2020/03/14 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは九頭龍山脈、麓からそう深くはない山中。
不意に、木々の隙間から鳥達が飛び立って行った。
更に、それに合わせるように、地を駆ける動物達も、その場から離れて行く。

そして、僅かな間。

「………あああああああぁぁぁあぁっ!?」

どこからともなく聞こえる、そんな少女の叫び声。
次の瞬間。

ちゅどおおおおおおぉんっ!

すでに動物達の逃げ去った場所に、衝撃と爆発音が響き渡った。
その規模から、その一帯は破壊の爪痕が、そう思われるだろう。
しかし、不思議な事に、その一帯には何の破壊の跡も見られなかった。
何事もない、自然の光景が広がるのみである。
ただ、一点を除いて。

「お…のれ…な、ずな、め………がくっ」

気が付けば居る、一人の少女。
特徴的な狐の耳と尻尾をへにゃりと垂らし、突っ伏していた。

タマモ > まぁ、突っ伏している時間は、そう長くは無い。
少し経てば、むくりと上体を起こして。
…が、少女を見た事があるならば、多少の違和感はあるだろう。
その瞳が、普段の赤味を帯びた金色から、血のような真紅に変わったいるからだ。
もっとも、そう経たず、すぅっと普段の瞳の色へと戻っていくのだが。

「ふぅ…やはり、今だ勝てん…
まともに相手されておらず、これとは、本当に何なのじゃ、あれは!?」

よいせ、と何事も無かったかのように立ち上がる少女。
だむだむっ、と地団太を踏むも、疲れているからか、それはすぐに止まり。
そんな呟きを漏らせば、ぱんぱんと、着物の汚れを手で払う。
うん、明らかに機嫌は悪そうである。
その表情を見ずとも、ゆらゆらと揺れる尻尾、それ等があらぬ方向に揺れているのが、それを示していた。

そう、つい先程まで、己の式の一人と手合わせをしていた。
色々と手法を凝らし、挑んだ訳なのだが…結果は見て分かるだろう。

魔王さえ相手にした事のある少女、なのに、軽くあしらわれたような口振り。
それを知っているならば、その相手の異常さが分かるもので。
負けるのは、もう覚悟している。
だが、まともな相手にもならないのは、少女としては納得のいかないもの。
機嫌の悪さは、そこからのものであった。

タマモ > 「………まぁ、深く考えても仕方あるまい。
最近は、ずっと力を抑えておった上に、それでも、まともな相手が居らんかったからのぅ。
せめて、この状態でも、それなりの相手が居れば…」

今現在、己の力はかなり抑えられている、己自身の力で。
それは、その式にいつか勝つ為の布石、のつもりだったのだが…
その目標も、今やまともに戦う事と、低い見積もりに。

はふん、と溜息を吐けば、ぐーっと体を解すように伸ばす。
そうした場へと、少しは動いてみるのも悪くはないが…あんまり知られ過ぎるのも、己としては微妙なもの。
しかし、そうしないと、いつまで経っても進歩は無い。

「仕方あるまい、目立たぬ程度に、動くようにするかのぅ」

己の中で、そうした考えをまとめれば、ふむ、と頷く。
今の力で満足する者、それにあるのは衰退のみ。
そうならぬ為、その中に楽しみを見出す事もまた、進歩する為に必要なものだ。

視線を、吹っ飛んで来た方向へと向ければ…とん、と地面を蹴る。
次の瞬間、少女の姿は、その場から消えていた。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。