2019/05/03 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にジンさんが現れました。
■ジン > 「………」
先日、とある九尾狐が降りていった大穴の付近。
その大穴を覆うような木々の内の一本、その樹木の下に座り込んでいた。
ただ、背を預け脚を投げ出したり、膝を立てて、ではない。
膝を畳み揃える、正座と言う座り方だ。
その傍らに、鞘に収められた刀。
後は、湯飲みと包まれた茶菓子が幾つか、置いてあった。
湯飲みを手に取り、一口啜る。
「あの馬鹿狐は…どこまで遊びに行っているのか…」
ふぅ、と溜息を吐き、空を見上げて、呟く。
軽く見てくると、大穴を降りていったのは、つい先日。
偶然出会った為、お宝でもあったら持って戻ってくれと、言われたのだが…まだ戻って来ない。
まぁ、今この頃となると、その妖狐は知人と出会い、なにやらしている頃だろう。
が、こちらにそれは分からない。
■ジン > 茶菓子を一つ摘み、口に含む。
少し噛み砕き、味わった後、再び湯飲みへと口を付ける。
「一応は、と警戒はしていたが…」
ことり、と地面に湯飲みを置いた。
鴉の嘴を模した仮面が、軽く背後を確認するように傾けられて。
「我はこの場を預かる身、即、去る事を勧める」
その言葉を合図としたように、現れる幾つかの影。
死した後、死体へとその魂を宿し動き回る存在、不死者だ。
言葉が通じない事は理解しているが、今のは、念の為に。
………まぁ、想定通りだ。
それらは、男の言葉を無視して近付いて来る。
■ジン > 「………仕方在るまい。
浄化は致そうが、安らかに、事静かに行うのは苦手だ。
ここに居たのが薺殿や馬鹿狐であれば、まだ良かったのであろうが…」
そう呟きながらも、男は動かない。
ゆっくりとした足取りで、不死者達は近付いて来るのだが…
ある距離を境に、その場に崩れ落ちる。
そのまま、ゆっくりと、その体は崩れ去るように消えてゆく。
気が付けば、その手には鞘に収まったままの刀が握られていた。
男は、それを再び元の位置に置き直す。
「純粋な浄化は苦手故…成仏せよ」
誰かが見ていたとしても、何が起こったか理解し得ない。
しかし、やった事は単純だ。
鞘ごと刀を手に取り、刀に陽の力を宿しながら、抜刀の際に、そのまま一閃。
そして、再び鞘へと刀を収める。
単純だが、それは瞬きをする間も与えぬ一瞬で行われた。
そして、何事も無かったかのように、再び茶菓子へと手を伸ばすのだ。
■ジン > 「出口が違えども、外に出さえすれば視えるのだがな。
苦戦をしているのか、迷っているのか、遊んでいるのか」
自らそう呟きながらも、そう間も置かず、こう続ける。
「………まぁ、遊んでいるのだろう」
信用の無い主であった、正解ではあるが。
待ち人…人ではないが、が現れるのは、まだ後々の話。
男は、その場でそのまま、律儀に待ち続けるのであろうか。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からジンさんが去りました。