2020/02/15 のログ
■リヒト > 欠伸一つ、男はどこかに消えて――……
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からリヒトさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ここは九頭龍山脈、麓付近の山中だ。
山菜や薬草摘み、近くにある遺跡やら洞窟やら、割かし誰かしら来そうな場所である。
…まぁ、そんな場所だ、当然、それを狙う者達も現れる訳で。
しかし、今ここでは、その立場の者達は逆の境遇を迎えていた。
怒りと焦り、それらを含む声が、山中に響き渡る。
その人数は二人、そんな人数で…と思われるかもしれないが、元々は、二桁を越える人数だったのだ。
そして、今、また一人。
その足元、影から伸びた手に足を掴まれ、一瞬で姿を消した。
上げかけた、叫び声と共に。
「………さぁて、後、一人。
頭は、最後の最後に、消してやらんとのぅ?」
残りは、見るからに、と言った風体の男。
なにやら、また怒声を張り上げ、威嚇をしているが…
その声質から、追い詰められている様は、よく感じらるもの。
その男に掛けられる声は、少女のそれ。
それを楽しんでいるかのような、こちらは、そんな声質を含んだものだ。
うん、別に、やるつもりでやった訳ではない。
偶然だが、気紛れに乗った馬車、それを襲ったからこそ起こった悲劇である。
■タマモ > 戦うにも、相手の姿は見えない。
そうした中、次々に消えてゆく部下達。
そして、残すのは、己のみ。
こうして受ける恐怖は、どれ程のものだろうか?
「ふふ…今まで、与えたものが、己に返って来た。
ただ、それだけの事じゃ…ほれ、逃げろ逃げろ、お主も、消されてしまうぞ?」
と、それに追い打ちを掛けるような、続けての少女の声。
その声は、すぐ背後から。
もちろん、それに対抗しようと、男は振り返る。
だが、そこには誰も居ない。
となれば、その言葉の通り、逃げるしかなかろう。
「………まぁ、ここでは消えるが、行き先は王都前なだけじゃがな。
殺めるなんぞ、楽な終わり方、させる訳がなかろうに」
その場から、逃げて行き、姿の見えなくなった男。
そんな男の背中へと、聞こえるものでない小声で、そう呟く声。
…これもまた、少女にとっては、暇潰しの一つ。
暇潰しで殺めるとか、そんな後味悪い楽しみ、あったものじゃない。
さて、再び追って、さっさと転送でもさせてしまうか。
なんて事を考えながら、その声は、逃げて行った男の後を追うのだ。
賊の討伐、あるとすれば、依頼され行われるものだろう。
だが、少女は冒険者ではないし、先も言った通り、これは偶然。
やるだけ、本来は損であるし…
実際、それを連れて、己が姿を現わせば、逆に己が捕縛対象になるのだから、そうする訳にもいかないのだ。
■タマモ > 「では、最後の一人…終わらせてしまおうかのぅ」
その呟きと共に、その場から、気配は消えた。
離れた場所、男が逃げて行った方向から、何か声は上がるのだが、その後は静寂が。
そして、その後、少女は気付くのだ。
馬車、待たせておけば良かった、と。
もう少し、時間が掛かると思ったのだが…案外、掛からなかったから。
終えた後、少女は、街道を歩いて帰る羽目になるのだった。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。