2018/10/30 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > それは、いきなり起こった。
九頭龍山脈の山奥で、どぉん!と響き渡る轟音。
その音に驚き飛び立つ鳥や、逃げるように離れてゆく動物達。
そして…静寂が訪れる、のだが。
「なずなあああああああぁぁぁああぁっ!」
その静寂を引き裂くような、そんな少女の叫び声が続いて上がった。
だむだむっ、と地団太を踏む音と共に。
事の発端は数刻前。
久々に、己の式へと勝負を挑んだのである。
勝敗は言うまでもない、相変わらずあっさりと敗北した。
…いつもは、そこで終わり、で済んでいたのだが…
何の気紛れか、今回は呪い付きで放り出されたのだ。
気が付けば山中だわ、気が付けば縮んでるわ、そんな状態。
『少しすれば解けますから、安心して彷徨って下さいね』
飛ばされる直前、己に向けられた言葉だ。
少女に怒るな、と言う方が無理である。
■タマモ > だむだむ…ぐきっ、あ、足捻った。
「っ!?」
少女は声ならぬ声を上げながら、ごろごろと地面を転がる。
転がって、転がって…がんっ、樹木にぶつかって…止まった。
こうして、九頭龍山脈に再び静寂が訪れるのであった。
「………いや、こんな事をしておる場合ではないじゃろうに」
己の行為に突っ込みを入れつつ、足の痛みが引いたところで、よいせ、と立ち上がった。
うん、とりあえず、状況確認はちゃんとしなければ。
■タマモ > 「えーっと…」
その場で見上げたり、ぐるりと見渡してみる。
場所は…どこかの森の中だ。
「ふむふむ、して…こちらの方はどうなのじゃろうか?」
縮んだ事で小さくなった右手を、樹木の一本へと突き出す。
意識を集中し…それを、前方の樹木へ…!
がんっ!と少し大きめな、何かを叩き付けたような音と、僅かに振動する樹木。
「あー…やはり、前の時の同じじゃな…」
はふん、軽く溜息を吐きながら、考え込む。
弱まっているが、力は使える。
ただし、複雑な事は出来ない。
つまりは、向けられた言葉の通りに彷徨うしか道がないのだ。
今の状態では飛行や転移なんて、とても使えるものじゃない。
■タマモ > 「仕方ない、このまま居っても何もならんしのぅ」
やれやれ、と肩を竦めながら、袖に手を差し入れるのだが…
ごそり、ごそり…かくん?首を傾げる。
反対側に手を差し入れ、ごそごそごそ…かくん?
はて?どうして何も取り出せないのだろうか?
腕を組み考え込むも…ぽんっ、手を叩いた。
「なるほど、これも出来なくなっておるのか。
そうかそうか………ていっ!」
納得顔でうんうんと頷くも…次の瞬間、ばきゃーっ!と樹木を八つ当たりで殴った。
…が、殴った手を抑えて蹲る。うん、懲りていない。
しかし、反射的につい手足を出すのは止められない、困ったものである。
■タマモ > 「むむむ…こんな時こそ、妾の勘を頼りに戻る他あるまい。
まぁ、戻っておる間に、この変な力も解けるじゃろうて…多分」
ぽんぽんと、改めて落ち着いたところで着物の汚れを手で払う。
どうせ考えても意味がないならば、適当に動けば良い。
あれだ、結局のところはいつも通りである。
視線を下に、地面を適当に見遣り…手を伸ばすと、その手で取るのは一本の枝。
それを立てると、ぱっと手を離す。
ぱたり、倒れる枝。
「よし、まずはあっちじゃ」
枝の倒れた方向、そちらへと視線を向ける。
こうして、九頭龍山脈冒険の旅が始まった…始まった?
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。