2019/10/19 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ここは九頭龍山脈、それなりに深くの草木生い茂る森林地帯。
その中に、隠れるように建てられた、今や廃墟と化した邸宅がある。
そんな場所にある建物だ、碌な噂話なんて立ちはしない。
ゆえに、そうそう誰かが近付く事もないもので。
だからこそ、盗賊やらが住処に利用したりするのは当然と言えよう。
………まぁ、今居る連中が、そこを利用する事は、もうないだろうが。
静寂。
今、この廃墟は静寂に包まれていた。
誰も居ない訳ではない、その逆、ここを住処にしていた盗賊達、その全員が居るのだ。
しかし、声を上げようとしようとも、音を立てようとしようとも、その静寂は破れない。
ただ、何かから逃げ惑うように、廃屋の中を駆け巡る。
一部の盗賊達は、何かに挑むように武器を振るうも、何もない空間へと振るっているだけだ。
ならば、さっさと廃屋から出れば良いと思うだろう。
普通はそう考えるのだが、誰もそれをしようとしない。
まるで、そこからの出口が、見えていないかのように。
そんな廃屋の屋根の上、一人の少女が佇んでいた。
ただ佇んでいる、訳はない。
この現象を引き起こしているのは、この少女なのだ。
呪詛、恨み辛みを残した魂、その力を利用した呪い。
中からの脱出を一切封じ、怨霊とした魂を暴れまわらせる。
それが終わるのは、その怨霊達が満足するか…
後は、何ら無関係な者が、何かの切っ掛けで廃屋の扉を開くだけ。
あくまでも、中の者達を嬲る為の呪詛なのだ。
■タマモ > 切っ掛けは、王都で働いていた酒場での出来事。
気が合う店員の一人、その家族が、九頭龍山脈に出る盗賊の被害にあった、との話を聞いた事である。
この酒場での働き始めから、色々と世話になったりもしていた。
そんな相手の落ち込みよう、それを見れば、今こそ恩を返すべき、と動こうと決めたのだ。
少女は、妖でありながら、恩義には厚いところがあった。
「………命までは取らん。
じゃがな、二度と同じ事を出来ぬようにしてやろう。
消し去る事の出来ぬ、恐怖によって、な?」
そんな呟きを洩らしながら、くすくすと少女は笑う。
しかし、その瞳は笑っていない。
見知った者が見れば、珍しいものとして映るだろう。
呪詛を持続する為、意識は廃屋へと集中されている。
もし仮に、誰かが別件でこの場所に訪れようと、反応は出来ない。
何らかの理由で、この廃屋の扉を開くのは簡単な事である。
■タマモ > 静寂の廃屋、その中で、一体何が起こっているのか。
それは、外界からは、誰も知る事は出来ない。
そして、中であっても、盗賊達は、他の盗賊達の事を知る事は出来ない。
少女の呪詛は、盗賊達各々によって、その蝕み方が違うし、他の盗賊達を認識出来なくさせているからだ。
まぁ、要するに、盗賊達には誰もが己一人で異質な廃屋を徘徊している、と言った感じである。
もっとも、少女には、その盗賊達一人一人の状況を認識出来ている訳だが。
意識を周りに向けれない、と言うのは、それもあるからで。
一人、また一人、精神的な限界が訪れ、意識を手放す者達が出始める。
そう言った者達には、力を流し込み、強制的に意識を引き戻させてゆく。
そうして、再び恐怖の体験をさせていく訳だ。
何度も何度も、同じ悪夢を見させられ、目覚めても、再び眠りに落とされ悪夢を見させられる。
やられた者達からすれば、本当に堪らないものだろう。
ちなみに、ぱっと見は、普通の廃屋。
その屋根の上に、少女が佇んでいるだけ、そんな感じ。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にゴッツさんが現れました。
■ゴッツ > 男が、その廃墟に訪れたのも、狐の少女と大体は同じ理由だった。
稼ぎの悪い彼が、たまの贅沢で行く酒場。
そこで良くしてくれた気のいい店員が、盗賊に襲われたと聞いて。
自分は、それほど気の強い方ではない。
どちらかと言うと弱い方だ。
けれど、あの酒場の雰囲気が悪いのは、耐えられなかった。
自分の頑強さには自信があったため、ただの盗賊なら何とかなる、と…なけなしの勇気を振り絞り…
険しい山を登っていく。
やがてたどり着いた廃墟。
中から人の声もせず、ノックにも反応はないが…もし盗賊が寝ているなら、たたき起こして絶対に反省させる…!と小さな正義を大きな体に持ち。
「―――――――…」
意を決して…屋根の上の少女には気が付かず…
中で何が行われているかも、彼には把握できず。
止められなければ、ぐん、とドアを壊す勢いで開ける。
■タマモ > 普段ならば、近付いた時点で反応する少女。
しかし、先の通り、今回は状況が違った。
やって来た男に気付かず、意識は廃墟内に向けられたまま。
ゆえに、男が扉を開けようと思えば、簡単に開くだろう。
その途端、ぱきん、と何かが割れるような音と共に。
古く朽ちた扉だ、勢いよく開けようとすれば、扉ごと壊してしまうかもしれないが…その辺りは、男の力加減次第。
そして、その扉が開放をされた瞬間、廃墟内から幾つもの、倒れる音が聞こえる、かもしれない。
呪詛の結界が爆ぜると同時に、包み込んでいた力は霧散。
それによって、魂は元の場所へと戻り、解放された盗賊達が、やっと意識を手放す事が出来たからだ。
そこでやっと、少女は男の存在を認識する。
まぁ、その時には、すでに廃屋内へと入って行くのか、起こった異変に足を止め、見る事が出来るのか、分からないが。
■ゴッツ > 何が起こっているか知らない男は、そのまま家屋の中に入っていく。
緊張しながらも家屋を進み…倒れた盗賊たちを発見する。
「ん、ん?死んで…はないな。なんだ、これ?」
意識を手放しただけである盗賊は、微かに息はしており。
自分の前に誰かが来て、成敗されたとしてもこの様子はおかしい。
「おおおおい、誰か居るのか!居るなら返事してくれー!」
そう思った男は、盗賊をひとまとめに抱え、まとめて床に放る。
そうして、大声をあげて誰かいるか問いかけるのだ。
もしかすると、盗賊の仲間が帰ってきた…などと誤解を受けるかもしれないが。
■タマモ > そこに来て、やっと、ぴくん、と少女の耳が揺れた。
屋根の上、扉の上付近に屈み込み、下を覗き込む。
「………お、おおぉ…呪詛が解けたのじゃ…
と言うか、こんな場所に誰か来よったのか?
確か、ここの連中は全員…だったと思うたんじゃがのぅ…?」
下に見える光景、開いた扉が視線に入れば、むしろ驚いた、みたいな表情を浮かべて。
解けてしまったものは仕方無い、まさか、同じような目的で来るような者が居るのは予想外なのだ。
はふん、と溜息を吐けば、とん、と屋根を蹴り、扉の前へと降り立った。
と、そこで、廃屋の中から聞こえるのは、男の声。
中から聞こえる物音からして、何か運んだりしているようだ?
さてはて、相手はどんなものなのか…
同じ目的で来たのか、はたまた、盗賊達の仲間なのか。
そこは、さすがにはっきりとは分からない。
ともあれ、もし後者であっても、どうせ一人。
そう思えば、そろりそろりと、忍び足で入って行くのであった。
■ゴッツ > 扉は、全体としては壊れてはいないものの妙に取っ手が曲がっている状態。
その奥へと入れば。むぅ、という低い唸り声。
「う、ううむ。覚悟を決めて来たんだけどなあ…。
まあ、やられているなら、運ばないと…」
少女が忍び足で…声のする方、男が盗賊たちをまとめた部屋にたどり着けば。
そこに見えるのは座り込んだ岩のような背中だ。
背中から延びる腕は丸太のようで、盗賊たちの姿が隠されている。
「よいしょ、と…。夕方までに間に合うかな…」
と相変わらずややこしい独り言を零しつつも、片手に3人、両手で計6人を軽々と持ち上げて立ち上がる。
どこかに連れていくのは明白。
問題はどこに連れていくかだが…、男は、少女には気づいていないまま、古い床板を鳴らしつつ、少女が来た廊下に向けて近づいてくる。
■タマモ > 抜き足差し足忍び足、少女は、物音のする部屋へと来る。
途中、ぴくぴくと揺れる耳は、そこから聞こえる呟き声も聞き取っていた。
…はて、この内容…実は、前者?
かくん?と首を傾げ考えるも、となれば…さて、どうしよう?
とりあえず、第一印象は、でかい。
まぁ、だからと言って、物怖じするような少女ではない。
せっかく、こうして気付かれず、近くまで来れた。
ならば、あれだ…やる事は、一つ?
知人ならば、止めとけ、と言われそうな考えが、少女に浮かぶ。
すすす…足音を立てず、少女の姿は、男の側までやって来る。
気付かぬまま、盗賊達を抱え、立ち上がった男。
…よし、狙いはここだ。
「わっ!」
器用に、廊下へと向けて行こうとする、男の体の方向転換に合わせ、背後を取り続ける少女。
次の瞬間、驚かす為に上げる大きな声と共に、ぺしーんっ、背中を叩いた。
まぁ、うん、痛くはない。
■ゴッツ > 男には、特に自覚できる特殊能力はない。
今はやけに身体が頑強で、風邪を引きにくい程度だ。
「ええと、衛兵…ううん…」
相変わらずでかい図体で迷いつつ。
背後に回られていることなど、彼にはわからない。
くるりと体を回し廊下に向けて歩き出そうとしたところに…
小さな衝撃と、声。
普段であれば多少驚くだけだろうが、ここは幽霊が居そうな、かつ盗賊が不審に倒れていた廃墟だ。
そのスパイスが、驚きを増加させる。
「どわああああああああああああああああああああ!!」
振り向きながら、やたらでかい叫びを出し。
どしーんとその場に尻もちをつく。
哀れ嬲られた盗賊は更に放り出され、転がって。
「ゆ、幽霊か!?、お、俺はびびらんぞ!」
どう見てもびびっているが、でかい体で指を少女に向けながら慌てふためき。
■タマモ > 何だろう、ここまで上手くいくと、後が怖い。
…との考えが、まさに的中した瞬間が訪れた。
驚かした、そこまでは良かった。
予想では、驚かした相手に対し、こう、強い警戒を見せながら、身構えて…の、はずだったのだ。
なのに、その男が起こした行動は、非常に大きな叫び声。
「っ!? うにゃあああぁぁああぁあぁっ!?」
効いた、効果抜群だ。
鋭い聴覚を保ったままの少女に、この叫び声はいけない。
きーんっ、ときた、いや、いまだに響き続けている。
男が指差した先、そこには、同じ叫び声を響かせ、耳を抑えながら床を転がる少女の姿があった。
まぁ、ぱっと見は、少女だ。
よく見ずとも、狐を模した耳やら、複数の尻尾やら、人間でないのはすぐ分かるが。
■ゴッツ > 「お、おお……ん?」
驚きというのはあまり長く続かない。
少し時間がたてば、少女の姿を視認する。
可愛らしい顔立ちに、狐の耳やたくさんの尻尾。
人間ではないにしても、害を為すような存在には見えず。
「あ、あー…、ええと、盗賊に攫われた子か?奴隷…とは違うみたい…だが」
ミレー族と呼ばれる種族に似た特徴。
けれど、着ている服は上等。自分のものより圧倒的に仕立てがいい。
まだ混乱しているのか、少女から驚かしてきたことには頭が回らず。
困惑しながらも、大きすぎる手で大丈夫か、と少女に触れようと。
■タマモ > 驚きと言う感情は、時間と共に治まるもの。
同じように、響く耳鳴りも、治まってゆくのだが…
こう、まず先に落ち着き、こちらを見ていた男。
声を掛ける頃には、こちらも少しは治まっているか。
ぎ、ぎぎぎ…と言った感じに、ゆっくりと、少女の首が男の方へと向けられる。
「お、お、お…」
わなわなと、震えながら、唇から洩れる声。
見た目、怯えているように見えるかもしれない、そう、その一瞬だけは。
しかし、次の瞬間。
「お主はっ!どれだけ大きな声を出しておるんじゃああぁっ!」
がばっ、と起き上がれば、びし!と指差す。
同時に向けられたのは、少女の怒声であった。
………うん、自分が先に驚かせておきながら、これである。
■ゴッツ > 声を発したこと、やけに生気があることから幽霊でないことはわかった。
けれど、ではなぜここに…という疑念が男に降りかかり。
まさか少女が盗賊をおしおきしていたなど、想像もしていない。
「え、ええ…、あ、ああ。す、すまない?」
触ろうとしていた手を引っ込め…あぐらをかいて座り直す。
生来争いごとが嫌いで、気が弱い彼は、理不尽な怒声にも、不満を覚えつつ謝る。
と、そこでようやく…背中にかけられたのはこの少女の声だと思考が追い付き。
「で、でも…、驚かせてきたのは、お嬢ちゃんの方だろう。
それに、こんな廃墟に居たら危ない。住処にしてた盗賊は…なぜだかノびてるけど、それでも一人でこんな山奥に来るのは…」
繰り返すが、彼は正常な場合においては一般人だ。
少女に見える狐の力など、推し量れるわけもなく。
純粋に心配のまなざしを、男はその豆粒のような瞳孔に乗せて。
「もしかして、山菜取りか何かかい?それなら俺が手伝うからさ」
明らかな子ども扱い。
そして、再び…彼としては、少女が虚勢を張っているように見えたのか、安心させようとしている様で、頭のなでなでにチャレンジする。
ミレー族であるならば、ひっそりと隠れて細々暮らしていても不思議はない…もしかすると服だけは上等なものを…などと、大変失礼な事を考えつつ。
■タマモ > さて、一つ叫ぶ事が出来、男からの謝罪が出れば、少し気が晴れた。
理不尽?気にしたら負けだ。
ふーっ、と吐息を整えれば、改めて男を見遣る。
と、続く言葉を向ける前に、男からの言葉。
まず、あれだ、驚かせたの、ばれてた?って事だ。
そして、己の仕業とは思ってないらしく、心配をしている様子。
ふむ、と軽く考えるような仕草。
…とりあえず、驚かせたのがばれていたのは、流してしまおう。
自覚はあるか、視線は彷徨わせてしまっているが。
「ふむ…まぁ、この程度の場所ならば、大した事はない。
これでも、妾はそれなりに強いからのぅ?」
誤魔化すように、後の言葉に対する答えを返す。
答えつつ、えっへん、と胸を張りながら。
見た目は、うん、確かに強そうには見えないだろう。
「………うん?…いいや?あー…ちと、暇潰しに、な?」
違う違うと手を振りながらも、はっきりとは答えず、視線を逸らす。
ここの盗賊達を嬲っていた、とは、さすがに言えない。
頭を撫でたい?心配されるのはあれだが、別に撫でられるのは慣れている。
調子に乗って撫で続ける、とかなければ、大丈夫だ。
■ゴッツ > ぽふ、と軽く手を置いたものの、少女の言葉には目を開く。
結局手を置いただけで、すぐにその厳つい手は離れていき。
「強い…、暇潰し?、ははは、大丈夫だよ。
そんな見栄を張ったり、大仰な言葉を使わなくても、俺は笑ったりしないさ。
さ、ええと…お父さんとお母さん…どちらかは家に居るかい?送っていくよ」
どうやら迷い込んだ子供だと完全に勘違いしているようだ。
またもや虚勢だと思ったのか、胸を張って強い宣言をする少女に笑いかける。
盗賊はしばらく目覚めそうにないが、放っておくわけにもいかない。
まあ、この少女くらいなら盗賊と一緒に運べるだろうと算段して。
「貧民地区の子供が喜ぶ、ゴッツの腕。乗り心地は抜群だ。さあ、どうぞ。
どこへでも、俺が送っていってあげよう」
何と今度はひょいひょい、と盗賊を片腕に積み上げ、荷物のように持ち上げて。
真ん中あたりの盗賊は苦しいだろうことはわかっているが、悪事を働いた身だ。それくらいは我慢してもらおう。
そして、空いた片腕…本当に丸太の椅子のような腕を差し出して、乗りなよ、と爽やかに笑う。
■タマモ > うむ、撫でてもすぐ手を離せる相手は、悪くない。
離れる手を見ながら、頷いてみせる。
「いやいやいや、少なくとも、妾は弱くはないぞ?
悪くとも、そこらの連中よりは、のぅ?
送ってくれるのはありがたいが、妾は一人じゃ。
ここに、そんなものは居りはせん」
完全に、己を見た目通りと勘違いし切っているらしい。
笑いながら、そう伝える男に、はふー…面倒そうに溜息を吐いた。
あれだ、この手のタイプ、言葉だけでは、なかなか理解させるのは骨が折れる、と思う。
が、送ってくれるのは、ありがたい。
一人で帰れない事もないが、間違いなく、途中で道に一度は迷う。
「やれやれ…困った男子じゃのぅ。
送っては貰うが、もう少し、理解は欲しいものじゃぞ?ん?」
盗賊を抱えてゆく様子は、まさしく見た目通りの腕力か。
ならばと、差し出す手に誘われる訳でなし、とん、と床を軽く蹴る。
男の視線から、一瞬、少女の姿は消えるだろう。
視線が、伸ばす腕に向けられているからだ。
と、次の瞬間には、ふわり、と少女は男の肩の上に降り立ち、腰を下ろすように着地した。
わざとらしく深い溜息を吐きながら、ぽむぽむと、気安く頭を叩いて。
■ゴッツ > もしかすると酷いことをされかけたのだろうか。
だからこんなに虚勢を…など。最早、言葉だけでは取り返せないほど男の勘違いは深まっていく。
そう思えば、少女の言葉は何とも可愛らしい強がりに聞こえて。
「理解と言われてもなあ…。っと。随分身軽だね。でも、そうでもないと山は登れないか…。
理解しろって言うなら何か、お嬢ちゃんがすごいってこと見せてくれないとなぁ」
言葉の途中で躊躇いなく身軽に腕に乗ってきた少女に少し驚くも。
身軽な子だなあ、くらいにしか今は思わない。
理解が欲しいという言葉には、またはっはっはっと笑い…馬鹿にしているわけではないが、信じていない笑い声をあげる。
「へへ、良い触り心地だろう?よし、それじゃ行こうか。扉は蹴るしかないなあ…」
頭を叩けば、手入れ?をしているのか、すべすべつるつるのスキンヘッドだ。
同時、少女の視点が急にぐぐぐ、と上がる。男が立ち上がったのだ。
盗賊と少女を抱えているのに、バランスは崩れておらず。
勘違いを抱えたまま、今度こそ廊下に向けて歩いていこう。
■タマモ > 内心、男がどう思っているのか。
さすがに、その細かいところまでは分からない。
とは言っても、ある程度の予想は付くものだ。
思っていた通り…だろう、その辺りは。
「ふむ…ならば、送って貰っておる途中、何かあれば見せてやろう。
何も無ければ………まぁ、その時はその時じゃ」
肩の上に腰掛けたまま、そう伝えておこう。
実際、何か見せないと信じない、そんなものだ、この男子は。
その辺りは、言葉の通り、何かあればと言う感じだ。
何も無ければ、またの機会にしておこう、面倒だし。
「むむむ…考えてみれば、見知った相手は多いが、この頭は初めてな気がするのぅ。
これはこれで、何じゃろうか…確かに、悪くは無い」
この頭で、手入れなんて必要なのかどうか、疑問なところ。
別に気にしてはなさそうなので、そのまま、ぺちぺち叩いておく。
後の移動は、男に任せた。
歩かずに進むのは、疲れずに済むし楽ちんだ。
一つ難点があるとすれば…
これ、間違いなく歩いて帰る流れ、王都に戻るのに、どれだけ時間が掛かるのやら、か。
途中、何かあれば、また別の何かを考えよう。
それを考える時間は、移動中、結構ありそうだから。
ちなみに、扉は入った時にも開きっ放し。
行ってみれば、それは分かる。
■ゴッツ > 男の思考は単純明快。
こんな子供相手に、嘘の表情や言葉をかける必要もない。
そう思っている言動と、仕草。
「な、何かあるのは困るなあ…。
あ、そういえば…盗賊が目覚めないといいんだけど…」
ううむ、と扉に向かいつつ唸る。
「道中結構長いからそういうこともあるかも…。ああ、でも君だけは守るから、その時は逃げてね」
などと言い…暴力沙汰に慣れていない自分でも壁くらいはできるだろうと。
信じていないからこそ、なんだかカッコいいセリフを言いつつ。
つるつるの頭を撫でられつつ…開けっ放しの扉から、山へと出ていき。
少女が王都を指定するのなら、驚きながらも、とても広い歩幅で山を下っていく。
その道中…何があったか、または無かったのかは、また別のお話。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からゴッツさんが去りました。