2020/03/24 のログ
■アルヴィン > やがて。まだ春浅い街道に、底冷えのする夜が訪れた。
頭上、木々の枝葉の屋根の上には、満天の星々と月とが騎士の野営を見守っている。
草笛の音が止んだ。もう一度、騎士は焚火の具合を確かめるように枯れ枝を取る。
くべた薪は十分な熾火を作ってくれていた。輻射熱がじんわりと焚火の周囲を温めてくれている。
広げたマントを身体に巻くようにすれば、十分に暖を保つことはできるだろう。
そうして騎士は、短く浅い眠をとることを、己の身体に許していった…。
ご案内:「山賊街道」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ここは九頭龍山脈、麓からそう離れていない山中。
街道から少し外れた獣道、その付近に少女は居た。
………ただ、少女が居るのは、結構大きな木の枝の上。
ぐてーっと器用に寝転がりながら、寛いでいるのか、何かしているのか、微妙な感じである。
まぁ、その視線だけは、下を通る獣道に向いてはいるが。
「むむむ…この辺りに、あった気がするんじゃがのぅ…」
はふん、と軽く溜息を一つ、そんな呟きと共に漏らして。
そう、今回、少女は目的を持って珍しくやって来ていた。
近くを小川が流れ、軽く泳げる広さのある温泉、先日に偶然見付けたそれである。
が、そもそも道を覚える気も無く歩き回る少女が、それを見付けたからと、道を覚えている訳もなく。
勘を頼りにやって来て、迷った、と言う訳だ。
探すなら、上空から見渡せば良いじゃない。
そう思う者も居るだろう。
だが、それではつまらない、そんな無駄な拘りが、この結果を招いていた。
ちなみに、目的地からは、かなりここは外れた場所で。
■タマモ > 探しているならば、なぜのんびりとしているのか?
理由は簡単、疲れたから、である。
ここまで来るだけでも、実のところ、結構歩いているのだ。
しかも、そんな時に限って、誰とも出会う事がなかったりした。
こう、あれだ、賊でも何でも出てこれば、良い暇潰しになったりするのだから。
目的は温泉、だが、別に他に何か興味が向けば、そちらに行く。
それが、この少女なのだ。
たまに、相手から寄って来る事もあるのだが、それはそれ。
そろそろ、探すのを再開しなければ。
そうは思うのだが、一度休み出すと、なかなか動けないもので。
もう少し、もう少し、そんな感じに、もうしばらくはのんびりする気配濃厚であった。