2020/04/22 のログ
■タマモ > 「………」
空を見上げ、周囲を改めて見回し、軽く考え込む。
もう少し、賑やかな方が良い、かもしれない。
こうも静かだと、気が滅入るものだろう。
「ふむ…少しばかり、賑やかにしてみるか。
久し振りに、ちと呼び出してみるとしよう」
一つ頷けば、とんっ、と地面を一度踏み直す。
すると、その足元から、広がるように陣が浮かび上がって。
「さぁ、皆の者、眩き月夜の大行進じゃ。
百鬼夜行!」
少女の言葉と共に、その陣が一層強く輝いて。
次の瞬間、大量の妖怪達が、溢れ返るように現れた。
静寂に包まれていた、木々並ぶ森林地帯。
その場所が、一瞬で魑魅魍魎の賑わいの場と化した。
とは言え、呼び出した妖達は、直接的な被害は与えない。
久々呼ばれたこの地の光景、それを楽しむように、駆け抜け続けるだけなのだ。
まぁ、それを見た相手が、それをどう思うかは分からないが。
■タマモ > 本来は、突撃させて叩き潰す、そんな攻撃用の術だ。
しかし、少女はそれをしない。
飲めや騒げや歌えやと、賑わいを広げる術として使っている。
現に、その一部が酒を携え、飲み回しまで始める始末。
時間が経てば、その酒も回り、宴会状態となろう。
もし誰か来たら?…まぁ、うん、吃驚はするだろう。
どうせ、ここで見た話をしたところで、信じる者はそう居まい。
「久し振りに使ったから、何かあるかと、ちと心配したが…
ちゃんと、発動はしておるようじゃな。
いやはや、術と言うのは使わないでおると、錆び付くやもしれんと思うたが、そうでもなさそうじゃ」
そんな妖達の様子を見遣りながら、満足気に頷く少女。
その後は、少女もそれに混じり、ドンチャン騒ぎが始まるのだ。
一夜の大賑わい、久々に、そんな夜を満喫する少女であった。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中の湧き湯」にアルヴィンさんが現れました。
■アルヴィン > 騎士は、昨夜来この湧き湯のほとりに逗留していた。
遍歴生活も長い自由騎士とあらば、それは文字通りの、草臥の騎士だ。野宿はまったく苦ではない。
春も闌けて、野宿が苦ではないような、そんな空模様が続いているのもありがたかった。
湯に浸かり、身体をほぐす。
そうしてしばしを経た後に、湯から上がり剣を振るう。
汗が流れればまた湯に浸かり、総身に負った傷をいとう。
昨夜より丸一日、そうして騎士は強敵を制した代償として、総身に負った傷をいとう…。
「よい湯だ…」
ふと、そんな言葉が口をつく。
それほどに、満身に湯の熱と効用が染み入ってゆくのが心地よいと、騎士は全身を湯に浸からせて独り言つ…。
■アルヴィン > 湯にたゆたう騎士の身体は、一見して細身である。
けれど、鉄条のように絞り込まれた筋肉がそこにはあった。
数多の鉄を鍛え抜き、ほんの一握り得られる玉鋼。
無駄なものの一切を削ぎ落した末にようやく得られたものを、紅蓮の焔に鍛えて初めて得られる一振りの太刀…。
いくつかの大きな刀痕と、いくつもの小さな矢傷槍傷を、勲章のように刻んだ騎士の身体は…そういう風格をたたえていた。
そして今、湯の中にて。
抜身の刃のような身体を騎士は、しっかりと癒し、労っている…。
■アルヴィン > 十分に、身体のその奥底までを温めて。
湯の中でもじんわりと汗ばむことがわかる体を騎士は、湧き湯から引き上げ風を浴びた。
心地よい。
しっかりと熱を持ち、熱が深奥まで通ったことが確かめられる。
それはまた、治癒の術で塞いだ傷から失われた、血や生命の力そのものが、再びこの抜身の刃のような身体に戻ったということだった。
得たりと、騎士は微笑む。
風に嬲られるは心地よいが、それで湯冷めをしては本末転倒と、手早く騎士は身体を拭った。
身支度をし、湯の水気を払ったならば、今宵はまた、大樹の枝葉を天蓋に、草臥の騎士らしく夜を過ごす…。
ご案内:「九頭龍山脈 山中の湧き湯」からアルヴィンさんが去りました。