2019/08/17 のログ
ホアジャオ > 「ふがっ!?」

細い目の瞼も半分落ちかけた時
現れた気配と共に木霊するほどの咆哮と、つづいて人の声。
びくっと瞼が持ち上がると、口元を手の甲で拭いながらばね仕掛けの様に上体が持ち上がる。
ぽりぽりと後頭部を掻き、やや寝ぼけ眼のまま岩棚から滑り降りて―――無意識に、吸い寄せられるように、争う音の方へと。

「――…アタシも混ぜてよ…」

半覚醒のような状態のまま、足取りだけはやたらと軽々と、森の中を駈っていく。
果たして、何を目にするのか―――

アクラ > 「グルルルゥゥッ!!」

少女の向かった先、騒音の元に着けばまず目に入るのは3mに近い巨大な熊
声には怒気がこもり臨戦態勢どころか血眼と言った様子

「ぐぅぅ…しぶといなぁっ」

対するは小さな子供
それも、一度見た事があるであろう白髪の子供が血で真っ赤になったナイフを手に牙をむいている
よく見れば熊の体中に血が滲んでいる
めった刺しにしたはいいがどれもこれも致命傷にはならず熊がただ怒り狂っただけとなっている
多少は体力を奪っているが狩りとしては無様この上ない

ホアジャオ > がさり、と草を分けて立ち会った現場は、既に血の匂いで充満していた。
細い目が一度瞬いて、次に鋭い意志がその黒に戻ってくる。
自分が立ち現れたのは、白髪の少女の真後ろ。
荒ぶる獣、ぶちのめしていい方を判別するのに、幾らも掛からない。

「―――もらいッ!」

少女の横を駆け抜けて、巨大な熊に肉薄する。
射程に入るなり、間髪下ろされたその前脚をぎりぎり、かすめるように跳び――闇夜で影が交錯する中、女の気合が響く!

「でァアッ!!」

鋭い牙を向いた顎を掌底で突き上げ、同時、身体を捻って
振り下ろされた腕の方の横頭、耳の下目掛けた鋭い蹴りを放った
それが、白髪の少女の眼にも捉えられたかどうか

アクラ > 「んっ!?」

大きな傷は無いが疲れてはいた
何でナイフで刺し続けたのに死なないのか、ナイフで倒すと決めたがもう諦めようか
そんな事を考えてる内に背後から何かが獲物に迫る

「あぁっ!」

追い抜いて倒す、なんて考える間に熊の首に強烈な一撃
くぐもった声をあげ倒れる姿に自身の狩りの失敗を悟る
熊はと言えば疲労の上に不意打ちを食らい絶命はしていないがもう動くことは無いだろう
動けないと言った方が正しいか

ホアジャオ > ずん、と夜の森に地響きが伝わり、夜鳥が数羽、またギャアギャアと騒ぎながら飛び立った。
すとん、と傍らに下り立った女は、熊が再度動くかどうかなど気にする風もなく、三つ編みを散らして勢いよく白髪の少女を振り返った。

「――アクラ、だよねェ?
 好久不见(ひさしぶり)!」

木々の間から漏れる月光の下満面の笑み、ぽんぽんと弾むような足取りで白髪の少女のもとへ。
その表情を覗き込むようにしてから、はっと気づいた様子で少女と熊を交互に見やった。

「啊…ごめんよ、取り込み中だった?」

もしや何か、因縁とか親の仇とかだったりしたかもしれないと、申し訳なさそうにぽりぽりと後頭部を掻く。

アクラ > 「んぁ?
……あ、ホア。久しぶりだな。」

むぅ、と睨んでいたが見知った相手だと分かれば睨むのはやめておく
仕方ないかとため息をついてナイフを仕舞った

「いや、ナイフだけで倒そうと思ってただけだ。
もう無理そうだし諦める所だったけどな。」

諦めて素手でやりあう前に終わってよかったかもしれない
そんな所見られたら何と思われていたか分からない

「そんな事よりどうしてこんな山に居るのだ?修行か?」

バトルジャンキーである事は知っているのでそんな事を聞いてみる
まさか街でもなくこんな場所で再開するとは思ってなかったと笑って見せたり

ホアジャオ > 笑う少女にほっとしたように笑みを返す。
可憐な外見に似合わない――ある意味似合ってるともいえるけど――血みどろのナイフをしまう少女の仕草を、相変わらず可愛いなァなんてにこにこと見守りながら

「ううン?
 ちょいとお風呂探しにきてみたンだけど、そう都合よくは見つかンなくてサ。
 日暮れちまったから、この先のちっさい川のそばで、野宿してたとこ」

方角を指で刺しながら説明して、ふと首を傾げる。

「アクラ、もしかしてこれから山降りンの?」

心配げとも、もしかしたらこのコならできそうかも、なんて期待も混じった瞳で問うた。

アクラ > 「風呂?
外で風呂…温泉か?」

行楽地に有るそれは自然の中にも有ると何かで知っていた
それを探しに来たのかと納得するが、逆にその為にこんな時間まで山に居るのか、と
先程蹴りだけで熊を倒したのも合わせて彼女は本当に人間か?なんて考えたり

「ん?何も考えてなかったぞ。
疲れたしちょっと寝てから帰るかな。」

準備も特にない夜の森でひと眠り
危険極まりないが気にする様子もない

ホアジャオ > 「そそ、温泉!
 まァべつに、森を散策するついでだったし良いンだケドね」

この時期、実は街で昼間喧嘩相手を見つけるには少々手こずる季節なので、散策には体力維持と気晴らしと憂さ晴らしと様々な意味があった。様な気がする。
何も考えていない、と言う少女には、また反対側に首を傾げて見せて

「そォ…
 じゃ、アタシと野宿してかない?
 向こうの川ちかく、結構気持ちいいし」

向こう、とまた指差して満面の笑みを浮かべると、相手の返答を聞く前にその手を取り、早速歩き出そうと足を踏み出した。

アクラ > 「そうなのか。
んー…ご飯も有るしそれも、ってまだ何も言ってないぞ!」

彼女が居れば何かと楽ができるかも、なんて考えてる間に手を引かれ歩き出す
自分より何かと決断と行動が速い彼女には何故か嫌と言いきれないのだ

「あっ、肉!肉を忘れてるぞ!」

肉と呼び熊を残った手で指差す
折角の食料と抗議の声を上げるが…

ホアジャオ > 少女の抗議の声に振り返って、その差す方向を見る。
それが先の熊のことだと知るとげー、と舌を出して。

「嗯(えー)……獲りたての熊って生臭いし、美味しくなくない?
 しかもアレ、雄でしょ……
 アクラが魚嫌いでなけりゃ、アタシがあとで川魚ご馳走したげるから」

 なんて言っている視線が夜の森の木々を這って。
 手を放すとちょっと待ってて、と言って少し離れて闇にまぎれ、直ぐに戻ってくると少女の手に山ブドウの房を押し付けた。

「それまでコレ、食べてて?」

にこにこ笑いながら言い終わるが早いか、またもや少女の手を引いて歩き始めようと

アクラ > 「あんなに大物を…勿体ないぞ!」

巨大な肉、味は二の次なのでそう声を上げるが川魚と聞いて少し考える
食に拘っているちゃんとした料理が食べられるのかもしれない
なら……

「それもそうだな、うん。魚はあんまり食べてないから良いぞ。
これは…ブドウ?それかベリーか?」

甘い果物を与えられモムモム食べながら大人しくついて行く
基本的に食べ物さえあればかなり扱いやすいのだ

ホアジャオ > 今度は大人しくついてくる、その様子に上機嫌に鼻歌なんぞ歌いながら、元の渓谷まで少女を誘ってくる。
先まで寝転がっていた岩棚は、下から見上げるほどの高さにある。
迷うことなく、またしても無断で少女の腰を両腕で抱くように抱えると

「――よッ」

だん!と踏み込んで跳び、岩棚の上へ。
下り立てば、『明日の朝用』に取っておいた串焼き魚が3本ほど、岩と岩の間にさしてあった。
―――さて、ご馳走を期待していた少女の気持ちには応えられたのか……

アクラ > 「ん?」

なんだ?と聞く前に抱きかかえられそのまま運ばれていく
誰かに運ばれるなんて事もあまりなく面白いのでそのまま体を任せ気が付けば岩棚の上
取り出された魚を見ればこんがり焼き色がついていて美味しそうだ

「3本か…旨そうだが量が少ないな。」

そうは言いつつ魚に視線が釘付けに
お腹が減っているのは間違いないので魚の誘惑はかなり強い

ホアジャオ > 「那太好了(よかったァ)!」

少女が零した言葉に、ほっとしたような言葉を漏らして串を差し出す。
足りない、というのにはくすくすと笑み零し、さらりと白い髪を撫で梳いてやった。

「今晩はもう夜だから獲れないケド、明日明るくなったらまた獲ったげるから。
 ――…兎に角、獲れたての熊は止めときな」

この美少女から雄熊のなまぐさーい匂いがしてくるなど、何というか、冒涜である。気がする。

「お腹減ッて眠れない、てェなら、もすこし山ブドウ取ってきたげる、から……」

言いながら、女の細い目の瞼が半分、落ちかけてくる…

アクラ > 「ホアはたまによく分からない言葉を使うな。」

何となく言いたい事は分かるがしっかりとは分かっていない
笑ってるしたぶんいい事を言っているんだろうと納得する

「仕留めた熊はダメなのか?硬いけど肉だぞ?」

なんで?と首傾げ
進んで食べたいという訳ではないが量は多い
多いのはそれだけで良い事だ、腹が膨らむと頷く
匂いなんて気にもしていないのでなぜだ?と悩むのであった

「そこまで飢えてないから良いぞ。
ホアはかなり眠そうだし、無理するとよくない。
ほら、ちゃんと寝るぞ。」

ごろーんと岩の上に寝転ぶ
魚を食べて小腹はまぁまぁ満足したのだ
疲れも有るし寝れば気持ちいいのは間違いない
お腹を上にして目を瞑る

ホアジャオ > 「そォ?アタシ、田舎育ちだから……」

ふわっと欠伸を漏らし、そのふわふわとした視界の中で少女が満足げに寝ころぶのを確認すれば、にまーと紅い唇が笑う。

「熊の肉はね…ちゃァーんと血抜きして、すこし置いた方が美味しいンだよ……
 ありがと。アクラは、良い子だねェ……」

お腹を上に寝転がった少女の横に、寄り添うようにして横になる。
瞼を落としてしまえば、さらさらと言う小川の音と、風邪が揺らす木立の音と、時折の虫の音だけ。
おやすみ、の言葉は唇だけで紡いで。
明日の朝太陽の光で起きたら、少女のために張り切って川魚を獲るのだろう

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 渓谷」からアクラさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 渓谷」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは九頭龍山脈、麓付近に位置する山中だ。
鬱蒼とした木々並ぶ中、一際高い樹木の上に少女は居た。

「………嵐過ぎし後は、より暑さは増す…か…」

はふん、と溜息を漏らしながら、のんびりと眼下に広がる森林を眺める。
手にするは、広げた扇子、ぱたぱたと扇き涼しむ。

少し前までは、あの中を適当に彷徨っていた。
…なのだが、そう下がらぬ気温に、雨風去った後に残る湿気。
その蒸し暑さに、それから逃れるように、この場所に逃れたのだ。
高い場所だけに、下を歩くよりも、少々風は強い。
のんびりと、そこに佇んだまま、周囲を眺めているのであった。

タマモ > 「ふむ…」

扇子で扇ぎながら、軽く考える仕草。

「まったく、余計な心配をし過ぎなのじゃ。
妾等は妾等、それ以外の何者でもありはせん。
ただ求め、ただ楽しむ、それだけで良い」

くす、と笑うと、ふわりと手にした扇子を、横薙ぎに払う。
周囲の空気が震え、ゆらりと少女の周りを巡り漂う。

少女はここに居る。
だが、それに気付く者は、この周囲には存在しない。
漂う力が、波紋のように広がっていき…

「………まぁ、こんなものじゃろう」

辺りに漂うは、己の力を細かく散りばめたもの。
それらは、少女の力を流れ易くし、少女の存在する、それを近くする感覚を鈍らせる。
逆に少女以外の力を流れ難くし、少女には、その存在を感知する効果を与えていた。

そんな光景を、ゆるりと眺め続ける少女であった。

タマモ > 「さて、後にどうやるか…のぅ?」

周囲を見渡し、何かを確認すると、一つ頷く。
とん、と樹木の上で足を小突けば、次の瞬間には、その姿は無く。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からタマモさんが去りました。