2019/11/29 のログ
ご案内:「人気のない洞窟」にリヒトさんが現れました。
リヒト > 山中割り入り獣道を辿っていけば途中に見つけることのできる洞窟が一つ。
その奥深くの暗闇で、闇に同化するようにして男――もとい魔狼が一匹丸まって休んでいる。
外を見れば黒色に近い雲が密度高く集まっており、程なくして騒がしい程の豪雨となって。
鼻きかせて察知していた雨の気配避けての移動は大正解だったらしく、尻尾をぶんと揺らして機嫌が良い。

金色の瞳に瞼を落とし、眠るわけではないが静かに時間を過ごして。
もしもこの洞窟へ雨避けて逃げ込んでくる何者か、居ればすぐに気付いて注意を向ける。
その者が敵か味方か、捕食者か獲物か、見定めるために。

リヒト > 雨もすっかりと止まったころ、どうやら微睡んでいたらしい狼は目を開ける。
のそりと丸まっていた状態から起き上がり、近場にまとめてあった荷物の方へ。
ローブに鼻先突っ込んでそれを被るようにしてから身震いすれば
数秒も立たない内に狼の姿は消えて、一人の男が代わりに現れる。

しっとりと濡れた空気の感触を肌に感じながら身なり整えて荷を背負い
日が暮れる前には街に着いて散財したい所だとか思いつつ
二本の脚で緩んだ地面踏みしめ踏みしめ、人が通るべき道へと消えていった。

ご案内:「人気のない洞窟」からリヒトさんが去りました。
ご案内:「人気のない洞窟」にリヒトさんが現れました。
リヒト > くあ、と大欠伸する狼が一匹、闇の濃い洞窟の奥に。
近場には人間時の姿の荷物が片付けてあり、どうやら休憩中。
それなりの量の荷であることから、仕事の途中の野営と言った所なのだろう。
こうして休んでいる今、獣姿へわざわざ戻ったのは束の間の解放感得たかったのと、
毛皮的な意味で防寒が楽だったから。そんな事情は本人しか知らないけれど。

決して人が多く訪れるような場所ではないが、何かが訪れないとは言い切れない。
片耳だけぴんと立てるようにしながらの仮眠、静かに鼻息が響いている。
ふさふさの尻尾は時折ぱたん、ぱたんと揺れていて、遠目に見ればただの犬っぽくもあった。

ご案内:「人気のない洞窟」にルビィ・ガレットさんが現れました。
ルビィ・ガレット > 「……ち」

女の低い声。洞窟の出入り口側から。

――彼女は冒険者ギルドの依頼の帰り道、通り雨に遭い、
目に付いた小屋ならぬ洞窟で、いったん雨宿りしようと立ち寄った模様。
白い息を吐き出しながら、洞窟の奥へと足を踏み入れていく――灯りも無しに。

硬質な靴音が真っ暗な洞窟内で響く。その足取りに淀みはない。
何せ種族柄、夜目が利くのだから――ほかの知覚能力も高く、
そのうち、「先客」の存在に気づけば、その時点で立ち止まり……。

「……ここはお前の犬小屋だったか」

抑揚の乏しい声で尋ねた。

リヒト > 良く響く靴音にはすぐ気づき、鼻を鳴らしてのそりと身を起こす。
男――もとい狼が相手の姿見定めるのと、相手からの声が掛かるのはほぼ同時だったか。
人語で返事すべきかどうか若干迷った結果、今はその口から呼吸音のみが漏れ出ている。

ゆっくりと足を踏み進め、相手から一定の距離の位置で円周なぞるように。
この狼はそれ以上近づこうともせず、遠ざかろうともせず。
金の瞳は暗闇でも不思議と輝き、彼女をじっと見つめて逸らされはしない。
明確な敵意はなく、かと言って当然懐くでもない、要は警戒状態。

――が、犬扱いされれば気に食わない部分もあった、ので。
ばぅ、と軽く吠えて抗議の意思だけは伝えておいた。多分伝わらないが。

ルビィ・ガレット > 「……ふふ」

一定の距離を保たれたまま、丸く囲むように、狼に近くをうろつかれても。
女が怖がることはなく。むしろ、薄く小さく笑って。

視線が合い、こちらが何かを言おうとした矢先、吠えられた。
それには目を細め、しばらく女は黙っていたが――、

「――その荷物、お前のものだろう? ……人の姿でない時は喋れないのか。
 まったく、今は見てくれが犬なのだから、犬扱いして何がおかしいのだか」

狼の側にまとめられた荷に一瞥をくれてから、そんなことを。

こちらとて、日常的に人に化けて生活しているものだから。
目の前の相手の正体は、それとなく感じ取れており。相手が否定したり、
否定はないが肯定も無かったりすれば、それまでだが。

――ところで。この女。吠えられた理由に見当が付いておきながら、
わざとそ知らぬ振りをして、相手の出方を窺っている。
彼女の悪癖である。煽るようなことをわざと言って、相手の反応を愉しむ算段。

リヒト > 女がどう反応するかと思っていれば、全て見透かしたかのような言葉掛けられて。
おおよそ正体も看破されている様子ならば、狼らしき仕草も途端にやめてしまう。
若干普段と響きは違う物の、洞窟の中に現れるもう一つの声は人間の物そのもの。

「もう少し警戒してもよさそうな物だがなァ。
 俺に獲物にされたやつの荷物かも知れないだろう?
 ……そうだとしても、怯えるタマで無さそうだな。」

衣類が綺麗に畳まれているのに気づけば、男が示した可能性も否定は簡単。
駆け引きも様子伺うのも止め、狼もどきは極々自然体に言葉発し始める。

「それと……犬コロと一緒にしてくれるな、女。
 全く、わざとらしい煽り方をする奴だ。面倒ごとが好みか?」

察しが良い女が、犬と狼の事だけ間違え続けるはずもない。
揶揄われているとはすぐにわかって、今度の抗議は人語でもって。
軽く威嚇するように低く唸る声もおまけに少しばかり。

ルビィ・ガレット > 雨で濡れた横髪が頬に張り付いていたので、それを片手で払う。
青白いというほどではないが、女の肌は白く。
時折、白い息を吐くものの、寒そうにはしていない。

相手から人らしい反応が出た途端、片頬を持ち上げて嗤った。

「警戒はしていた。……そのへんのふつーのわんちゃんと、
 魔狼を間違えていたら『恥ずかしいな』と」

なんともずれたいらえを返す。狼――いや、彼の言うとおり、
ここに置いてある荷物が仮に犠牲者の物だったとしても。
女はまったく気にしなかっただろう。弱肉強食、の。ひと言で片付けたはず。

「あなたが最初から人語で反応すればよかったのよ。
 ……面倒事が好きか、って? ――平和よりは愛しているわね」

咽喉を鳴らすような笑い声交じりに返す。
相手の機嫌を軽く損ねていると思うが、そのへんは気にしていないようで。
むしろ、低い獣じみた唸り声には、心地良さそうに目を細め。

リヒト > 「……阿呆と言われた事は無いかァ?」

落ち着けば、雨の匂いと女の様子から雨宿り目当てで来た事を男も理解する。
毛皮や瞳目当ての冒険者でなさそうだということで、また若干警戒は緩んでいった。
そして話続ける中で、恥ずかしい、なんて答えを聞けば流石に呆れたように。
喉鳴らす音は皮肉気に笑ったつもりなのだろう、声帯のせいか少しおかしな響き。

「ただの狼のフリをしていた方が良い時もあるのさ。
 しかし、そうか、面倒ごとを愛していると……それなら、」

のそりのそりと左右にのんびりと歩く動きがふと止まり、彼女の方へ鼻先向けて。
ぐ、と後足をばねに力溜め込んでから、体躯の割には素早く相手へ飛び掛かる。
襲うつもりは然程なく、半分は脅しのつもりであるから、避けるのは簡単だろう。
しかしながら彼女が油断しきるのなら、胸のあたりを前足が突き押し、転がしてしまうことになるやも。

「――俺が面倒事になってやろうか、」

と、狼が笑う。
別に食い気でも性欲でもなく、単なる気まぐれ。

ルビィ・ガレット > 「……むしろ、『バカ』と言うほうが多いかな。普段は」

急に真顔になって、若干下がった声のトーン。
話の前後や相手の言葉の響きからして、彼に言い返されたようなものだとは、理解しているものの。
そこに苛立ちはなく。なぜか真面目に返していた。

「それはわかるが。――身の振り方ってあるし。
 ……っ、おいおい。遊んで欲しいのか」

彼から予備動作みたいなものを感じていたが、それは当たりだった。
予感があったのだから、避けようと思えばできたものを。
女はそれをせず。気づけば、仰向けに近い体勢で、狼姿の彼――とは言え、まあ、人間時の姿はまだ知らないのだが――に圧し掛かられており。

胸元と前足の間にあるアミュレットは、彼を「脅威」だと認識していないのか。
魔法障壁は発生しなかった。……もしくは、持ち主がそう認識していないか。
その証拠に、まだ余裕のある笑みを浮かべていて。

リヒト > 「そこまで警戒されないと……毒気抜かれる物だな。
 こんなところで新しい発見ができた、感謝してやる。」

何も心得がないわけでも無いだろうに、一撃を避けない相手には呆れを覚える。
丁度脚の下にあるアミュレット越しに身体を押さえ込みはしたものの、
肝心の相手の反応が余裕ある笑みのままであれば何とも困ったように。
これで泣き叫んで抵抗でもすれば、むしろ喜んで襲っていたのだろうけど。
取り合えず、言葉にした通り軽い毒も抜けて、悪意らしき悪意は消えてしまった狼。

「こんな体勢でも平気な程、余程腕に自信があるのか?
 それとも、襲われても構いやしない……なんて質か。」

こうもう距離が近いと、狼の大きさもわかりやすいだろう。
彼女の首程度なら一噛みでへし折れそうなサイズの差。
鼻先が首筋に潜り込み、すん、と匂い嗅いで、擽るように擦り付ける。
人間姿でやればとんだセクハラだが、今なら捕食風景だろう。
退け、と言われればそのまま降りてしまうが、放っておかれれば暫くじゃれついている。

ルビィ・ガレット > 「"人間の女だったら"、警戒のひとつや二つ、しただろうな。
 ……なんか。お前が偉そうな物言いをしても、可愛らしく感じるのはなぜだろうか」

服越しでも相手に伝わるだろう、低い体温の体。
「雨に濡れたせいだ」と思えばそれまでだが……遠回しに、こちらも人外であることを仄めかし。
こちらの変わらない態度に鈍った動作、反応に困ったような言葉を相手から受け取れば。
相変わらず、マイペースな言葉を女は吐き出して。この言葉に限っては、
彼から面白い反応を得ようと、わざと言ったものではないのだが。

「――殺したり襲ったりするのは、基本、人間だと決めているだけだ。
 ……自信があるか、って? そんなの、関係ない。
 そっちとはやり合う気が、そもそもなかったし。……構わないというか。だって、こんなの。

 ――犬がじゃれてきているようなもの……って、おい。そこはやめろ」

体格差を見せつけられても、女に緊張感らしきものはなく。
彼の言葉に、自分なりに応えてみせるが、これが相手が納得するような言葉かはわからない。
そろそろ起き上がろうかと考えていた矢先、首筋に狼の鼻先が当たれば。明らかに身を捩って。

リヒト > 「夜眼が効くなら……化け猫か何かか?
 は……可愛い、とはまた何とも。ありがたい話だ。」

人間でないとわかれば今度は正体探し。まずは犬の反対で猫。
別に謎かけでもないのだ、外れだと言われれば素直に答えを求める。
可愛らしく感じるなんて言われても、流石に喜べる中身ではなく。
精々皮肉気に笑って軽く唸る音を籠らせただけであった。

「となれば……この姿のままで居たのはお互い運が良かったか。
 は、……だから犬扱いをするな、と……――言っただろうに。」

答えの大半には納得がいくのだが、また犬扱いされれば機嫌悪く尻尾が振れる。
起き上がろうとする方を脚で押さえ込み、生暖かい息をわざと首筋に掛けて。
その内、脅してやるかのように牙を剥いて、そのまま噛み付いてやろうとでも顔を寄せる。
少しは怯えるなり、嫌悪見せるなり、そう言った反応を期待して。

ルビィ・ガレット > 「お前が人の姿を見せたら、教えてやる。
 ……仕方ないだろう。今のお前の姿だと、なぜかそう感じる」

人語を発する狼。それも大柄の。
それが、言葉の選定によって愛らしく感じるのは、もはや女の感性の問題だと思われるが。
とりあえず、相手が言葉通りに喜んでいないのはさすがにわかったので。言い訳しておく。

猫という回答には首を横に振って。相手が応じるかわからないが、交換条件を提示して。

「お前が人の姿を取っていても、人ならざる者であるとはわかっただろうさ。
 ……ぐっ。だから、お前がっ。――いや、その、だから!! 首はダメって……っ」

――人の姿に成ればいいんだ。そう言いかけて、首筋の刺激に動作が鈍る。
力任せに押し退けようも、上擦った声が漏れ、僅かに身を捩るのが精一杯だった。
くすぐったさに細めた視界にちらつく牙。多分、威嚇と言うよりは、こちらの反応が見たいだけな気がする。

だが、相手の思い通りになるのはつまらない。こちらにも意地があり。
成人男性並みの腕力で、自分の肩を押さえている前足を片方だけでも退かそうとしながら、

「――いいから、退け。あと、私の首筋に触れるな」