2018/10/13 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にノールさんが現れました。
ノール > 周囲には血の匂いが立ち込めている。
簡素な旅姿の死体が数体、倒れ一頭立ての馬車が横転してその残骸を晒していた。
馬は逃げたのか、姿が無い。
その中央に仁王立ちになりながら犬によく似た頭部を持つ獣人は周囲を見回した。
目当てだった馬が居ないのに腹立ちを隠せない唸りを漏らす。

人は、不味い上に食いでがない。
その点、馬は旨く腹いっぱいになる。
片手に下げた、長柄の斧を振り上げる。
本来ならば両手で扱うべき重量であろう双頭斧は、その重さで振り下ろされた馬車を砕き割った。
派手な音とともに、木片と荷物が僅かに散らばる。
小さな一頭立ての、しかも複数人乗りの馬車は人を運ぶのが主目的だ。
だから、荷馬車のように食料を積んでいることは先ず無い。
散らばった、小さなぬいぐるみや木彫りの玩具を拾い上げ、不満そうに投げ捨てた。

ノール > 大きな破孔を晒した馬車へ頭をつっこむ。
ごそごそと探り始めた。
やがて、糧食としてまとめてあったのであろう干し肉などが束ねてある小さな袋を見つけて。
それをつまんで顔を上げると中の干し肉へかぶりついて食いちぎる。

ぶちぶちと繊維を断ち切る咀嚼音。同時に犬に似た耳がピン!と立ち上がる。
周囲に漂う香ばしい匂い、食欲をそそるそれは香辛料で味付けされたもの。
牙を剥き夢中になって咀嚼を繰り返す。
つまんだ小さな袋を大事に抱えながら斧を肩へ担ぐ。
そのまま、咀嚼に夢中になりながらのしのしと歩き去った。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からノールさんが去りました。