか。

「ん、呼び方は好きにすると良い。……疲れているなら、寝ていても構わんぞ?マリー」

と、クスリと笑みを零しながら自分も馬車に乗り込む。
ぱたん、と扉が閉められれば、直立不動を保っていたバイコーンがゆっくりと歩きだし、合わせて馬車が滑る様に進みだすだろう。

「…まあ、寝ろと言って寝る様な性格でもなさそうだが。まあ、ゆっくり休め。馬車の外を見張るくらいなら、私とて出来るからな」

棍を引き寄せた彼女を眺めながら穏やかな口調で声をかける。そんな二人を乗せた馬車は、心地良い振動と共に街への帰路を突き進んでいくのだろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からシスター・マルレーンさんが去りました。