2020/04/11 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にヴェルソートさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「くぅっ……!」
本日の依頼:山賊街道に出現するモンスターの討伐
九頭龍山脈にやってきた男は、依頼をこなすべく山賊街道を歩いていた。
ほどなくして、モンスターの姿を確認することができたが。
その数たるや……10や20ではきかず。
男は、かなり疲労していた。
「っ……! ヴェルさん! 補助を頼む!」
近寄る魔物をリボルバーで打ち倒しながらも、次第に圧され始める男。
依頼を一緒に受けた相棒にそう指示しながら、致命的な一撃を喰らわないように立ち回る。
男自身、身体強化の呪文は使えるが。その呪文は使いすぎると肉体への疲労が大きくなる。
魔物のど真ん中でへばってしまう、というのは回避したいらしく。
男は身体強化の使用を控えていた。
そうしている間にも、魔物はどんどん押し寄せてくる。
■ヴェルソート > 「……ふぅ。」
風景が一望できる高台に一人佇み、呼吸を整える小柄な男。
セインの声が耳に届けば…大きく息を吸い込み、隻腕に持った指揮棒を振るって声を張り上げた。
ジャァンッ!と高らかなどこからか楽器の音色が響き…彼のための「唄」が響き渡る。
『こんなに遠くこんなに近く 私の声は届かない 貴方の声は聞こえるのに あぁもどかしいもどかしい いっそこの胸の熱が貴方に届き 伝わればいいのに…♪』
まず高らかに響く唄は、まるで熱量を伝えるような恋歌…しかし、魔法にまで高められたその唄は耳に入った敵に本当に「火を付ける」ボウッ!と燃え上がるのは歌い上げた10秒程、しかし火が付けば生き物は驚き、消そうと大半が地面に転がって…大半がそうやって動きを止めた瞬間、流れるように唄が切り替わる。
『あぁ貴方は ただできるからと それをするけど それがどんなに凄い事か
どうか知ってほしい 貴方は英雄 私の誇りだと♪』
続いて響くは、一人戦うものを支えるための唄。それはセインの耳に届いた途端、彼の知覚が、そしてスピードそのものが加速する。
速く鋭く力強く、それは英雄に等しい力と速度を与える、戦場で独り戦う者を鼓舞する歌声で。
タクトを手に、魔法の旋律を指揮しながら…唄い手【ディーヴァ】は周囲のマナすら音で従え、戦況を唄で彩っていく。
■セイン=ディバン > 「……っ、と。キタキタキタぁっ!」
耳に歌声が響けば、目の前で魔物たちが炎に包まれる。
次の瞬間、男の感覚が鋭敏になり、身体中に力がみなぎる。
歌による補助。それは、魔法による補助とは似て非なるもの。
感覚もまた、独特のものがあり。
「うしっ! 一気に押し切る!」
地面に転がり慌てふためく魔物たちに向かい、銃を構え。
男が一気に突撃する。普段以上の速度、風もかくやというところ。
駆け寄り、撃ち、すり抜け、撃ち、目にも留まらぬ速さでリロードし。
それを繰り返し、男は次々魔物を撃破していく。
「ヴェルさん! 周囲警戒!
やばそうなら自分の身を守ってくれ!」
男が強化されているとはいえ、敵の数は多い。
それでも、男は一体一体確実に敵を倒していく。
■ヴェルソート > 返事はない、というより流石に唄の途中で返事を返せば唄が途切れてしまうので。
クイッと指揮棒が軽く跳ねれば、了承のように一瞬ジャンッ!と楽器の音が曲調を崩さない程度に軽く跳ね。
暫くは唄を切らさず唄い続けるが…それは声と音で目立つのと同義だ。そして単純に…魔力を伴う唄を飛んだり跳ねたりしながら唄えるほど、世界は上手くできていない。
『あぁ走れ 奔れ 私の勇者 私の英雄 私すら置いてどこまでも あぁしかし どうか私の心は傍らに♪』
そしてたまに割り込むように入る曲調の変化は、彼の得意な転移の魔法に似ている。己の唄と目の届く範囲に、誰か一人を転移させる唄を挟み込み、彼への不意打ちを防ぐ一方…途中で違う「唄」を割り込ませるのは消耗が激しいのか、唄う男の顔に汗がじんわりと浮かび…。
じりじりと、彼の殲滅を抜けた相手が高台に登ってきているが…そのギリギリまで、支援の唄は切らないつもりで。
■セイン=ディバン > 男の感覚が鋭敏になっている分、周囲の状況も把握しやすい。
魔物の増援は途切れたものの、現場にいる魔物の数が多い。
男は懸命に魔物を倒してはいるが、やはり討ち漏らしは出てきてしまい。
「……チッ!」
高台に上る敵に気づけば、男は身を翻し、その魔物たちに銃撃を加える。
そうすれば、当然男を魔物が包囲する。
男もまた、息を切らしながらも。包囲を突破し、魔物に立ち向かっていく。
「コレで報酬、二人で5000ゴルドは安すぎるよなぁ!?」
叫びながらも攻撃の手は緩めない男。
その甲斐もあって、魔物の数はだいぶ減ってきていた。
■ヴェルソート > 彼が銃で近づく敵を撃ち落としてくれている分、こちらは更に唄う余裕ができるが…彼の銃を真似するように、こちらに石を投げる人型の魔物が数匹…すぐに彼の銃弾の餌食になるが…ゴッ!と石が一つ二つ、体に当たり。
「っ!…歌え 謳え 唱え 高らかに勝利の凱歌を!!♪」
石をぶつけられた一瞬詰まったリズムすら、それがその曲調であったかのようにワンテンポだけ曲に溜めを作り、唄につなぎ直す。
そうして、目に見えて敵の数がすくなくなり、彼を強化しなくても捌けるだけの数まで減ったと見越せば…ふっと、彼に本来のスピードと知覚が戻っていく代わり…。
「そして届けこの想いこの熱! 私の熱で貴方も焦れればいい♪」
再び最初に熱情を伝える唄が響き渡り…今度は唄を途中で切りはしない、耳を千切ろうが鼓膜を破ろうがマナを震わせて響く唄の炎熱は、効くものが歌詞の通り焦がれても…黒焦げになろうが焼き尽くすように響き続けて。
それは、高台に近づいていた魔物達にも、等しくこんがりと…。
■セイン=ディバン > 状況は決して楽観できるものではない。
実力なら魔物に遅れは取っていないが。
なにせ数が多すぎるのだ。
「チキショウッ! 余裕がねぇっ!」
戦況は好転しているが、それでも決定的な勝利にまでは程遠い。
それでも、男はただ、我武者羅に魔物を倒していく。
身体から力が失われれば、男は頷き。
「これで、ラストォっ!」
目の前で魔物が燃え上がるのを見て、男は懐から爆弾を取り出し。
的の只中へとそれを投げ込む。
爆発音、衝撃、肉の焼ける匂い。それらが収まる頃。
魔物は、全て動かなくなっていて。
「ヴェルさん、怪我とかねぇか~?」
はぁっ、と疲労からの息を吐き。男がその場にへたり込む。
どうやら、男もさすがに疲れたらしい。
■ヴェルソート > 「っは…ぁっ!…けほ、っ!あークソ…疲れた!」
衝撃と爆発音…そして、動く魔物が高台からの視界でも見えなくなれば…その時初めて唄が途切れ…咳込むように酷使した喉が疲労を訴えると、その場にくたりとへたり込む。
「あー……2,3個石が飛んできたけど、まあ大丈夫。気合で唄いきった。」
褒めろ、といわんばかりにひらひらと手を振り、にやりと笑う男の額からは、ツゥ、と血が垂れているが、まあ仕方なかろう。唄を切ったら彼が魔物の群れに飲み込まれる危険があったのだ。
己は比較的安全地帯から唄うだけなのだから、このくらいはしなければ。
■セイン=ディバン > 「……そうか。いや、マジで助かった」
声をかければ、しっかりと返答があって。
男は、まずは軽く安堵した。
しかし、すぐに腰を上げて、相手の元へと向かい。
「見せてみな……」
相手がケガしているのを見て、男が回復魔法を唱える。
相手の額の傷はすぐに消え、痛みも無くなることだろう。
「とりあえず、休んでな。
オレぁ、依頼達成の証拠に、魔物の牙やら皮やらを確保してくる」
そう言うと、男は高台から飛び降り。
手近な魔物たちから牙などを採集しはじめる。
■ヴェルソート > 「いやいや、先んじてデカブツ始末してくれてて助かったさね、流石に『岩』が飛んできてたら俺も気合じゃどうにもなんねぇからなぁ。……ん、サンキュ。」
ふわりと…回復魔法の温もりが心地よく、どうやら討伐部位の回収をするらしい…盛大に燃やしてしまったが大丈夫だろうか。
まあそれならと、座ったまま呼吸を整え…再び唇が歌を紡ぎ出す…高すぎず低すぎず、伸びやかな歌声を…。
「ふぅ。 ah…ah…月の下 星の下 夜の丘で 子供達が踊る 手を取り合って…♪」
戦場とは一転して、緩やかな子守唄めいた曲調の歌が紡ぎ出されれば…セインの耳目はより目敏く物を見つけ、少しずつ疲れが癒えていくだろうか。
彼の採集の助けになればいいと、鼻歌めいた響きがゆったりと響いて…。
■セイン=ディバン > 「ま、その辺はな。考えてますさ」
どの順で敵を倒せばいいか。
どの敵を残すとまずいか。
そういったことを考えるのは、冒険者の基本である。
「さてさて……」
男は、比較的姿かたちのしっかり残っている魔物から、特徴的な部位を剥ぎ取っていく。
聞こえる歌に目を細めつつ、男は、採集に集中し……。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からヴェルソートさんが去りました。