2019/03/15 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に窮戯さんが現れました。
■窮戯 >
「──童の言葉に信を置き、手勢を寄りて訪れたは良いものの…」
山中、生い茂る木々の合間にて、多くの魔物に囲まれる女の姿があった
女の周りには、魔物との戦闘で倒れたのであろう者達の遺骸が転がり、辺りは血の匂いに満ちていた
「蟲を宿しての傀儡じゃあ、駄目ね」
魔物に囲まれながらも動揺した様子は見せず、自身を守り戦った者の亡骸を踏み躙りながら小さなぼやきを零す
どれも手練の道士であったが、術や功はその精神力に根ざされるもの
操り人形となった道士など、ただの一般兵と変わりはなかった
「折角此処まで来たのに、これじゃあね…。
"朱金"と"辰金"とやらを探すのにも人足がいるっていうのに、はぁ」
落胆の溜息を吐く女
女を囲む魔物たちは唸り声をあげながらも、その距離を詰めようとはしない
まるで本能的になにか危険を察知しているかのように
■窮戯 >
「いざという時のために若いのを選んだのに。
これじゃ食用にもならなくなっちゃったじゃない」
そこまでぼやきを終えて、ようやくその紅い視線を、魔物達へと巡らせる
「───かといって獣は、臭くて食べる気にならないけれど」
警戒を強めた魔物達は唸り声をあげ、姿勢を低く戦闘体勢をとる
いつでも飛びかかれる、いつでも逃走ができる、そんな距離を保っていた
…が、群れというのは不思議なもので、必ずその統率から外れるものがいる
潰れんばかりの圧と緊張を感じていた一匹が、堰を切ったように女へと飛びかかった───
■窮戯 >
突然、その場を赤く照らす光が走り、飛びかかった魔物をを虚空で拘束する
光はまるで意思を持つように、魔物の身体を巻いてゆく
巻かれた魔物から、僅かに何かが焦げるような匂いが立ち昇る
──次の瞬間、魔物はバラバラに引き裂かれ、その断面から白煙をあげ落下する。
赤い、灼けるような光は女の手、その指先に繋がっていた
親指を除く四指から、四本の灼光が伸び、それらは次々と。女を囲う魔物を捕え、巻きつき、爆ぜさせるようにその身を焼断してゆく──
「…此処へ来る途中に、宿泊宿があったわね」
ぽつりと呟く女の姿は既に人のものではなく、ゆらゆらと蒼い光を纏う黒九尾に、獣の耳を顕にしていた
──朱金と辰金…、女の目的のものの為には一度出直す必要がある
徒労にやれやれと肩を落とし、せめて何か良い想いをして帰ろうとその踵を返すのだった
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から窮戯さんが去りました。